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旅3

とりあえず同行することにした

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 少し疲れたので木陰で休んでいると、お馬さんが無双して助けた荷馬車から一人の少年が出て、私の方に歩いてきた。
 騎士たちは男の子に対して少し距離を取りながら道を譲っている。周りの様子を見た感じ、あの男の子が騎士たちの雇主なんだろうけど、一体私に何の用だろう。

「……やあ、さっきは助けてくれてありがとう。商会を代表してお礼するよ!」
「あらこんにちは。ぼうや、お名前は?」
「お前、失礼なやつだな。まあいい、さっきは助かったから特別に許してやろう。ボクの名前はヒサメだ。お前の名前は?」
「私はアカネ。よろしくね、ヒサメくん」

 近くで見てもやっぱり小学校高学年ぐらいの子供だった。西洋風の丸みを帯びた顔立ちのせいで余計に幼く見える気がする。
 着ている服は質が良さそうだから、どこかのお坊ちゃんだろうか。貴族とかなら愛想良くしといたほうがいいのかな。まあ、媚び売ったりする気はないけど。

「アカネさん、よかったらボクの隊商キャラバンに加わってくれませんか? ……あ、もちろん護衛としてですよ! アカネさんが目的とかそう言うわけではなく……」
「あれ~? つまりそれは私に魅力がないってことかな~?」
「いえそういうわけではなく、さっきのアカネさんは姫騎士のようでかっこよかったですが……。って、だからそういうわけではなく⁉︎」

 あらまあ照れちゃって。やっぱりまだまだ子供だね。
 てか、さっきの私は必死にお馬さんにしがみ付いてただけだったんだけど、この子の目にはどう写ってたんだろう……。

「でも、ちょっと待ってね。(お馬さん、この子がこんなことを言ってますけど、どう思います?)」
『ふむ。おそらく我らの戦力をあてにしてのことであろうが。しかしこの規模の隊商の移動速度では、今日中にキャンプ地につくことも叶わぬであろうな。それに魔導学院もくてきちに着くのにも数ヶ月は必要となりかねぬ』
「(なるほど。じゃあ混ざるのはやめといたほうがよさそう?)」
『お主の目的を考えるのであればな。だが、お主の体力のことを考えて今日のところは共に行動し、明日からは別れるという手も無いとは言えぬ。その場合どこぞで野宿することになるだろうが、これだけ人が集まって居ればそれもさして問題にはなるまい』
「(そっか……)。よし、決めたよヒサメくん。とりあえず今日のところはいっしょに連れて行かせてもらおうかな。もちろん(お馬さんが)護衛もするよ」
「今日のところは。というと?」
「うん、私にもある程度急ぐ用事があるからね。明日からはまたそれぞれ別々に旅したいなって思う。それがダメならそもそもいっしょに行動はできない。かな」
「今日だけ……ですか。まあしょうがないか。じゃまあとりあえず今日のところはよろしく……」
「よろしくね、ヒサメくん!」

 ヒサメくんは一瞬の間だけ少しがっかりしたような表情を浮かべたけど、さすがにこれだけ大きな集団をまとめているだけあってしっかりと分別が効くみたいで、わたしから「よろしく」と言って手を差し出すと、気持ちを切り替えて笑顔で私の握手に応じてくれた。
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