お助け妖精コパンと目指す 異世界サバイバルじゃなくて、スローライフ!

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第二章 旅人から冒険者へ

41 トレッキング

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 今、俺は森の中というよりは、山道のような所を歩いている。これはあれだ、トレッキング。
 『初めてのキャンプ。ソロもファミリーもこれでおまかせ!』によると、ハイキングというのは、なだらかな山道を気軽に歩いて自然を楽しむ、という比較的レベルの低い山歩きを指している。そしてトレッキングというのは、山頂を目指すことにこだわらない山歩きで登山よりもレベルが低い。更に登山とは山頂を目指し、山を登る事を指し、この三つの中ではレベルが一番高い山歩きとして使用されるらしい。
 ここは山では無い(筈だ)し、俺は山頂を目指している訳では無いのでトレッキングが正しいのだろう。山では無い筈だけど!

「コパン、この森は山に繋がっているのかな。というか、山の麓に森が広がっているの?」
「すみません。私も詳しい地図をいただいている訳では無いので…………」
「そうか~、そうだよね~」

 山芋やタケノコの時も何となく山の中っぽいなって感じたけど、それよりも更に山の中というか、あまり整備のされていない山道のような所を歩いているような気がする。マッピングで戻る事は出来るけど、このまま進んでもいいのかなって不安にはなるよね。

 スニーカーで良かった。これが会社訪問の後でスーツと革靴だったら目も当てられなかった。そんな事を思いつつ、少しハードなトレッキングコースを進んでいくといきなり視界が開けた。

「えっ?」

 岩場というか、高台、少しいい言い方をすればあまり整備されていない展望台? みたいな所だった。
 ただし、視界が開けているのは片側だけで、道のようなものはそのまま続いている。それでも周囲が見渡せたのは初めてだ。

「これで少しは位置把握みたいなものが出来るかなぁ。ちなみにコパン、俺が一番最初に居たのはどの辺?」

 登っているつもりはなかったけれど、結構登っていたみたいで、高台のようなこの場所の下は森。そして少し向こうにはもう少し高い岩の壁? 崖? のようなものが見えた。

「ここからは見えませんが方角的にはあちらです」

 コパンは見えている岩壁よりも東側の方を指した。なるほど、この道を進んで山頂? まで行けば四方が見えるのかもしれないけど、このまま進むのはやはり躊躇する。
 歩いてきた道にはあまりめぼしいものはなかったように思う。もしかしたら鑑定を食べ物に特化しなければ何か引っかかったのかもしれない。

「うーん、でもなぁ……」

 食べられないものが見えると俺の心が進めなくなる可能性もあるんだよなー。
 だけど、使えそうな資材とか、危険なものは鑑定に引っかかった方がそろそろいいのかもしれないな。
 そう考えた途端ピロンと音がした。

「うん? 全体レベルはこの前上がったばっかりだしな」

 そう。その前にも全体はLv3のまま色々と細かいところが上がっていたから、全体がLv4になって変わったのは生存能力が、15から20になったのと、スキルのサバイバルが、4になった事くらいだったんだ。

 スマホを取り出してスキルボードを確認すると、鑑定のところに複数条件抽出設定という文字があり、食べれるもの、使える資材、危険物となっている。
 そしてスキルに体力というのが現われてLv2となっていた。

「鑑定のレベルが上がると使い方も融通が利くようになるんだな」

 そして先程まで結構疲れたなと感じていたのに、それが薄れているのは新しく取得した体力スキルのお陰なのかもしれない。 
 俺は後ろを振り返って新たな抽出条件を設定した鑑定をかけた。すると先程までは見えなかった鉄鉱石という文字が浮かんでいた。

「鉄が取れるのか……あ、少ないけど銅もある」
「少し採取しておきましょうか。そのうちになにかに加工が出来るようになるかもしれませんよ」
「あはは! さすが鉄の取り出しや加工方法は載っていないけど、じゃあ少し取っておこう」

 俺とコパンは時間短縮の為、拾い集めた鉄鉱石と銅鉱石をそれぞれの収納に収め、もう少しだけ道を進む事を決めた。

-------

一度切ります。











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