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「ハル! 今日はありがとね! めっちゃ楽しかった‼︎」
ブンブンと家の前で手を振る友人。
少しハルより背が低く、どこか小型犬を思わせる彼女は可愛らしく、ニコッとハルの頬が緩む。
「私も! じゃあまた明日、学校で語り合おう‼︎」
友人と別れるのを名残惜しく感じながらも、笑顔で手を振りかえし歩き始めるハル。
「ふふ、この乙女ゲーム面白かったな。そう言えば、前買った乙女ゲームの方終わってなかったような……帰ってからクリアしよ‼︎」
今年で高校2年生になったハルは上機嫌で家にある、まだクリアできていない乙女ゲームについて考えていた。エジプト新王国を題材にした乙女ゲーム。
「あれ、ちょっと中身が過激だったんだよね」
バッドエンドがまさかの監禁ルートと言う少しヤンデレ度が強めのパターン。
結構な頻度で、ヒロインが不憫な目に遭ってしまうあの乙女ゲームはハルは少し苦手だった。
「さっさと終わらせて今度はもっとソフトなのを選ぼう!」
横断歩道を渡り、家まであと少し。赤い屋根が見えてくる。
「夕飯なにかな~」
呑気に鼻歌を歌いながら帰るハル。しかし、突如タンっと地面を踏むはずだった地面が消える。
スカッと空振る足と、ぐらりとバランスを崩す体。
「へ?」
慌てて下を見れば、いつの間にかアスファルトに穴が開いており、どこまでも続きそうな暗闇が口を開けて待っていた。
「ま、ええ⁉︎ いやいやいや、タンマタンマタンマタンマ‼︎ お、ち、るって!」
大急ぎで穴の淵に齧り付き、足を突っ張ってなんとか落下を防ぐハル。
「ふぃ~セーフ。ってうそぉ!?」
セーフではなかった。
穴が広がったのだ。グワっと広がれば、突っ張った足も意味がない。
なす術もなく落ちるハルの絶叫が、閑散とした住宅街に響き渡ったのだった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー! 私、高所恐怖症なのよぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーー……」
ブンブンと家の前で手を振る友人。
少しハルより背が低く、どこか小型犬を思わせる彼女は可愛らしく、ニコッとハルの頬が緩む。
「私も! じゃあまた明日、学校で語り合おう‼︎」
友人と別れるのを名残惜しく感じながらも、笑顔で手を振りかえし歩き始めるハル。
「ふふ、この乙女ゲーム面白かったな。そう言えば、前買った乙女ゲームの方終わってなかったような……帰ってからクリアしよ‼︎」
今年で高校2年生になったハルは上機嫌で家にある、まだクリアできていない乙女ゲームについて考えていた。エジプト新王国を題材にした乙女ゲーム。
「あれ、ちょっと中身が過激だったんだよね」
バッドエンドがまさかの監禁ルートと言う少しヤンデレ度が強めのパターン。
結構な頻度で、ヒロインが不憫な目に遭ってしまうあの乙女ゲームはハルは少し苦手だった。
「さっさと終わらせて今度はもっとソフトなのを選ぼう!」
横断歩道を渡り、家まであと少し。赤い屋根が見えてくる。
「夕飯なにかな~」
呑気に鼻歌を歌いながら帰るハル。しかし、突如タンっと地面を踏むはずだった地面が消える。
スカッと空振る足と、ぐらりとバランスを崩す体。
「へ?」
慌てて下を見れば、いつの間にかアスファルトに穴が開いており、どこまでも続きそうな暗闇が口を開けて待っていた。
「ま、ええ⁉︎ いやいやいや、タンマタンマタンマタンマ‼︎ お、ち、るって!」
大急ぎで穴の淵に齧り付き、足を突っ張ってなんとか落下を防ぐハル。
「ふぃ~セーフ。ってうそぉ!?」
セーフではなかった。
穴が広がったのだ。グワっと広がれば、突っ張った足も意味がない。
なす術もなく落ちるハルの絶叫が、閑散とした住宅街に響き渡ったのだった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー! 私、高所恐怖症なのよぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーー……」
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