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「やあ、リリアナ」
ゴミの所まで足を運んだ甲斐があった。リリアナは目の前にいる人物を見てうっとりと目を細める。リリアナの想い人はそれはそれは美しかった。王族特有の金髪碧眼。まさにリリアナが思い描いた王子様を体現していた。
「お待たせして申し訳ありません、王太子様」
「リリアナ、ルイと呼んでと何度も言っているじゃないか」
切なそうにリリアナを見つめる王太子の姿にリリアナは思わず「ルイ」と呼びそうになるが止める。
ここで、呼び捨ててしまってはいけないとお母様に言われたわ。
「いえ、私は婚約者ではありませんもの。ルイ様とお呼びしてもよろしいですか?」
チラリと頬を赤く染めて恥じらう素振りをしながら王太子を見つめる。
ルイの耳が真っ赤に染まった。
「勿論だとも。リリアナは礼儀正しいんだね」
「ふふ、ありがとうございます」
「そう言えば、私の婚約者はどこかな?」
キョロキョロと周囲を見回す王太子に、リリアナはそっと手を添える。
「も、申し訳ございません。お姉様は体調を崩したと……! 見た目は元気そうでしたのに……あ! ごめんなさい、少し疲れてしまったと言っておりました」
目に涙を浮かべ弁解するリリアナに、ルイの顔が緩む。
「リリアナは優しいんだね。私が王になったらリリアナを側妃に迎えたいと思っていたけど……」
何ですって⁉︎ 私が側妃⁉︎ あのゴミより下の身分⁉︎ あり得ないわ!
王太子の言葉に憤慨するリリアナだが、表面上は悲しそうな顔を維持していた。
「お姉様にはルイ様を支えると言う御心はあるのでしょうか……私ならどんなに体調が悪くてもルイ様がいらしたらお迎えいたしますのに」
そこまで言ってハッと口を押さえる素振りをするリリアナ。
「す、すみません。なんて無礼なことを‼︎ お許しください」
慌てて床に跪くリリアナに、ルイは今度こそ相互を崩した。
「顔を上げて? 私も婚約者の態度に疑問を感じていたんだよ。今度君を王太子妃として迎え入れることが出来ないか父上にお願いしてみるよ。ありがとう、そこまで思ってくれているなんて」
ニコリと笑みを浮かべ、リリアナを立ち上がらせたルイはチュッと手のひらにキスをした。
「これぐらいはいいよね?」
「ルイ……さま! 嬉しい!」
やった! 私の夢がやっと叶う‼︎ リリアナは顔を真っ赤に染めながら王太子の熱い視線を受け止めていたのだった。
ゴミの所まで足を運んだ甲斐があった。リリアナは目の前にいる人物を見てうっとりと目を細める。リリアナの想い人はそれはそれは美しかった。王族特有の金髪碧眼。まさにリリアナが思い描いた王子様を体現していた。
「お待たせして申し訳ありません、王太子様」
「リリアナ、ルイと呼んでと何度も言っているじゃないか」
切なそうにリリアナを見つめる王太子の姿にリリアナは思わず「ルイ」と呼びそうになるが止める。
ここで、呼び捨ててしまってはいけないとお母様に言われたわ。
「いえ、私は婚約者ではありませんもの。ルイ様とお呼びしてもよろしいですか?」
チラリと頬を赤く染めて恥じらう素振りをしながら王太子を見つめる。
ルイの耳が真っ赤に染まった。
「勿論だとも。リリアナは礼儀正しいんだね」
「ふふ、ありがとうございます」
「そう言えば、私の婚約者はどこかな?」
キョロキョロと周囲を見回す王太子に、リリアナはそっと手を添える。
「も、申し訳ございません。お姉様は体調を崩したと……! 見た目は元気そうでしたのに……あ! ごめんなさい、少し疲れてしまったと言っておりました」
目に涙を浮かべ弁解するリリアナに、ルイの顔が緩む。
「リリアナは優しいんだね。私が王になったらリリアナを側妃に迎えたいと思っていたけど……」
何ですって⁉︎ 私が側妃⁉︎ あのゴミより下の身分⁉︎ あり得ないわ!
王太子の言葉に憤慨するリリアナだが、表面上は悲しそうな顔を維持していた。
「お姉様にはルイ様を支えると言う御心はあるのでしょうか……私ならどんなに体調が悪くてもルイ様がいらしたらお迎えいたしますのに」
そこまで言ってハッと口を押さえる素振りをするリリアナ。
「す、すみません。なんて無礼なことを‼︎ お許しください」
慌てて床に跪くリリアナに、ルイは今度こそ相互を崩した。
「顔を上げて? 私も婚約者の態度に疑問を感じていたんだよ。今度君を王太子妃として迎え入れることが出来ないか父上にお願いしてみるよ。ありがとう、そこまで思ってくれているなんて」
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「これぐらいはいいよね?」
「ルイ……さま! 嬉しい!」
やった! 私の夢がやっと叶う‼︎ リリアナは顔を真っ赤に染めながら王太子の熱い視線を受け止めていたのだった。
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