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やればいいんでしょやれば!!!
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『……大好きな人間ですか。 それはあなたの気持ちを伝えるという事ですか?』
『そうよ! 大好きな彼に想いを伝えたいの!』
『そうですか……。 では頑張ってください』
『……え? 手伝ってくれないの?』
『……え? 手伝うと思っていたんですか?』
信じられないと言わんばかりに見つめてくる女性を逆に見つめ返す私。
『お金……払えます?』
『……いくらよ?』
『金貨一枚です』
『きんかいちまい!?』
強気すぎる値段設定ですからねー。
戻ったらどうにかしようとも思いますが……今すぐには別にいいかなーって思います。
私が無慈悲に立ち去ろうとしたその時……一緒にやって来たサロメさんが女性に話しかけます。
『アーチェさん? 貴女……どうして持ち前の料理を振る舞わなかったのですか? それだったらどんな殿方でも……』
『振る舞いましたよ! でも……言葉が分からないから絶妙にコミュニケーションが取れないんですよ!』
『……ふーん? 大変ねぇ……』
サロメさんも私を……ちらり。
な……なんですか!! 絶対にやりませんからね!!
プルプルと首を振った私に近づいてくるサロメさん。
そしてコソコソと耳打ちを始めました。
『お願いしますアリスさん。 あの子は私の遠い親戚でして……何とかできませんかねぇ』
『ちょっと厳しいですね……だってお金払えないんでしょう? それはちょっと……』
『……うーん。 ……あ! でも一つだけお得なことがありますよ!』
『……というと?』
そんな簡単に揺れ動くことはありませんよ……お金を貰わない限りは。
現金な女? いやいや失礼ですね。 経済的な女、と言って欲しいものですよ。 まぁお金には割と余裕があるのですが。
とにかく、極力面倒なことは避けたい主義なのです私は。
『彼女は私たちの集落一番の料理人でして……エルフの男衆からはモテモテでしたよ』
『……ほう? つまり美味しい料理が食べさせてもらえる、と』
『端的に言えばそうですね』
……ぐっ!
なんと魅力的な提案でしょうか。 ただでさえ美味しいエルフさん達の料理の……グレードアップバージョンが食べられるんですよ!?
普段どちらとも料理をしないが故に、手料理に飢えている私たちからしたら願ってもない提案でした。
『そ……それでも……』
いやいやしかし。 面倒だと言うことに加えて……依頼を受けている最中に別の依頼を受け入れるのは如何なものかと……。
そりゃ勿論私だって美味しいご飯を食べたいですし……いやいやいや……うーん……。
せめて依頼主が校長さんじゃなければ良かったんですが……あの人性格悪いから絶対ネチネチ言ってきますよ……。
『ええと……。 残念ですが……』
『悪くない提案だ。 是非とも受けさせて欲しい!』
「……はい???」
まさかのまさか、後ろにいたセシリアが勝手に了承しちゃったのです。 しかもご丁寧なことにエルフさんの言葉で。
あんぐりと口を開けて驚く私をよそに『え!? 本当ですか!?』と喜ぶアーチェさん。
もう断ることが出来ない雰囲気に包まれて……首を縦に振らざるを得ませんでした。
『だー! わかりましたよっ! やればいいんでしょうやれば!!!』
色々と吹っ切れた私は、そう力の限り叫ぶのでした。
『そうよ! 大好きな彼に想いを伝えたいの!』
『そうですか……。 では頑張ってください』
『……え? 手伝ってくれないの?』
『……え? 手伝うと思っていたんですか?』
信じられないと言わんばかりに見つめてくる女性を逆に見つめ返す私。
『お金……払えます?』
『……いくらよ?』
『金貨一枚です』
『きんかいちまい!?』
強気すぎる値段設定ですからねー。
戻ったらどうにかしようとも思いますが……今すぐには別にいいかなーって思います。
私が無慈悲に立ち去ろうとしたその時……一緒にやって来たサロメさんが女性に話しかけます。
『アーチェさん? 貴女……どうして持ち前の料理を振る舞わなかったのですか? それだったらどんな殿方でも……』
『振る舞いましたよ! でも……言葉が分からないから絶妙にコミュニケーションが取れないんですよ!』
『……ふーん? 大変ねぇ……』
サロメさんも私を……ちらり。
な……なんですか!! 絶対にやりませんからね!!
プルプルと首を振った私に近づいてくるサロメさん。
そしてコソコソと耳打ちを始めました。
『お願いしますアリスさん。 あの子は私の遠い親戚でして……何とかできませんかねぇ』
『ちょっと厳しいですね……だってお金払えないんでしょう? それはちょっと……』
『……うーん。 ……あ! でも一つだけお得なことがありますよ!』
『……というと?』
そんな簡単に揺れ動くことはありませんよ……お金を貰わない限りは。
現金な女? いやいや失礼ですね。 経済的な女、と言って欲しいものですよ。 まぁお金には割と余裕があるのですが。
とにかく、極力面倒なことは避けたい主義なのです私は。
『彼女は私たちの集落一番の料理人でして……エルフの男衆からはモテモテでしたよ』
『……ほう? つまり美味しい料理が食べさせてもらえる、と』
『端的に言えばそうですね』
……ぐっ!
なんと魅力的な提案でしょうか。 ただでさえ美味しいエルフさん達の料理の……グレードアップバージョンが食べられるんですよ!?
普段どちらとも料理をしないが故に、手料理に飢えている私たちからしたら願ってもない提案でした。
『そ……それでも……』
いやいやしかし。 面倒だと言うことに加えて……依頼を受けている最中に別の依頼を受け入れるのは如何なものかと……。
そりゃ勿論私だって美味しいご飯を食べたいですし……いやいやいや……うーん……。
せめて依頼主が校長さんじゃなければ良かったんですが……あの人性格悪いから絶対ネチネチ言ってきますよ……。
『ええと……。 残念ですが……』
『悪くない提案だ。 是非とも受けさせて欲しい!』
「……はい???」
まさかのまさか、後ろにいたセシリアが勝手に了承しちゃったのです。 しかもご丁寧なことにエルフさんの言葉で。
あんぐりと口を開けて驚く私をよそに『え!? 本当ですか!?』と喜ぶアーチェさん。
もう断ることが出来ない雰囲気に包まれて……首を縦に振らざるを得ませんでした。
『だー! わかりましたよっ! やればいいんでしょうやれば!!!』
色々と吹っ切れた私は、そう力の限り叫ぶのでした。
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