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スパイさんに連れられ帝国へ入った私。めちゃくちゃ静かに馬に揺られております。
「ねぇ、もう逃げないの~? もしかして知らない所だから緊張しちゃった?」
「……」
相変わらず面白そうにこちらを覗き込んでくるスパイさん……いや、変態さん。私が初めての場所で緊張していると思っているようだ。ま、んなわけないけどね!
そう! フレヤにとってははじめての場所でも、前世の小説の記憶がある私はこの国についてはある程度知っている。そして、小説ではこの国には秘密の通路が沢山あるのだ。それは以前この土地は別の民族の物だったからである。そして、私達が今歩いている地面の下にも通路があったと記憶している!
つ・ま・り! 静かにしておいて油断した隙に逃げよう作戦‼︎
この通路は今は誰も知られておらず、私だってどこに行き着くのかは知らないが、小説でチラリと書いてあった。多分フラグ回収しようと思って書いたのに、忘れていたんだと思う。
ふははははは‼︎ 油断した後に後悔するがいい!
「なぁ~んか企んでるよねぇ?」
「めっそうもない」
ええ、ええ、企んでおりますとも! バッチリね‼︎
この後、ちょっとシナリオからズレたけど帝国は王国に宣戦布告をして攻め込む事となっている。その時敗北してしまうのだが、私はそれに巻き込まれたくない! スパイさんには申し訳ないがせっかく逃げれたのにまたもや命の危険を晒すのは絶対したくないのだ‼︎
「あの~、ちょっとお花を摘みに行っても?(訳:トイレ行きたい)」
「あー、じゃあちょっと休憩しよっか~」
めんどくさそうに答えるスパイさん。ちょっと離れた場所でクルリと後ろを向いて耳を塞いでくれた。どうせ私が逃げてもすぐ捕まえる事ができるからこんな事ができるんだろうけど……
「今日の私は一味違うのよ!」
聞こえたらヤバイので、アッカンベーをしながら小声で叫んでやった。そのまましゃがみ込み、ガサゴソと地面を探ると。
おー! あった‼︎
見事にビンゴ! 通路の入り口の取手を見つけ、持ち上げる。この通路の入り口はカラクリになっており、仕掛けがわからないと見つけることはもちろん入ることすらできない。私はまぁ小説で見つけ方と開け方知ってるし?
「さよ~なら~」
ニヤニヤとスパイさんの後ろ姿に手を振って私は通路の中に入ったのだった。勿論入り口もきちんと閉めたよ!
【王子とユリア】
「クソッ‼︎ フレヤを捕まえられなかった、だとぉ⁉︎」
「はい」
ドンッと苛立ちもあらわに机を叩きつける王子。向かい側には王子直属の騎士団である騎士団長が気まずげに報告していた。
アイツは俺のものだぞ⁉︎ 痩せたのも俺に釣り合うように痩せたんだろ! 何故逃げたんだ‼︎ クソッ!
「おい、どこに行ったか徹底的に調べろ。見つかり次第フレヤは俺の別荘に閉じ込めておけ」
「了解しました」
「戻ったら俺が直々に躾けないとなぁ」
目をギラギラと光らせ欲望を隠そうともしない王子は、フレヤを捕まえた後のことを想像し、楽しそうに歪んだ笑みを浮かべたのだった。
一方ユリアも王子と同じように怒り狂っていた。
「あの豚女が逃げたですってぇ⁉︎ 役立たず! 何してんのよ‼︎ しかもあのイケメンも取り逃がすってどういうことなの⁉︎ ユリア、いっぱいあのお方とお話ししたかったのにぃ‼︎ 豚女は見つかり次第殺して頂戴! そうねぇ、餓死でいいと思うわ! イケメンは見つけたらユリアに教えて! 逃さないでね‼︎」
「は、はい!」
「はぁ、何でこんなに早く死んじゃったのかしら。もし、もう少し長く生きていればあのイケメンの名前が分かったかもしれないのにぃ~! スパイも欲しかったけどアレは敵だもん。私の命を脅かすのは排除しなくちゃね! ああ、早く私の王子様に会いたいわ!」
フリフリとリボンやフリルをふんだんに使用したピンクの可愛らしいドレスを見に纏いユリアは恋する乙女の表情であの日ぶつかったイケメンを思い出し、うっとりと目を細めるのであった。
「ねぇ、もう逃げないの~? もしかして知らない所だから緊張しちゃった?」
「……」
相変わらず面白そうにこちらを覗き込んでくるスパイさん……いや、変態さん。私が初めての場所で緊張していると思っているようだ。ま、んなわけないけどね!
そう! フレヤにとってははじめての場所でも、前世の小説の記憶がある私はこの国についてはある程度知っている。そして、小説ではこの国には秘密の通路が沢山あるのだ。それは以前この土地は別の民族の物だったからである。そして、私達が今歩いている地面の下にも通路があったと記憶している!
つ・ま・り! 静かにしておいて油断した隙に逃げよう作戦‼︎
この通路は今は誰も知られておらず、私だってどこに行き着くのかは知らないが、小説でチラリと書いてあった。多分フラグ回収しようと思って書いたのに、忘れていたんだと思う。
ふははははは‼︎ 油断した後に後悔するがいい!
「なぁ~んか企んでるよねぇ?」
「めっそうもない」
ええ、ええ、企んでおりますとも! バッチリね‼︎
この後、ちょっとシナリオからズレたけど帝国は王国に宣戦布告をして攻め込む事となっている。その時敗北してしまうのだが、私はそれに巻き込まれたくない! スパイさんには申し訳ないがせっかく逃げれたのにまたもや命の危険を晒すのは絶対したくないのだ‼︎
「あの~、ちょっとお花を摘みに行っても?(訳:トイレ行きたい)」
「あー、じゃあちょっと休憩しよっか~」
めんどくさそうに答えるスパイさん。ちょっと離れた場所でクルリと後ろを向いて耳を塞いでくれた。どうせ私が逃げてもすぐ捕まえる事ができるからこんな事ができるんだろうけど……
「今日の私は一味違うのよ!」
聞こえたらヤバイので、アッカンベーをしながら小声で叫んでやった。そのまましゃがみ込み、ガサゴソと地面を探ると。
おー! あった‼︎
見事にビンゴ! 通路の入り口の取手を見つけ、持ち上げる。この通路の入り口はカラクリになっており、仕掛けがわからないと見つけることはもちろん入ることすらできない。私はまぁ小説で見つけ方と開け方知ってるし?
「さよ~なら~」
ニヤニヤとスパイさんの後ろ姿に手を振って私は通路の中に入ったのだった。勿論入り口もきちんと閉めたよ!
【王子とユリア】
「クソッ‼︎ フレヤを捕まえられなかった、だとぉ⁉︎」
「はい」
ドンッと苛立ちもあらわに机を叩きつける王子。向かい側には王子直属の騎士団である騎士団長が気まずげに報告していた。
アイツは俺のものだぞ⁉︎ 痩せたのも俺に釣り合うように痩せたんだろ! 何故逃げたんだ‼︎ クソッ!
「おい、どこに行ったか徹底的に調べろ。見つかり次第フレヤは俺の別荘に閉じ込めておけ」
「了解しました」
「戻ったら俺が直々に躾けないとなぁ」
目をギラギラと光らせ欲望を隠そうともしない王子は、フレヤを捕まえた後のことを想像し、楽しそうに歪んだ笑みを浮かべたのだった。
一方ユリアも王子と同じように怒り狂っていた。
「あの豚女が逃げたですってぇ⁉︎ 役立たず! 何してんのよ‼︎ しかもあのイケメンも取り逃がすってどういうことなの⁉︎ ユリア、いっぱいあのお方とお話ししたかったのにぃ‼︎ 豚女は見つかり次第殺して頂戴! そうねぇ、餓死でいいと思うわ! イケメンは見つけたらユリアに教えて! 逃さないでね‼︎」
「は、はい!」
「はぁ、何でこんなに早く死んじゃったのかしら。もし、もう少し長く生きていればあのイケメンの名前が分かったかもしれないのにぃ~! スパイも欲しかったけどアレは敵だもん。私の命を脅かすのは排除しなくちゃね! ああ、早く私の王子様に会いたいわ!」
フリフリとリボンやフリルをふんだんに使用したピンクの可愛らしいドレスを見に纏いユリアは恋する乙女の表情であの日ぶつかったイケメンを思い出し、うっとりと目を細めるのであった。
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