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部員紹介①
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「それで⋯⋯? その探究部とやらは何をする部活なんだよ?」
「よくぞ聞いてくれたわ!」
俺の質問を受け、待っていましたと言わんばかりの恍惚な表情でアリスが説明を始めた。
「私たちは現世に生まれ変わった身とはいえ、やがて来たる戦いに備えて己を鍛えないといけないのよ。 だから、この部活でいろいろなことを探求、その深淵を覗くことで新たな力をつけていくのよ!」
「つまり、皆でワイワイと色んなことに挑戦して遊ぶ部活だ。」
「なるほどな。」
アリスのよく分からない説明に困惑していたところ、成哉の注釈で理解することができた。 要は色んなことにアマチュアで挑戦するんだな。 それだけを聞くとあながち悪くないようにも思える。
「と、言うわけで琴雪。 貴方も探究部に入りなさい。私の盟友として共に切磋琢磨しましょう?」
「いや⋯⋯うぅ。」
入りたくない。 そう言いたかったのだが、断るはずがないと純粋な瞳で俺を見つめるアリスの目がそうさせない。 まぁ⋯⋯そこまで本気の活動ではなさそうだし⋯⋯
「わかったよ。 俺も探究部に加入しよう。」
「ふっ⋯⋯まぁ当然ね。 さぁ歓迎の宴を始めるわよ! 急いで準備をしなさい!」
当たり前だと頷いて、準備を始めたアリスであったが、その歩みはこころなしか嬉しそうである。
(あーあ。 なにやってんだか。)
バタバタと準備をする最中に何も無い場所で盛大に転んだアリスを微笑ましく思いながら状況を分析する。
冷静に考えると悪いことばかりではない。 俺の任務を達成するためにはどうしても、学校内の誰かと仲良くなることが絶対条件である。 しかし、初っ端から色々とやらかした上に変なやつとつるんでいる俺は明らかにクラスから避けられているのだ。
つまりアリス達と仲良くしない場合、俺は孤立してしまう可能性も大いに考えられるのだ。
「ほら琴雪! 貴方も手伝いなさい!」
何やら大きなダンボールを抱えながらアリスが叫ぶ。
「おいおい、俺は歓迎される側じゃないのかよ?」
「部長の命令よ! 聞きなさい!」
「へいへーい。」
俺は面倒臭いと頭を掻きながらアリスの方へと歩み寄るのであった。
―――
「⋯⋯と言うわけでこれから第一回、探究部歓迎会を始めるわよ! 皆グラスは持ったかしら?」
周囲を見渡すアリスに合わせて俺たちは、飲み物の入った紙コップを掲げる。
それを見たアリスは、にっこりと頷き⋯⋯
「乾杯!」
「「「乾杯!」」」
お互いの紙コップを軽くぶつけて、5人だけの歓迎会が始まったのであった。
「さぁ食べなさい! 今日は私の奢りよ!」
満足気に腕を組むアリスを尻目に俺は紙皿に盛り付けられた菓子の数々を摘む。
「そういえば⋯⋯これはいつ用意したんだ? だってホームルーム終わってから買いに行く時間なんてなかっただろうし?」
頭に浮かんだ疑問を率直に述べる。
「これは私が魔術でれんせ⋯⋯」
「ん? あぁ、これはいつも常備してるやつだ。 まぁこんなに大々的に食べることはないけど、毎日ちょくちょくと食べてるんだ。」
「へぇーなるほどな。」
そんな俺の問いに答えたのは横に鎮座する成哉であった。 アリスが何かを言っていたような気がしたが、多分気のせいだろう。
「よし! それじゃあそろそろ、自己紹介タイムに入らねぇか? 琴雪くんも色々と困ってるだろうしな。」
「それもそうね。 それじゃあ、三竜神から行きましょう。」
「あ? なんだよ、その三竜神ってのは!」
「はいはい注もーく!」
俺の質問は答えられることなく、自己紹介が始まった。 どうやら、三竜神とやらは成哉、葉純、そして昼にも見かけた女子生徒のことを指すようだ。
「んじゃまずは俺から、だな。 1年3組の中島成哉だ。 よろしく。 後は⋯⋯何を紹介すればいい?」
成哉は苦笑しながら、アリスをチラリと見る。
「そうね⋯⋯貴方の能力とか、どうかしら?」
「それいただき!」
ピシッと指をのばして、成哉が案に飛びついた。
「んじゃ一回しかやらないからよく見とけよ?」
「あぁ。」
「へーんしん!」
奇怪なポーズを取りながら叫んだ成哉の身体がモクモクと煙に包まれる。
「ふっふっふっ⋯⋯どうかしら? 私の異能は?」
「おぉ⋯⋯」
煙が晴れた瞬間、そこに立っていたのは紛れもないアリスであった。 見た目だけでなく、声までも完璧に真似されている。
「悪くないわね。 けど⋯⋯どうして毎回毎回、私に変身するのかしら?」
「え? だから言ってんじゃん! イメージしやすい特徴のある人の方が変身し易いんだって! お前程イメージし易い奴は見た事ねぇよ。」
「まぁそうね。 私には隠しても内面から溢れ出るオーラがあるから仕方ないわね。」
「あーはいはい。 ソウデスネ。」
明らかにそんな意味ではないだろうに、何故か都合よく解釈して得意気にしているアリス。 面倒くさそうにそれの相手をしている成哉も、見た目はアリスであるため傍から見ると違和感が半端ない。
「よし! 次に行こうか!」
いつの間にか変身を解き、司会の役に収まっている成哉に促されて次に出てきたのは、昼にも見かけた女子生徒であった。
「えっと⋯⋯仁奈 波瑠です。 1年5組です。 異能は、物を操るやつです。 あっ! でも操れるのは固形物だけで水みたいなものは操れません。 ⋯⋯よろしくね?」
「あぁ。 よろしく頼む。」
先程の成哉と違い、いたって普通の自己紹介だ。
まぁ別に変なことをして欲しいわけじゃないからそれでいいんだけどな。 というかこいつ⋯⋯
(昼にも思ったけど、めっちゃ可愛いな!)
栗色の髪に、クスリと笑う笑顔がよく似合う美少女だ。 アリスと違って性格に難も無さそうだし、性格も良さそうだ。 仁奈波瑠、是非ともお近づきになりたいな。
「よーし! それじゃあ最後! いってみよう!」
成哉の司会で三竜神の最後、葉純が前に出てきたのだった。
「よくぞ聞いてくれたわ!」
俺の質問を受け、待っていましたと言わんばかりの恍惚な表情でアリスが説明を始めた。
「私たちは現世に生まれ変わった身とはいえ、やがて来たる戦いに備えて己を鍛えないといけないのよ。 だから、この部活でいろいろなことを探求、その深淵を覗くことで新たな力をつけていくのよ!」
「つまり、皆でワイワイと色んなことに挑戦して遊ぶ部活だ。」
「なるほどな。」
アリスのよく分からない説明に困惑していたところ、成哉の注釈で理解することができた。 要は色んなことにアマチュアで挑戦するんだな。 それだけを聞くとあながち悪くないようにも思える。
「と、言うわけで琴雪。 貴方も探究部に入りなさい。私の盟友として共に切磋琢磨しましょう?」
「いや⋯⋯うぅ。」
入りたくない。 そう言いたかったのだが、断るはずがないと純粋な瞳で俺を見つめるアリスの目がそうさせない。 まぁ⋯⋯そこまで本気の活動ではなさそうだし⋯⋯
「わかったよ。 俺も探究部に加入しよう。」
「ふっ⋯⋯まぁ当然ね。 さぁ歓迎の宴を始めるわよ! 急いで準備をしなさい!」
当たり前だと頷いて、準備を始めたアリスであったが、その歩みはこころなしか嬉しそうである。
(あーあ。 なにやってんだか。)
バタバタと準備をする最中に何も無い場所で盛大に転んだアリスを微笑ましく思いながら状況を分析する。
冷静に考えると悪いことばかりではない。 俺の任務を達成するためにはどうしても、学校内の誰かと仲良くなることが絶対条件である。 しかし、初っ端から色々とやらかした上に変なやつとつるんでいる俺は明らかにクラスから避けられているのだ。
つまりアリス達と仲良くしない場合、俺は孤立してしまう可能性も大いに考えられるのだ。
「ほら琴雪! 貴方も手伝いなさい!」
何やら大きなダンボールを抱えながらアリスが叫ぶ。
「おいおい、俺は歓迎される側じゃないのかよ?」
「部長の命令よ! 聞きなさい!」
「へいへーい。」
俺は面倒臭いと頭を掻きながらアリスの方へと歩み寄るのであった。
―――
「⋯⋯と言うわけでこれから第一回、探究部歓迎会を始めるわよ! 皆グラスは持ったかしら?」
周囲を見渡すアリスに合わせて俺たちは、飲み物の入った紙コップを掲げる。
それを見たアリスは、にっこりと頷き⋯⋯
「乾杯!」
「「「乾杯!」」」
お互いの紙コップを軽くぶつけて、5人だけの歓迎会が始まったのであった。
「さぁ食べなさい! 今日は私の奢りよ!」
満足気に腕を組むアリスを尻目に俺は紙皿に盛り付けられた菓子の数々を摘む。
「そういえば⋯⋯これはいつ用意したんだ? だってホームルーム終わってから買いに行く時間なんてなかっただろうし?」
頭に浮かんだ疑問を率直に述べる。
「これは私が魔術でれんせ⋯⋯」
「ん? あぁ、これはいつも常備してるやつだ。 まぁこんなに大々的に食べることはないけど、毎日ちょくちょくと食べてるんだ。」
「へぇーなるほどな。」
そんな俺の問いに答えたのは横に鎮座する成哉であった。 アリスが何かを言っていたような気がしたが、多分気のせいだろう。
「よし! それじゃあそろそろ、自己紹介タイムに入らねぇか? 琴雪くんも色々と困ってるだろうしな。」
「それもそうね。 それじゃあ、三竜神から行きましょう。」
「あ? なんだよ、その三竜神ってのは!」
「はいはい注もーく!」
俺の質問は答えられることなく、自己紹介が始まった。 どうやら、三竜神とやらは成哉、葉純、そして昼にも見かけた女子生徒のことを指すようだ。
「んじゃまずは俺から、だな。 1年3組の中島成哉だ。 よろしく。 後は⋯⋯何を紹介すればいい?」
成哉は苦笑しながら、アリスをチラリと見る。
「そうね⋯⋯貴方の能力とか、どうかしら?」
「それいただき!」
ピシッと指をのばして、成哉が案に飛びついた。
「んじゃ一回しかやらないからよく見とけよ?」
「あぁ。」
「へーんしん!」
奇怪なポーズを取りながら叫んだ成哉の身体がモクモクと煙に包まれる。
「ふっふっふっ⋯⋯どうかしら? 私の異能は?」
「おぉ⋯⋯」
煙が晴れた瞬間、そこに立っていたのは紛れもないアリスであった。 見た目だけでなく、声までも完璧に真似されている。
「悪くないわね。 けど⋯⋯どうして毎回毎回、私に変身するのかしら?」
「え? だから言ってんじゃん! イメージしやすい特徴のある人の方が変身し易いんだって! お前程イメージし易い奴は見た事ねぇよ。」
「まぁそうね。 私には隠しても内面から溢れ出るオーラがあるから仕方ないわね。」
「あーはいはい。 ソウデスネ。」
明らかにそんな意味ではないだろうに、何故か都合よく解釈して得意気にしているアリス。 面倒くさそうにそれの相手をしている成哉も、見た目はアリスであるため傍から見ると違和感が半端ない。
「よし! 次に行こうか!」
いつの間にか変身を解き、司会の役に収まっている成哉に促されて次に出てきたのは、昼にも見かけた女子生徒であった。
「えっと⋯⋯仁奈 波瑠です。 1年5組です。 異能は、物を操るやつです。 あっ! でも操れるのは固形物だけで水みたいなものは操れません。 ⋯⋯よろしくね?」
「あぁ。 よろしく頼む。」
先程の成哉と違い、いたって普通の自己紹介だ。
まぁ別に変なことをして欲しいわけじゃないからそれでいいんだけどな。 というかこいつ⋯⋯
(昼にも思ったけど、めっちゃ可愛いな!)
栗色の髪に、クスリと笑う笑顔がよく似合う美少女だ。 アリスと違って性格に難も無さそうだし、性格も良さそうだ。 仁奈波瑠、是非ともお近づきになりたいな。
「よーし! それじゃあ最後! いってみよう!」
成哉の司会で三竜神の最後、葉純が前に出てきたのだった。
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