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5.悪役令嬢が強制退出させられた後
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フレヤが騎士達に引きずられて出て行ったパーティー会場では、どこかほっとした雰囲気が漂っていた。
「やはりね、私思っていたんですの。一国を任せる王妃があんなだらしない方に務まるわけないって」
「あら、わたくしもよ?」
「フレヤ様ってばご自身で努力されずに容姿の綺麗な方を羨ましそうに眺めていらっしゃいましたわ」
「ふふふ、それは滑稽ですわね」
「あのふくよかすぎるお身体は何度見ても……」
「まぁ! それ以上言われたらいけないわよ。フレヤ様はまだ公爵令嬢なんだから」
「あら、ほんとだわ。でもねぇ? あの容姿を見て公爵令嬢なんて恥ずかしくないのかしら?」
「私だったら恥ずかしくて外も歩けないわ。まして王子の横に立つなど……」
ひと段落ついたところで流れてくるのは貴族特有のヒソヒソ話である。みな、いなくなったフレヤを思い思いに嘲りまくっていた。しかし、そんな会場の空気が一変する出来事が起こる。
「みな、聞いてくれ。今日をもって私はユリアと婚約する。まだ正式ではないが、追って式を執り行う予定だ」
「レオン様! ユリア、レオン様の期待に応えられるように頑張りますね‼︎」
王子が男爵令嬢であるユリアと婚約すると言い出したのだ。しかし、王子が決めたといえど、そこで黙って従う貴族ばかりではない。
「殿下! 恐れながら、その方は男爵でございます。身分が吊りあっていないかと‼︎」
1人の令嬢が声をあげた。他の令嬢達もそうだそうだと言わんばかりに王子の隣に立つユリアを睨みつけている。
対するユリアは涙目になっており「そ、そんな……」と王子の後ろに隠れてしまった。そんな愛しのユリアを見た王子と側近達は激怒。
「貴様! ユリアを怖がらせたな⁉︎ これは決定事項なのだ‼︎ しかもユリアはもう少しで公爵令嬢になんだぞ‼︎」
「ユリアは性格も良くって可愛いんだ!」
「はぁ、公爵令嬢を敵に回すとろくな事がありませんよ? まぁその前に私が手を下すかもしれませんがね」
「ヒッ⁉︎ も、申し訳ありません……!」
突然怒り狂った王子と側近達に恐怖を感じて後ずさる令嬢達。
こうしてユリアは公式ではないものの王子の婚約者となったのだった。
●●●
【ユリア】
「貴様は国外追放だ!」
そう、公爵令嬢に怒鳴りつけている王子を横目にユリアは嬉しさで心がいっぱいだった。
やっとあのデブにやり返せた! いつもいつもユリアに作法がなっていないやら、私の王子に近づかないでやらブス、クズ、娼婦の子など散々言ってくれたのだ。私が大人しくやられているわけないでしょ? 王子に近づいたのはまぁ……下心あったのは認めるけど王子の方もアンタなんて視界に入れたくなかったみたいよ?
呆然としているおデブちゃんには悪いけどこのイケメン王子は私がもらうわね! あと王子の取り巻きのイケメン達も‼︎
2人では足りずに4人の騎士に連れられて会場を出て行くフレヤを見ながらうまく行ったことにユリアはほくそ笑んだ。
しばらくして王子がユリアの肩を抱き、ユリアが望みに望んだ言葉を言ってくれる。
「みな、聞いてくれ。今日をもって私はユリアと婚約する」
あはっ! ユリアってば罪な子よね! こんなに可愛いから男爵でも王子の婚約者になっちゃったわ‼︎ 悔しそうにこちらを見てくる令嬢達に王子に見えないように勝ち誇った笑みを見せ、次に王子の方を向き上目遣いを意識して「レオン様! ユリア、レオン様の期待に応えられるように頑張りますね‼︎」と言ってあげた。
王子の顔が緩む。ユリア、王子の顔は好きだけどこの顔は好きじゃない。お母さんを見る男達の顔にそっくり。キモチワルイ。
見つめあっている私たちを見て、1人の令嬢が我慢できなかったようにユリアとレオン様が身分的につり合っていないと言い出した。
ふふふ、罠にかかったわ!
そう、男爵令嬢では身分が低くて話にならない。だから王子との婚約がスムーズになるように公爵家に養子に行くのだ。
ユリアは可愛からみんな許してくれたわ!
実際、もう手続きは済んでいる。この国には公爵家が2つある。レノン公爵家とバリス公爵家だ。フレヤはレノン公爵家の1人娘で、バリス公爵ばレノン公爵家が自分以上に権力を持つのを嫌がっていた。
そこに時期王妃からの養子縁組である。飛び付かないわけがない。そして、ユリアが公爵令嬢になるという噂を広めてもらうためにも誰かがこの婚約に反対してくれなければならないのだ。
そして、ユリアの思惑通りに事が運んじゃったのよね~! 確かユノン侯爵令嬢だったっけ? ありがと‼︎
仕上げに涙目を作って王子の後ろに隠れれば……
「貴様! ユリアを怖がらせたな⁉︎ これは決定事項なのだ‼︎ しかもユリアはもう少しで公爵令嬢になるんだぞ‼︎」
ユリアのシナリオ通り! レノン様ってば怒ってユリアが公爵令嬢になる事広めてくれたわ‼︎ これで贅沢三昧! お金持ちのイケメンを捕まえたから将来も安泰ね!
ふふふ、あとは国外追放予定のフレヤだけど、国を出た瞬間にでも、こっそり始末しちゃいましょ‼︎ 必要ないもの。時期王妃であるユリアに歯向かった罪は重いのよ~!
王子の後ろではユリアは先程の守ってあげたくなるような可愛らしい小動物的な雰囲気を醸し出してはおらず。むしろ肉食獣のような雰囲気を醸し出しており、ニヤリとその愛らしい唇を吊り上げたのだった。
「やはりね、私思っていたんですの。一国を任せる王妃があんなだらしない方に務まるわけないって」
「あら、わたくしもよ?」
「フレヤ様ってばご自身で努力されずに容姿の綺麗な方を羨ましそうに眺めていらっしゃいましたわ」
「ふふふ、それは滑稽ですわね」
「あのふくよかすぎるお身体は何度見ても……」
「まぁ! それ以上言われたらいけないわよ。フレヤ様はまだ公爵令嬢なんだから」
「あら、ほんとだわ。でもねぇ? あの容姿を見て公爵令嬢なんて恥ずかしくないのかしら?」
「私だったら恥ずかしくて外も歩けないわ。まして王子の横に立つなど……」
ひと段落ついたところで流れてくるのは貴族特有のヒソヒソ話である。みな、いなくなったフレヤを思い思いに嘲りまくっていた。しかし、そんな会場の空気が一変する出来事が起こる。
「みな、聞いてくれ。今日をもって私はユリアと婚約する。まだ正式ではないが、追って式を執り行う予定だ」
「レオン様! ユリア、レオン様の期待に応えられるように頑張りますね‼︎」
王子が男爵令嬢であるユリアと婚約すると言い出したのだ。しかし、王子が決めたといえど、そこで黙って従う貴族ばかりではない。
「殿下! 恐れながら、その方は男爵でございます。身分が吊りあっていないかと‼︎」
1人の令嬢が声をあげた。他の令嬢達もそうだそうだと言わんばかりに王子の隣に立つユリアを睨みつけている。
対するユリアは涙目になっており「そ、そんな……」と王子の後ろに隠れてしまった。そんな愛しのユリアを見た王子と側近達は激怒。
「貴様! ユリアを怖がらせたな⁉︎ これは決定事項なのだ‼︎ しかもユリアはもう少しで公爵令嬢になんだぞ‼︎」
「ユリアは性格も良くって可愛いんだ!」
「はぁ、公爵令嬢を敵に回すとろくな事がありませんよ? まぁその前に私が手を下すかもしれませんがね」
「ヒッ⁉︎ も、申し訳ありません……!」
突然怒り狂った王子と側近達に恐怖を感じて後ずさる令嬢達。
こうしてユリアは公式ではないものの王子の婚約者となったのだった。
●●●
【ユリア】
「貴様は国外追放だ!」
そう、公爵令嬢に怒鳴りつけている王子を横目にユリアは嬉しさで心がいっぱいだった。
やっとあのデブにやり返せた! いつもいつもユリアに作法がなっていないやら、私の王子に近づかないでやらブス、クズ、娼婦の子など散々言ってくれたのだ。私が大人しくやられているわけないでしょ? 王子に近づいたのはまぁ……下心あったのは認めるけど王子の方もアンタなんて視界に入れたくなかったみたいよ?
呆然としているおデブちゃんには悪いけどこのイケメン王子は私がもらうわね! あと王子の取り巻きのイケメン達も‼︎
2人では足りずに4人の騎士に連れられて会場を出て行くフレヤを見ながらうまく行ったことにユリアはほくそ笑んだ。
しばらくして王子がユリアの肩を抱き、ユリアが望みに望んだ言葉を言ってくれる。
「みな、聞いてくれ。今日をもって私はユリアと婚約する」
あはっ! ユリアってば罪な子よね! こんなに可愛いから男爵でも王子の婚約者になっちゃったわ‼︎ 悔しそうにこちらを見てくる令嬢達に王子に見えないように勝ち誇った笑みを見せ、次に王子の方を向き上目遣いを意識して「レオン様! ユリア、レオン様の期待に応えられるように頑張りますね‼︎」と言ってあげた。
王子の顔が緩む。ユリア、王子の顔は好きだけどこの顔は好きじゃない。お母さんを見る男達の顔にそっくり。キモチワルイ。
見つめあっている私たちを見て、1人の令嬢が我慢できなかったようにユリアとレオン様が身分的につり合っていないと言い出した。
ふふふ、罠にかかったわ!
そう、男爵令嬢では身分が低くて話にならない。だから王子との婚約がスムーズになるように公爵家に養子に行くのだ。
ユリアは可愛からみんな許してくれたわ!
実際、もう手続きは済んでいる。この国には公爵家が2つある。レノン公爵家とバリス公爵家だ。フレヤはレノン公爵家の1人娘で、バリス公爵ばレノン公爵家が自分以上に権力を持つのを嫌がっていた。
そこに時期王妃からの養子縁組である。飛び付かないわけがない。そして、ユリアが公爵令嬢になるという噂を広めてもらうためにも誰かがこの婚約に反対してくれなければならないのだ。
そして、ユリアの思惑通りに事が運んじゃったのよね~! 確かユノン侯爵令嬢だったっけ? ありがと‼︎
仕上げに涙目を作って王子の後ろに隠れれば……
「貴様! ユリアを怖がらせたな⁉︎ これは決定事項なのだ‼︎ しかもユリアはもう少しで公爵令嬢になるんだぞ‼︎」
ユリアのシナリオ通り! レノン様ってば怒ってユリアが公爵令嬢になる事広めてくれたわ‼︎ これで贅沢三昧! お金持ちのイケメンを捕まえたから将来も安泰ね!
ふふふ、あとは国外追放予定のフレヤだけど、国を出た瞬間にでも、こっそり始末しちゃいましょ‼︎ 必要ないもの。時期王妃であるユリアに歯向かった罪は重いのよ~!
王子の後ろではユリアは先程の守ってあげたくなるような可愛らしい小動物的な雰囲気を醸し出してはおらず。むしろ肉食獣のような雰囲気を醸し出しており、ニヤリとその愛らしい唇を吊り上げたのだった。
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