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第8章 収束への道のり
265. お祖父様とのお茶会
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薬草を収穫して、土に【緑の手】の魔力を流してから新しい苗を植えて、もう一度温室の中の点検をして、果物をいくつか収穫した。
季節を完全に無視して食べ頃になっていたマンゴーには皆で笑った。
今日はいつもと違うメンバーがいるからなのか妖精たちは現れなかった。元々気まぐれな者達なのでハリーは気にしていなかったけれど、僕は少しだけ気になった。収穫したてのイチゴを「良かったら食べてね」と小さなテーブルの上にお皿を置いて乗せてきた。イチゴはこれから兄様のお誕生日の月の終わりまで沢山採れるんだよね。タウンハウスに帰る前にそのままだったら持って帰ろう。
その後は少しだけお祖父様の屋敷の近くで採れた珍しい植物の話を聞いて、その後は応接室に移ってロマースクの話をした。皆も自分が植えた薬草がどんな風になっているのかは気になるし、どういう仕事や役割が発生しているのかも知っておいた方がいいからね。
ロマースクに「水薬」を卸す為の手筈はまた改めてお祖父様の所から交渉人がロマースクに行く事になった。
どこの領でもそうなんだけど、始めはフィンレーで作った薬を卸す形になるけれど、それだとフィンレーがいくつもの領の薬を作り続けなければならなくなるので、ゆくゆくはその領で賄えるようにしていくんだ。
その為に薬草を育てる事、薬草の取り扱いが出来る薬師の手配、販売する為の経路、まがい物が出回らないようにする仕組みなどをその領と話し合って決めていく。だってフィンレーから伝わった薬は全然効かないとかいう事になったら困るでしょう?
だからお互いにきちんと取り決めをして、フィンレーにはその薬の所有権みたいなものが、僅かだけど入る仕組みになっているんだ。
エターナルレディの時はとにかく広めていくという事と、その収益を魔物被害にあった所に寄付をする形をとったからフィンレーに入るものはそれに関わった人たちへの賃金という事以外は何もなかったんだけど、慈善事業のような事ばかりしていてはいられない。関わっている人達の仕事が他領に流れてしまうばかりでは困るからね。
そういう事で色々とお祖父様が整えて下さっているんだ。その一端を僕とハリーもお手伝いをしている。ハリーはまだ学園にも入っていないのに、本当にすごく頭がいいんだよ。
こうしてロマースクの話も終わって、僕たちはサロンでお茶を飲みながら、「噂」の話をする事にした。噂の事はハリーも聞きたいと言うので、そのまま一緒に参加をする事になった。
「父様から失踪事件について先日質問をしました。よく分からない事が多かったので友人には知らせなかったのですが、訊ねた内容はどれくらいの人が行方が分からなくなっているのか。消息を絶つ際、何か共通した事があるのか。西の国が関与している可能性があるのか。そして『首』が関わっている可能性はあるのかという事です。人数は一昨日聞いた時点では平民の数は把握しきれいていないけれど百人ほど。その他に貴族で6名。今はもう少し増えてしまったと思います」
僕の言葉をトーマス君たちもハリーも少し顔を強張らせて聞いていた。
「共通事項については分からない事。同じく消息絶っている人たちに共通している事も分からないというよりは、僕は無差別に近いのかとも思いましたが、これは父様から決めてしまうと見えなくなることがあると言われました。西の国の関与については今のところは形跡はなく、人身売買のような何かの組織の様なものが動いている気配もないとの事です。港のある領に役人が調査に入っていると言っていました」
「発言失礼します。ロマースクにも調査が入っています。調べている内容はエディの言った通りに積み荷に不審なものがないか。船乗りの数が増えたり関係のない人間が乗船していないか。鑑札を持たないものが港に出入りをしていないか。急に従業員が変わった取引先はないか。また、港の近くにある倉庫は全て領主や信頼のおける領の役人たちが同行して立入調査が行われました。現在の所特に問題は出ていません」
「うむ。どこも同じような状況のようだな。西の国からはおそらく近いうちに連絡が入るだろう。さすがに国交正常化のやりとりとしている最中に王国の人間を攫って行くような事はないだろうとは思っている。とすると西の国に罪をかぶせるような事を目論む者が居るのかという事になるが、それも今の所は見当たらない」
お祖父様がそう言って、僕たちの中に重い空気が流れた。
何も見当たらない。該当するようなものがない。それならばどうして人が消えていくのだろう。
「最後に『首』が関わっている可能性があるのかについては、これも分からないそうです。ただ、残り二つの『首』の封印場所を早く特定して封印の状況を確認するというのは変わらず準備が進められているようです。候補地については以前皆に話したところと変わりがありませんが、二の『首』については候補地が2つになりました。旧ディンチ領と隣の侯爵領との境のあたり、領地替えの前のレイモンド領内。そしてその頃にレイモンドに嫁いだ魔力量の多いモーリス領主の娘がいたそうで、その関係からか、モーリス領内にも同じように守塚と呼ばれているものが存在しているという事です。話を失踪事件に戻します。この状況の中でロマースクで失踪者の目撃者が出たと言う事を聞き間ました。すでに王国にも届けられているとの事。影の中に落ちたという証言があったと。しかもその場で魔力の跡を確認しても出てこなかったという報告もあったそうです。これは友人であるマクロード伯爵家嫡男のエリック様より婚約者が消えてしまった事をうかがった時にも聞きました。魔力の残滓はなかった。しかもエリック様の婚約者は侯爵家の令嬢。屋敷には結界が張られ、転移は直接出来ないような状態。その中で自室で消えてしまったとか。例えばなのですが、空間魔法で作った空間の中で生きている者が入れられるような空間は存在するのでしょうか。また、魔力の跡を残さずに、人を捕らえて瞬時に消え去るような魔法は存在するのでしょうか。例えば闇魔法とかではいかがでしょうか」
僕がそう言って言葉を切ると、お祖父様は少し考えるようにして「思いつく限りではないな」と言った。
そうなんだ。やっぱりお祖父様でも分からないというか、そんな魔法は恐らく存在をしていないのかもしれない。それならどうやって人は消えるのか。
「……発言失礼いたします。あまり考えたくない事ですが、その場で殺してしまってその遺体を空間の中に入れて、消えるというのはあまり現実的ではないでしょうか。死体を集めるという事がよく分かりませんが。もう一つ。勉強不足で申し訳ございませんが、遺体からアンデッドを意図的に作る事は可能なのでしょうか」
スティーブ君が静かに口を開いた。
「遺体を空間に入れる事は可能だが、そこに行く事とそこから出て行く事には疑問が残る。特に侯爵令嬢のような場合はその部屋に行く事は例えば魔素が湧くような事があればまた違うけれど、魔素が湧けば魔素の残りがそこにある。短時間で魔素の痕跡自体が消える事はない。昨年魔人が現れた時に魔素を操っているような様子も見られたようだが、痕跡を残さないという点では難しいと思える。アンデッドに関しては諸説ある。単純に死者が魔力によって操作をされて動いているだけのものもあれば、意思があるように動けるものもいる。ネクロマンサーと呼ばれる者が死体からアンデッドを作る魔術を知っていると言う様な話は聞いた事があるが、真偽は分からんな」
「ありがとうございます」
「ま、待って。待って下さい。あの、スティーブは居なくなった皆が殺されている可能性が高いと思っているのかな」
トーマス君が口を開いた。
「分からないけれど、その可能性もあるとは思っている。集め方、ってあえていうけれど、もし何かを考えている人間がいて、人を集めているならば、生きている人間を使うために集めている。死んでいる人間を使うために集めているという二通りが考えられる。生きている人間を集めている場合の使い方、これもあえて使い方というけれど、それは奴隷とかの人身売買、あるいは何かの儀式の為という事も考えてみた。そして死んでいる人間を集めている場合の使い方の一つとしてはアンデッドを作って街や人を襲うという事が可能なのかも考えてみたよ。恐ろしい考えだって軽蔑してもいい」
「…………ううん。ごめん、変な言い方をして。確かにそういう事も考えられると思う。軽蔑なんてしないよ。ただ、少し、そう、少し驚いただけ。ごめんね」
そう言って青い顔をしたトーマス君にそっとユージーン君が寄り添った。
「…………発言失礼いたします。では、アンデッドなどに街を襲わせるというのは、それを目論む者がその街や、あるいは王国自体に恨みを持っていると考えられるのでしょうか」
ハリーが少し震えるような声で口にした言葉にスティーブ君は「分かりませんが、そう言った事もあるのかもしれません。ただ、現時点では全て私の思い付きです」と言った。
「お茶の時間に話題を選ばずに申し訳ございません」
「ううん。色々な意見を出す事は必要だもの。それに、僕も殺されてしまった可能性を考えたよ。だって、現実として、百人、またはそれ以上の人間を誰にも気づかれずに隠しておけるというのは物凄く難しいし。もっとも殺してしまった意味がよく分からなかったから。人を殺したいって思う様な人が起こしているのかなとかそのくらいしか考えられなかったけど。でも、無事でいてほしいって思いながらも、もしかしたらって思った」
「うん。大丈夫。スティーブもエディも、ありがとう。大丈夫だよ。ありがとうジーン」
トーマス君はそう言って微かに笑みを見せた。
「人を集めているその目的は今現在は不明だ。そしてその生死も不明だ。ただ、今回のように色々な仮説を出す事は有効だと考える。この事は私から関係者へ報告をさせてもらおう。ただどちらにしても影に落ちたと言うのが分からん。影の中に捕らえる闇魔法は存在はする。それでもその姿を現さずに魔力の痕跡も残さないというのはやはり考えられない。魔力の痕跡が残らない魔法はない。が、もう一度その事を調べてみよう。また何か分かれば連絡をする。くれぐれも、一人で行動をしない。影のような魔法がどんなものなのか防ぎようがないが、他の魔法や呪術などを弾く陣を用意したので持って帰りなさい。同じものを魔導師ならば作成できるだろう。領地すべてのものに行き渡らせるのは現実的ではないが、大事な者には渡してやればよい。その許可は出そう。私も、行方不明の者たちが無事に戻って来る事を願っている。また、学びにきなさい」
「ありがとうございました」
僕たちは一斉に立ち上がって、お祖父様に深く頭を下げた。
-------------------
やっぱりお祖父様好き。。。
そして4400文字(;^ω^)
季節を完全に無視して食べ頃になっていたマンゴーには皆で笑った。
今日はいつもと違うメンバーがいるからなのか妖精たちは現れなかった。元々気まぐれな者達なのでハリーは気にしていなかったけれど、僕は少しだけ気になった。収穫したてのイチゴを「良かったら食べてね」と小さなテーブルの上にお皿を置いて乗せてきた。イチゴはこれから兄様のお誕生日の月の終わりまで沢山採れるんだよね。タウンハウスに帰る前にそのままだったら持って帰ろう。
その後は少しだけお祖父様の屋敷の近くで採れた珍しい植物の話を聞いて、その後は応接室に移ってロマースクの話をした。皆も自分が植えた薬草がどんな風になっているのかは気になるし、どういう仕事や役割が発生しているのかも知っておいた方がいいからね。
ロマースクに「水薬」を卸す為の手筈はまた改めてお祖父様の所から交渉人がロマースクに行く事になった。
どこの領でもそうなんだけど、始めはフィンレーで作った薬を卸す形になるけれど、それだとフィンレーがいくつもの領の薬を作り続けなければならなくなるので、ゆくゆくはその領で賄えるようにしていくんだ。
その為に薬草を育てる事、薬草の取り扱いが出来る薬師の手配、販売する為の経路、まがい物が出回らないようにする仕組みなどをその領と話し合って決めていく。だってフィンレーから伝わった薬は全然効かないとかいう事になったら困るでしょう?
だからお互いにきちんと取り決めをして、フィンレーにはその薬の所有権みたいなものが、僅かだけど入る仕組みになっているんだ。
エターナルレディの時はとにかく広めていくという事と、その収益を魔物被害にあった所に寄付をする形をとったからフィンレーに入るものはそれに関わった人たちへの賃金という事以外は何もなかったんだけど、慈善事業のような事ばかりしていてはいられない。関わっている人達の仕事が他領に流れてしまうばかりでは困るからね。
そういう事で色々とお祖父様が整えて下さっているんだ。その一端を僕とハリーもお手伝いをしている。ハリーはまだ学園にも入っていないのに、本当にすごく頭がいいんだよ。
こうしてロマースクの話も終わって、僕たちはサロンでお茶を飲みながら、「噂」の話をする事にした。噂の事はハリーも聞きたいと言うので、そのまま一緒に参加をする事になった。
「父様から失踪事件について先日質問をしました。よく分からない事が多かったので友人には知らせなかったのですが、訊ねた内容はどれくらいの人が行方が分からなくなっているのか。消息を絶つ際、何か共通した事があるのか。西の国が関与している可能性があるのか。そして『首』が関わっている可能性はあるのかという事です。人数は一昨日聞いた時点では平民の数は把握しきれいていないけれど百人ほど。その他に貴族で6名。今はもう少し増えてしまったと思います」
僕の言葉をトーマス君たちもハリーも少し顔を強張らせて聞いていた。
「共通事項については分からない事。同じく消息絶っている人たちに共通している事も分からないというよりは、僕は無差別に近いのかとも思いましたが、これは父様から決めてしまうと見えなくなることがあると言われました。西の国の関与については今のところは形跡はなく、人身売買のような何かの組織の様なものが動いている気配もないとの事です。港のある領に役人が調査に入っていると言っていました」
「発言失礼します。ロマースクにも調査が入っています。調べている内容はエディの言った通りに積み荷に不審なものがないか。船乗りの数が増えたり関係のない人間が乗船していないか。鑑札を持たないものが港に出入りをしていないか。急に従業員が変わった取引先はないか。また、港の近くにある倉庫は全て領主や信頼のおける領の役人たちが同行して立入調査が行われました。現在の所特に問題は出ていません」
「うむ。どこも同じような状況のようだな。西の国からはおそらく近いうちに連絡が入るだろう。さすがに国交正常化のやりとりとしている最中に王国の人間を攫って行くような事はないだろうとは思っている。とすると西の国に罪をかぶせるような事を目論む者が居るのかという事になるが、それも今の所は見当たらない」
お祖父様がそう言って、僕たちの中に重い空気が流れた。
何も見当たらない。該当するようなものがない。それならばどうして人が消えていくのだろう。
「最後に『首』が関わっている可能性があるのかについては、これも分からないそうです。ただ、残り二つの『首』の封印場所を早く特定して封印の状況を確認するというのは変わらず準備が進められているようです。候補地については以前皆に話したところと変わりがありませんが、二の『首』については候補地が2つになりました。旧ディンチ領と隣の侯爵領との境のあたり、領地替えの前のレイモンド領内。そしてその頃にレイモンドに嫁いだ魔力量の多いモーリス領主の娘がいたそうで、その関係からか、モーリス領内にも同じように守塚と呼ばれているものが存在しているという事です。話を失踪事件に戻します。この状況の中でロマースクで失踪者の目撃者が出たと言う事を聞き間ました。すでに王国にも届けられているとの事。影の中に落ちたという証言があったと。しかもその場で魔力の跡を確認しても出てこなかったという報告もあったそうです。これは友人であるマクロード伯爵家嫡男のエリック様より婚約者が消えてしまった事をうかがった時にも聞きました。魔力の残滓はなかった。しかもエリック様の婚約者は侯爵家の令嬢。屋敷には結界が張られ、転移は直接出来ないような状態。その中で自室で消えてしまったとか。例えばなのですが、空間魔法で作った空間の中で生きている者が入れられるような空間は存在するのでしょうか。また、魔力の跡を残さずに、人を捕らえて瞬時に消え去るような魔法は存在するのでしょうか。例えば闇魔法とかではいかがでしょうか」
僕がそう言って言葉を切ると、お祖父様は少し考えるようにして「思いつく限りではないな」と言った。
そうなんだ。やっぱりお祖父様でも分からないというか、そんな魔法は恐らく存在をしていないのかもしれない。それならどうやって人は消えるのか。
「……発言失礼いたします。あまり考えたくない事ですが、その場で殺してしまってその遺体を空間の中に入れて、消えるというのはあまり現実的ではないでしょうか。死体を集めるという事がよく分かりませんが。もう一つ。勉強不足で申し訳ございませんが、遺体からアンデッドを意図的に作る事は可能なのでしょうか」
スティーブ君が静かに口を開いた。
「遺体を空間に入れる事は可能だが、そこに行く事とそこから出て行く事には疑問が残る。特に侯爵令嬢のような場合はその部屋に行く事は例えば魔素が湧くような事があればまた違うけれど、魔素が湧けば魔素の残りがそこにある。短時間で魔素の痕跡自体が消える事はない。昨年魔人が現れた時に魔素を操っているような様子も見られたようだが、痕跡を残さないという点では難しいと思える。アンデッドに関しては諸説ある。単純に死者が魔力によって操作をされて動いているだけのものもあれば、意思があるように動けるものもいる。ネクロマンサーと呼ばれる者が死体からアンデッドを作る魔術を知っていると言う様な話は聞いた事があるが、真偽は分からんな」
「ありがとうございます」
「ま、待って。待って下さい。あの、スティーブは居なくなった皆が殺されている可能性が高いと思っているのかな」
トーマス君が口を開いた。
「分からないけれど、その可能性もあるとは思っている。集め方、ってあえていうけれど、もし何かを考えている人間がいて、人を集めているならば、生きている人間を使うために集めている。死んでいる人間を使うために集めているという二通りが考えられる。生きている人間を集めている場合の使い方、これもあえて使い方というけれど、それは奴隷とかの人身売買、あるいは何かの儀式の為という事も考えてみた。そして死んでいる人間を集めている場合の使い方の一つとしてはアンデッドを作って街や人を襲うという事が可能なのかも考えてみたよ。恐ろしい考えだって軽蔑してもいい」
「…………ううん。ごめん、変な言い方をして。確かにそういう事も考えられると思う。軽蔑なんてしないよ。ただ、少し、そう、少し驚いただけ。ごめんね」
そう言って青い顔をしたトーマス君にそっとユージーン君が寄り添った。
「…………発言失礼いたします。では、アンデッドなどに街を襲わせるというのは、それを目論む者がその街や、あるいは王国自体に恨みを持っていると考えられるのでしょうか」
ハリーが少し震えるような声で口にした言葉にスティーブ君は「分かりませんが、そう言った事もあるのかもしれません。ただ、現時点では全て私の思い付きです」と言った。
「お茶の時間に話題を選ばずに申し訳ございません」
「ううん。色々な意見を出す事は必要だもの。それに、僕も殺されてしまった可能性を考えたよ。だって、現実として、百人、またはそれ以上の人間を誰にも気づかれずに隠しておけるというのは物凄く難しいし。もっとも殺してしまった意味がよく分からなかったから。人を殺したいって思う様な人が起こしているのかなとかそのくらいしか考えられなかったけど。でも、無事でいてほしいって思いながらも、もしかしたらって思った」
「うん。大丈夫。スティーブもエディも、ありがとう。大丈夫だよ。ありがとうジーン」
トーマス君はそう言って微かに笑みを見せた。
「人を集めているその目的は今現在は不明だ。そしてその生死も不明だ。ただ、今回のように色々な仮説を出す事は有効だと考える。この事は私から関係者へ報告をさせてもらおう。ただどちらにしても影に落ちたと言うのが分からん。影の中に捕らえる闇魔法は存在はする。それでもその姿を現さずに魔力の痕跡も残さないというのはやはり考えられない。魔力の痕跡が残らない魔法はない。が、もう一度その事を調べてみよう。また何か分かれば連絡をする。くれぐれも、一人で行動をしない。影のような魔法がどんなものなのか防ぎようがないが、他の魔法や呪術などを弾く陣を用意したので持って帰りなさい。同じものを魔導師ならば作成できるだろう。領地すべてのものに行き渡らせるのは現実的ではないが、大事な者には渡してやればよい。その許可は出そう。私も、行方不明の者たちが無事に戻って来る事を願っている。また、学びにきなさい」
「ありがとうございました」
僕たちは一斉に立ち上がって、お祖父様に深く頭を下げた。
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やっぱりお祖父様好き。。。
そして4400文字(;^ω^)
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