16 / 18
15.
しおりを挟む
「ただいまーーーー!」
「リン様‼︎」
「リンさまー!」
転移魔法でついたのは、洞窟のすぐ近く。グルとギアが既に待機していた。
「なんでここが分かったの?」
ポツリと疑問を漏らす私に、グルとギアが澄まし顔で答える。
「気配で」
「気配です」
なんとも不思議な解答だった。
そんな2人とオリビア、トワを連れてみんなのいる所へ向かう。
ログハウスと、建設中の家々が立ち並ぶ光景が目に入る筈だったのだが、予想外の光景に私は目を瞬かせた。
「あれ? なんか京都の伝統的な家々が目の前に……」
「一部を残して完成しました」
「え?」
珍しくドヤ顔のギアが言うには、私の記憶を頼りに作ったらこうなったと言う事だ。名をつけた時点で、イメージ伝達などは可能になっていた。だがーー
「流石にこれは……」
目の前にそびえ立つ重厚感ある屋敷にドン引きする。トワ達が1番先に建ててくれた日本風の古民家は、何故か改造されていた。
屋敷の広さは2倍になり、洋風の部屋まで完備されている。お風呂もあった。
「あ、ちなみに上下水道も完備しました。お風呂も個々の家々で入ることができます。そして、大浴場なのですがーー」
リン様の記憶にありました"銭湯"というものに心惹かれて作ってみました! そう言われて案内されたのは何処か歴史にありそうな旅館風の建物。露天風呂なんかも完備されていた。
「ああ……貴重な神聖水を!」
オリビアが顔を真っ青にして何か言っているが、知らんぷりする。
「君達、よくやった‼︎」
案内してくれた茨木童子の美少女マナちゃんをぎゅっと抱きしめる。
「ああ、リン様がハグ……!」
私より少し背の低いマナちゃんはとても可愛かった。そんなマナちゃんだが、実は3メートルはあろうかという大木を軽々と担げる。
つまりは見た目で判断してはいけないのだ。
「これはみんなで造ったの?」
「ええ、そうです」
銭湯から出て、綺麗に敷き詰められた石畳の道を歩く。瓦もしっかり作られており、色も本物とそう変わらない。
なんだか時代劇の中に飛び込んだような感覚を覚えたのだった。
この後、呉服屋なるものに案内され着せ替え人形になったのは割愛させていただく。
「こちらです! ずうっとぐるぐる結界の周りを回ってるんで……」
新作の着物? を着せられ案内されたのは聖結界を張っている場所だった。
促されて結界の外を見れば、そこには見覚えのある3人組がいた。
「あ、空気弾の!」
まだ生きていたんだね、という言葉は飲み込む。この魔の森は様々な魔物が現れる。ここまで進んできたと言うことは、相当レベルの高い猛者なのだろう。
「どうします?」
オリビアが手に魔力弾らしきものを発現させながら聞いてくる。空気弾より数百倍ヤバい代物である。
今すぐにでも撃ちそうな勢いであった。
「いや、魔力弾はやめよう!」
慌ててオリビアを止めにかかる。
「ですが、コイツらはリン様を殺そうとしたガレア王国の手先ですよ! しかも、残虐と名高い3珠士ではないですか‼︎」
え? マジで?
全く知らなかった情報に肌が粟立つ。私、攻撃してしまったんだけど……?
3珠士さんにその事がバレたらヤバいよね? 即死フラグだ! ダラダラと冷や汗が流れる中、私は決断した。
「ちょっと交渉してくる‼︎」
「はい?」
呆けた様子のオリビアを放って私は聖結界から出たのだった。
「リン様‼︎」
「リンさまー!」
転移魔法でついたのは、洞窟のすぐ近く。グルとギアが既に待機していた。
「なんでここが分かったの?」
ポツリと疑問を漏らす私に、グルとギアが澄まし顔で答える。
「気配で」
「気配です」
なんとも不思議な解答だった。
そんな2人とオリビア、トワを連れてみんなのいる所へ向かう。
ログハウスと、建設中の家々が立ち並ぶ光景が目に入る筈だったのだが、予想外の光景に私は目を瞬かせた。
「あれ? なんか京都の伝統的な家々が目の前に……」
「一部を残して完成しました」
「え?」
珍しくドヤ顔のギアが言うには、私の記憶を頼りに作ったらこうなったと言う事だ。名をつけた時点で、イメージ伝達などは可能になっていた。だがーー
「流石にこれは……」
目の前にそびえ立つ重厚感ある屋敷にドン引きする。トワ達が1番先に建ててくれた日本風の古民家は、何故か改造されていた。
屋敷の広さは2倍になり、洋風の部屋まで完備されている。お風呂もあった。
「あ、ちなみに上下水道も完備しました。お風呂も個々の家々で入ることができます。そして、大浴場なのですがーー」
リン様の記憶にありました"銭湯"というものに心惹かれて作ってみました! そう言われて案内されたのは何処か歴史にありそうな旅館風の建物。露天風呂なんかも完備されていた。
「ああ……貴重な神聖水を!」
オリビアが顔を真っ青にして何か言っているが、知らんぷりする。
「君達、よくやった‼︎」
案内してくれた茨木童子の美少女マナちゃんをぎゅっと抱きしめる。
「ああ、リン様がハグ……!」
私より少し背の低いマナちゃんはとても可愛かった。そんなマナちゃんだが、実は3メートルはあろうかという大木を軽々と担げる。
つまりは見た目で判断してはいけないのだ。
「これはみんなで造ったの?」
「ええ、そうです」
銭湯から出て、綺麗に敷き詰められた石畳の道を歩く。瓦もしっかり作られており、色も本物とそう変わらない。
なんだか時代劇の中に飛び込んだような感覚を覚えたのだった。
この後、呉服屋なるものに案内され着せ替え人形になったのは割愛させていただく。
「こちらです! ずうっとぐるぐる結界の周りを回ってるんで……」
新作の着物? を着せられ案内されたのは聖結界を張っている場所だった。
促されて結界の外を見れば、そこには見覚えのある3人組がいた。
「あ、空気弾の!」
まだ生きていたんだね、という言葉は飲み込む。この魔の森は様々な魔物が現れる。ここまで進んできたと言うことは、相当レベルの高い猛者なのだろう。
「どうします?」
オリビアが手に魔力弾らしきものを発現させながら聞いてくる。空気弾より数百倍ヤバい代物である。
今すぐにでも撃ちそうな勢いであった。
「いや、魔力弾はやめよう!」
慌ててオリビアを止めにかかる。
「ですが、コイツらはリン様を殺そうとしたガレア王国の手先ですよ! しかも、残虐と名高い3珠士ではないですか‼︎」
え? マジで?
全く知らなかった情報に肌が粟立つ。私、攻撃してしまったんだけど……?
3珠士さんにその事がバレたらヤバいよね? 即死フラグだ! ダラダラと冷や汗が流れる中、私は決断した。
「ちょっと交渉してくる‼︎」
「はい?」
呆けた様子のオリビアを放って私は聖結界から出たのだった。
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
精霊王を宿す令嬢が、婚約破棄される時
田尾風香
恋愛
全六話。
***注意*** こんなタイトルですが、婚約破棄は五話、ざまぁは最終話の六話です。それを前提の上でお読み下さい。
暗い色をした目を持つマイヤは、両親から疎まれていた。それでも、優しい祖父母と領民の元で幸せに暮らしていた幼少期。しかし、十三歳になり両親に引き取られて第三王子の婚約者となってから、その幸せは失われた。そして、マイヤの中の何かが脈動を始めた。
タイトルがネタバレになっています。
週一回、木曜日に更新します。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
美形揃いの王族の中で珍しく不細工なわたしを、王子がその顔で本当に王族なのかと皮肉ってきたと思っていましたが、実は違ったようです。
ふまさ
恋愛
「──お前はその顔で、本当に王族なのか?」
そう問いかけてきたのは、この国の第一王子──サイラスだった。
真剣な顔で問いかけられたセシリーは、固まった。からかいや嫌味などではない、心からの疑問。いくら慣れたこととはいえ、流石のセシリーも、カチンときた。
「…………ぷっ」
姉のカミラが口元を押さえながら、吹き出す。それにつられて、広間にいる者たちは一斉に笑い出した。
当然、サイラスがセシリーを皮肉っていると思ったからだ。
だが、真実は違っていて──。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる