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第一章 転生
23 マッピング
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「うん。一応これも採っていこう。でもこれだけでいいかな」
「…………分かりました」
幼児が眉間に皺を寄せると本当に困った顔になるんだなって、そんな事を考えたらまた伝わっちゃったみたいでコパンは「困っていません」と困った顔のままフヨフヨと肩から飛び立った。
その後はキノコ類も結構収穫出来たし、茗荷や生姜も見つけた。
そしてなぜかタケノコも採れたんだ! なんだかよく分からないけれど、森の一画に竹林地帯と熊笹みたいな葉っぱが群生しているところがあって、よく見る太いタケノコや、破竹っていう少し細めのタケノコ、そして根曲がり竹とか姫竹って呼ばれる細いタケノコもあった。
「この棒のようなものは美味しいのですか?」
再び肩の上にやってきたコパンは、またしても眉間のあたりに皺を寄せて尋ねてきた。
「うん。タケノコは採れたてならそのままでも食べられるし、あく抜きをしなくても焼いたり茹でたりして食べると美味しいっていうのは聞いた事があるよ」
「そうなのですね。これはアラタ様の世界の食べ物なのですね。アラタ様の世界はとても不思議です」
そうかな。でも俺としてもやっぱりこの世界の方が不思議だなって気がするよ。もっともこの森が不思議なだけなのかもしれないけれど。
「ほら、ここに書いてある。この細い竹はすごく美味しいって」
「で、では挑戦ですね!」
「そうだね。挑戦してみよう」
ちなみに『自給自足をはじめよう』によると姫竹や根曲がり竹っていうのは笹の若芽なんだとか。
勉強になるなって思うけど、こんな勉強はしなくてもよかったかもな~とか思ったりもして、ちょっぴり微妙な感じだ。
「こうなってくるとやっぱり塩か醤油がほしいなぁ。味噌もありか……そうなると大豆?」
いやいやいやいや、俺はどこを目指しているのかな。何をしに異世界転生をしたのかな。
「まさか調味料の製造を真剣に考えるような日が来るとは思ってもみなかった」
「よく分かりませんが、アラタ様の【アイテム】で作る事が出来るなら素敵ですね! でももしかしたらどこかの国に似たようなものがあるかもしれませんよ。無理をせずにいきましょう」
「うん。そうだね。コパンの言う通りだ」
美味しいものは食べたいけれど、無理をして何から何まで本のように作るというのは難しい。たとえ魔法というものがあったとしてもそんな事を続けていたら、いつか苦しくなってきてしまうと思うんだ。
サバイバルとか、自給自足とか、キャンプとか、俺が思っていたものとは違う事ばかりだったけれど、それをうまく生かしながら俺の、否、俺とコパンのスローライフを見つけていけばいいよね。
「アラタ様、何か心配事ですか?」
「ううん。色々採れたからどうしたらいいかなって。欲張りになり過ぎないようしたいなって思ったんだ」
「欲張り、ですか?」
「そう。俺はさ、せっかくこうして転生したんだから、もらった力を使いながら、コパンと楽しく暮らしていけたらいいなって思っているんだ」
「! 私もです! 私もアラタ様と一緒に楽しく暮らしていけたらいいなって思っています!」
肩の上で立ち上がって嬉しそうにそう言った『お助け妖精』。
「とりあえず、今日はこれ位にして泊まる場所を探そう。タケノコの挑戦もあるしね。それで、ここはちょっと面白いから明日もう少し見てみたいなって思うんだ」
「分かりました。ではここをマッピングしておきましょう。そうすれば明日もここに来られます」
「…………え、どういう事?」
俺がびっくりして尋ねると、コパンはハッとした顔をしてから「すみません」と口を開いた。
「言っておけば良かったです。えっと行った所にマッピングをしておけばそこに戻る事が出来るんです。でも前にも言った通り長距離になると無理だし、知らない所には行けません。その……私がものすごくレベルが上がれば、長距離で知らない場所にも転移が出来るようになるかもしれませんが……」
どんどん小さな声になってしまったコパンを、俺はそっと手の中にすくうようにして目の前に移動させた。
「コパンは本当にすごいね。こんなに小さいのに、沢山の事が出来る。じゃあ、ここはマッピングをしておいて? ちなみにマッピングはいくつできるの?」
「……試した事はありません」
「じゃあさ、これから先、気に入った場所や気になった場所はマッピングをしておいてくれるかな。そうしたらあそこに行きたいって思った時に距離によっては行かれるかもしれないって事だよね。それと、いくつまでマッピング出来るっていう制限があるって分かったら、また一緒にどうしようか考えよう。だから前みたいに無理をしたら駄目だよ。俺も出来ない事は沢山あるからさ、出来ない事を悪いって思ったり、恥ずかしく思ったりしないように」
「分かりました!」
「うん。じゃあコパン、ここをマッピングして、暗くなる前に今日泊まる場所を探そう!」
「おまかせあれ~!」
こうして俺たちは『山芋とタケノコの里』をマッピング登録した。
---------------
「…………分かりました」
幼児が眉間に皺を寄せると本当に困った顔になるんだなって、そんな事を考えたらまた伝わっちゃったみたいでコパンは「困っていません」と困った顔のままフヨフヨと肩から飛び立った。
その後はキノコ類も結構収穫出来たし、茗荷や生姜も見つけた。
そしてなぜかタケノコも採れたんだ! なんだかよく分からないけれど、森の一画に竹林地帯と熊笹みたいな葉っぱが群生しているところがあって、よく見る太いタケノコや、破竹っていう少し細めのタケノコ、そして根曲がり竹とか姫竹って呼ばれる細いタケノコもあった。
「この棒のようなものは美味しいのですか?」
再び肩の上にやってきたコパンは、またしても眉間のあたりに皺を寄せて尋ねてきた。
「うん。タケノコは採れたてならそのままでも食べられるし、あく抜きをしなくても焼いたり茹でたりして食べると美味しいっていうのは聞いた事があるよ」
「そうなのですね。これはアラタ様の世界の食べ物なのですね。アラタ様の世界はとても不思議です」
そうかな。でも俺としてもやっぱりこの世界の方が不思議だなって気がするよ。もっともこの森が不思議なだけなのかもしれないけれど。
「ほら、ここに書いてある。この細い竹はすごく美味しいって」
「で、では挑戦ですね!」
「そうだね。挑戦してみよう」
ちなみに『自給自足をはじめよう』によると姫竹や根曲がり竹っていうのは笹の若芽なんだとか。
勉強になるなって思うけど、こんな勉強はしなくてもよかったかもな~とか思ったりもして、ちょっぴり微妙な感じだ。
「こうなってくるとやっぱり塩か醤油がほしいなぁ。味噌もありか……そうなると大豆?」
いやいやいやいや、俺はどこを目指しているのかな。何をしに異世界転生をしたのかな。
「まさか調味料の製造を真剣に考えるような日が来るとは思ってもみなかった」
「よく分かりませんが、アラタ様の【アイテム】で作る事が出来るなら素敵ですね! でももしかしたらどこかの国に似たようなものがあるかもしれませんよ。無理をせずにいきましょう」
「うん。そうだね。コパンの言う通りだ」
美味しいものは食べたいけれど、無理をして何から何まで本のように作るというのは難しい。たとえ魔法というものがあったとしてもそんな事を続けていたら、いつか苦しくなってきてしまうと思うんだ。
サバイバルとか、自給自足とか、キャンプとか、俺が思っていたものとは違う事ばかりだったけれど、それをうまく生かしながら俺の、否、俺とコパンのスローライフを見つけていけばいいよね。
「アラタ様、何か心配事ですか?」
「ううん。色々採れたからどうしたらいいかなって。欲張りになり過ぎないようしたいなって思ったんだ」
「欲張り、ですか?」
「そう。俺はさ、せっかくこうして転生したんだから、もらった力を使いながら、コパンと楽しく暮らしていけたらいいなって思っているんだ」
「! 私もです! 私もアラタ様と一緒に楽しく暮らしていけたらいいなって思っています!」
肩の上で立ち上がって嬉しそうにそう言った『お助け妖精』。
「とりあえず、今日はこれ位にして泊まる場所を探そう。タケノコの挑戦もあるしね。それで、ここはちょっと面白いから明日もう少し見てみたいなって思うんだ」
「分かりました。ではここをマッピングしておきましょう。そうすれば明日もここに来られます」
「…………え、どういう事?」
俺がびっくりして尋ねると、コパンはハッとした顔をしてから「すみません」と口を開いた。
「言っておけば良かったです。えっと行った所にマッピングをしておけばそこに戻る事が出来るんです。でも前にも言った通り長距離になると無理だし、知らない所には行けません。その……私がものすごくレベルが上がれば、長距離で知らない場所にも転移が出来るようになるかもしれませんが……」
どんどん小さな声になってしまったコパンを、俺はそっと手の中にすくうようにして目の前に移動させた。
「コパンは本当にすごいね。こんなに小さいのに、沢山の事が出来る。じゃあ、ここはマッピングをしておいて? ちなみにマッピングはいくつできるの?」
「……試した事はありません」
「じゃあさ、これから先、気に入った場所や気になった場所はマッピングをしておいてくれるかな。そうしたらあそこに行きたいって思った時に距離によっては行かれるかもしれないって事だよね。それと、いくつまでマッピング出来るっていう制限があるって分かったら、また一緒にどうしようか考えよう。だから前みたいに無理をしたら駄目だよ。俺も出来ない事は沢山あるからさ、出来ない事を悪いって思ったり、恥ずかしく思ったりしないように」
「分かりました!」
「うん。じゃあコパン、ここをマッピングして、暗くなる前に今日泊まる場所を探そう!」
「おまかせあれ~!」
こうして俺たちは『山芋とタケノコの里』をマッピング登録した。
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