目が覚めたら異世界で草生える

キャンプ

キャンプ場についた

　しばらく進むとキャンプ場らしき場所が見えてきた。
　まだ明るい時間だからか、テントが乱立しているような状態ではなかったけど、それでもポツポツとは人がいるみたい。立派な荷馬車があって、荷馬車を守る兵隊さんもいるから、ヒサメくんとかと同じような感じで旅の商売をしている行商人なのかもしれないね。
　キャンプ場についた私は早速お馬さんを適当な木に繋いで、大きな文字で「受付」と書かれた看板の立てられた建物に向かうことにした。

「あの～、すいませ～ん……」
「……」
「……すいませーん！　誰かいませんかー！」
「（ドタドタ）あわわ、申し訳ありません。お客様ですか？　ご新規さまですか⁉︎」
　慌てた様子で二階から駆け下りてきたのは、羊毛みたいな天然パーマに優しそうな瞳をした、私と同い年ぐらいの可愛い女の子だった。綺麗系というよりは可愛い系とか癒し系みたいな感じで、男子からも女子からも好かれるタイプ……なんて、見た目だけで判断するのもどうかと思うんだけどね。
「はい、ついさっきここに到着したばかりで。それで、できればコテージをお借りしたいんですけど……」
「は、はい。え～っと、今なら『上』『中』『下』のどれでも空いていますよ！　料金とオプションはこちらになります」
「へぇ、なるほどね……」
　まずもって、『下』にはお馬さんようの厩舎が付いていないから論外として、『上』と『中』の違いは……え、『上』にはお風呂がついてるの⁉︎　この世界ではお風呂には入れないものだと思ってたから、これはもう『上』一択でしょ。料金は『中』だと銅貨３枚で『上』だと銀貨１枚みたいに値上がりするみたいだけど、そもそも私、銅貨とか銀貨とかの価値もよくわかんないし。
「決めました。『上』にします」
「ええっ⁉︎　銀貨一枚ですよ。本当に大丈夫ですか？」
「はい。えっと、銀貨ってこれですよね？　はい、どうぞ」
「……ありがとうございます、お金さえいただければなにも言いませんが。こちらがお客様の泊まる建物の鍵になります。建物の場所はここから出て左に少し行った場所です。鍵が建物に反応しますので迷ったら鍵の反応を頼りにしてください」

　この反応を見た感じ、もしかしたら銀貨一枚ってそこそこ価値が高かったのかも？　てか、今の私は銀貨一枚が銅貨何枚分の価値を持っているのかも知らないんだよね……。今後はお金の価値についてもある程度勉強した方が良いのかもしれない。
「お馬さん、お待たせ。それじゃあ行こうか」
『うむ、無事に宿を借りることができたようであるな。早速向かうことにしよう』
　受付の女の子に言われた通りに左側に少し歩くと、鍵がプルプルと震え始めた。振動の強い方向に歩いていくと、結構豪華な建物があった。どうやらこれが、今日の私たちの宿になるらしい。
　とりあえずお馬さんを厩舎に連れて馬具を全て取っ払って、あとはなにをすれば良いんだっけ……。
『お主よ、後のことは我一人でなんとかなる。お主は明日の朝まで自由に過ごすが良い』
「さすがお馬さん。じゃあとりあえずご飯はここに置いておくね」
　お馬さんは、魔力を使って大抵のことは自分一人でなんとかなってしまうみたい。私としては助かるから良いんだけど、すべての馬がこんなに優秀だとは思わない方が良いのかな。
　さて、お風呂は確かに気になるけどまだ昼前だし今は我慢するとして、建物の中を軽く調べたらキャンプ場を歩いて回ってみようかな。