109 / 123
第四章 森の終わり
107 収穫祭り
しおりを挟む
翌朝、朝食を食べると俺たちは前には進まずにそのまま拠点奥の森に入っていった。
このエリアではどうやら俺自身が魔物ホイホイみたいなものらしいから、セーフティーゾーンの奥の森でもやっぱり魔物が来ちゃうのかなと思っていたけれど、セーフティゾーンの神気? が高いのでその周辺が道のような状態になっているらしく、弱い生き物たちがいるだけだった。
「なんていうかうまく出来ているのか、なんなのか微妙なところだけど、まぁ魔物が出てこないで調べられるならそれに越したことはないよな。じゃあ、コパン何があるのか見つけに行こう」
「はい! 良いものが見つかるといいですね」
俺たちは森の中を歩く。勿論【鑑定】をかけたままだ。
あちらこちらに食べ物や石、そしてなぜか魔石のタグまで浮かんでいて、俺たちは見つけたものを集めながら更に進んでいった。そうして森が開けて……
「あ……れ?」
ここってなんか見覚えがないか? ほら夏野菜とか採れた草原にすごく似ている気がするんだけど……
そう思っていると【鑑定】のタグが視界の中にブワッと一斉に立ち上がった。
<大根>
<人参>
<牛蒡>
<蕪>
<蓮根>
<かぼちゃ>
「いやいやいやいや……根菜祭りだよ」
欲しいとは思っていたけれどまさかこんな風にいっぺんに見つかるなんて思ってもいなかった。しかも蓮根はしっかり水田っぽいぞ。
「これがコンサイなんですね!」
ああ、そうかコパンと俺の鑑定はちょっと見え方が違うんだよね。
「根菜っていうのは根っこが食べられる野菜の事だよ。それぞれに名前がついている。本当はお芋も根菜なんだけど、そっちはもうみつかっているからないのかな。でもすごいな。えーっと、あれが大根、その隣が人参、牛蒡、蕪、かぼちゃ、そして蓮根。土の中のものを食べるけど葉っぱの部分も食べられるものが多いからね。とりあえず収穫していこう。蓮根は沼にみたいになっているから気を付けて」
「おまかせあれ~~~~~!」
俺は《収穫》がアイテム魔法になっているから、ちょっとズルみたいに収穫をした。
コパンはとりあえず一つ収穫をしてどんなものなのかを確認すると、ひと区画ごとに収納をして不要なものを出すという形で収穫を進めていく。
今までに数えきれないくらい色々なものを収穫してきたからね。お互いにそれぞれの方法を確立している感じでなんだかとても楽しかったけど、やっぱり苦戦をしたのは蓮根だ。
蓮根を収穫するような写真でも載っていれば一気にいけたんだろうけど、今までの《収穫》とは明らかに異なるので魔法をかけても思っていたようにいかない事もあった。泥水の中っていうのもやりづらいのかな。
「こ、これは本当に食べ物なのでしょうか」
ボコボコとした泥だらけの白い何かが連なっているような不思議なそれにコパンの顔が引きつっている。
「うん。美味しいよ。煮物でもいいし、蓮根餅も婆ちゃんが作っていた事があるから、なんとなく分かると思う。レシピ登録しちゃえば多分作れるんじゃないかな」
「…………頑張ります」
どうやら食べたい気持ちが勝ったらしい。さすが俺の『お助け妖精』だ。
お昼過ぎまで俺たちは根菜類を収穫した。【補充】出来るんだけど、やっぱりなんだか収穫したくなっちゃうんだよね。もしかしたらまた道端交換会があるかもしれないし。
この野菜たちがどれくらいのサイクルで元に戻るのかは分からないけれど、多分またすぐに元に戻ると思って収穫時期を迎えていたものはほぼ採りきった。ほら、ここは色々な時期のものが混在しているからね。
「よし、今日はこれで拠点に戻ろうか。まだ早いけど、あとは今日手に入れたものの整理をしようかな」
「そうですね。とりあえず何がどれくらいあるのかを確認しておきましょう。コンサイの他にも色々見つけましたし」
「そうそう。豚汁じゃなくて、オーク汁も作らないとね」
「! そうでした!」
昨日はオークカツ丼を食べたが、根菜がなかったので葉物の味噌汁になった。でも今日は山のように根菜がある。
「ついでに蓮根餅も作ろうか」
「食べたいです!」
そう言って飛びついてきたコパンを受け止めて俺たちは笑いながら拠点に向かって歩き出した。
魔物が現れる心配がない森は安心して歩いていられるね。
-----
このエリアではどうやら俺自身が魔物ホイホイみたいなものらしいから、セーフティーゾーンの奥の森でもやっぱり魔物が来ちゃうのかなと思っていたけれど、セーフティゾーンの神気? が高いのでその周辺が道のような状態になっているらしく、弱い生き物たちがいるだけだった。
「なんていうかうまく出来ているのか、なんなのか微妙なところだけど、まぁ魔物が出てこないで調べられるならそれに越したことはないよな。じゃあ、コパン何があるのか見つけに行こう」
「はい! 良いものが見つかるといいですね」
俺たちは森の中を歩く。勿論【鑑定】をかけたままだ。
あちらこちらに食べ物や石、そしてなぜか魔石のタグまで浮かんでいて、俺たちは見つけたものを集めながら更に進んでいった。そうして森が開けて……
「あ……れ?」
ここってなんか見覚えがないか? ほら夏野菜とか採れた草原にすごく似ている気がするんだけど……
そう思っていると【鑑定】のタグが視界の中にブワッと一斉に立ち上がった。
<大根>
<人参>
<牛蒡>
<蕪>
<蓮根>
<かぼちゃ>
「いやいやいやいや……根菜祭りだよ」
欲しいとは思っていたけれどまさかこんな風にいっぺんに見つかるなんて思ってもいなかった。しかも蓮根はしっかり水田っぽいぞ。
「これがコンサイなんですね!」
ああ、そうかコパンと俺の鑑定はちょっと見え方が違うんだよね。
「根菜っていうのは根っこが食べられる野菜の事だよ。それぞれに名前がついている。本当はお芋も根菜なんだけど、そっちはもうみつかっているからないのかな。でもすごいな。えーっと、あれが大根、その隣が人参、牛蒡、蕪、かぼちゃ、そして蓮根。土の中のものを食べるけど葉っぱの部分も食べられるものが多いからね。とりあえず収穫していこう。蓮根は沼にみたいになっているから気を付けて」
「おまかせあれ~~~~~!」
俺は《収穫》がアイテム魔法になっているから、ちょっとズルみたいに収穫をした。
コパンはとりあえず一つ収穫をしてどんなものなのかを確認すると、ひと区画ごとに収納をして不要なものを出すという形で収穫を進めていく。
今までに数えきれないくらい色々なものを収穫してきたからね。お互いにそれぞれの方法を確立している感じでなんだかとても楽しかったけど、やっぱり苦戦をしたのは蓮根だ。
蓮根を収穫するような写真でも載っていれば一気にいけたんだろうけど、今までの《収穫》とは明らかに異なるので魔法をかけても思っていたようにいかない事もあった。泥水の中っていうのもやりづらいのかな。
「こ、これは本当に食べ物なのでしょうか」
ボコボコとした泥だらけの白い何かが連なっているような不思議なそれにコパンの顔が引きつっている。
「うん。美味しいよ。煮物でもいいし、蓮根餅も婆ちゃんが作っていた事があるから、なんとなく分かると思う。レシピ登録しちゃえば多分作れるんじゃないかな」
「…………頑張ります」
どうやら食べたい気持ちが勝ったらしい。さすが俺の『お助け妖精』だ。
お昼過ぎまで俺たちは根菜類を収穫した。【補充】出来るんだけど、やっぱりなんだか収穫したくなっちゃうんだよね。もしかしたらまた道端交換会があるかもしれないし。
この野菜たちがどれくらいのサイクルで元に戻るのかは分からないけれど、多分またすぐに元に戻ると思って収穫時期を迎えていたものはほぼ採りきった。ほら、ここは色々な時期のものが混在しているからね。
「よし、今日はこれで拠点に戻ろうか。まだ早いけど、あとは今日手に入れたものの整理をしようかな」
「そうですね。とりあえず何がどれくらいあるのかを確認しておきましょう。コンサイの他にも色々見つけましたし」
「そうそう。豚汁じゃなくて、オーク汁も作らないとね」
「! そうでした!」
昨日はオークカツ丼を食べたが、根菜がなかったので葉物の味噌汁になった。でも今日は山のように根菜がある。
「ついでに蓮根餅も作ろうか」
「食べたいです!」
そう言って飛びついてきたコパンを受け止めて俺たちは笑いながら拠点に向かって歩き出した。
魔物が現れる心配がない森は安心して歩いていられるね。
-----
140
お気に入りに追加
288
あなたにおすすめの小説
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?
八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ
『壽命 懸(じゅみょう かける)』
しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。
だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。
異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる