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街2
異世界の水は異世界の味がした
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お馬さんを店の中に連れていくわけには行かないからどうしようって考えてたら、普通にお店の隣に動物が休める小さな小屋があった。
馬での移動が当たり前のこの世界には、駐車場ならぬ駐馬場がいろいろなところにあるらしい。
お店に入って席について料理を注文するためのメニューを見ると、中には連れてきた動物向けと思われる「草(馬、羊など)」とか「肉(ドラゴンなど)」とかのメニューもあった。別にこの店が特別っていうわけでもなくて、どこの店でも当たり前にあるらしい。
「お客さん、嫌いな食べ物とかはあるかい?」
「いえ、自分で言うのもなんですけど、私好き嫌いはない方ですよ」
「だったらこの『本日のおすすめ』でいいか?」
「えっと、魔鹿のステーキ? これって美味しいの?」
「そうか、お客さん。料理に関する記憶もなくしちまったんだな……。そうだな、まあこの辺りでは良く食べられる料理だな。魔力が豊富だからお客さんが魔力を取り戻す手助けになるかもしれねえと思ったんだが」
「あ、そうなんだ。だったらおじさんの選んだメニューでいいよ!」
私の記憶と一致するのはステーキの部分だけで、魔鹿なんて知らないし、だいたい私は鹿肉自体食べたことないんだけど……。
宿屋のおじさんはお店の店員さんに視線を送って呼んでから、本日のおすすめを二人分と、馬用の飼料まで注文してくれた。
しばらく待つと、シェフがステーキの乗った皿を二つととパンを四切れ持ってくる。鹿肉というからどんな姿かと期待してたけど、見た目の感じだと普通のステーキとあまり変わらないっぽい? 普通に美味しそう。早く食べたい!
「魔鹿のステーキでございます。高魔力食になりますが、大丈夫ですか?」
「高魔力食? なんですか、それ」
「ああすまん。このお客さんは記憶喪失なんだ。えっと、お客さん。高魔力食ってのは、名前の通り魔力分の高い食品のことだ。さっきも言ったが魔鹿は魔力が豊富だからな」
「左様です。魔力の高い食品にアレルギーを持つ方もいらっしゃるので念のため聞いているのです。失礼ですが、お客さんの魔力許容値を測らせていただいても? ……試しにこちらの水を一口飲んでみてください」
店員さんはそう言ってポケットからポットを取り出してコップに水を注いで手渡してくれた。
「こちらは中程度の魔力が溶けた魔水になります。これを飲んでも平気であれば、魔鹿のステーキぐらいなら食べても大丈夫でしょう」
「まあ、そうだな。よほど大丈夫だとは思うがお客さん、念のために検査に付き合ってくれ。念のために、な」
「そうなんだ。まあいいですよ。それでは、いただきます……」
あれ?なにこれ、ただの水じゃない⁉︎ うぇ、っぺ!
「なんか、口の中がヒリヒリするんですけど……」
どうやら私にはこの世界の料理を食べることはできない気がしてきた……。
馬での移動が当たり前のこの世界には、駐車場ならぬ駐馬場がいろいろなところにあるらしい。
お店に入って席について料理を注文するためのメニューを見ると、中には連れてきた動物向けと思われる「草(馬、羊など)」とか「肉(ドラゴンなど)」とかのメニューもあった。別にこの店が特別っていうわけでもなくて、どこの店でも当たり前にあるらしい。
「お客さん、嫌いな食べ物とかはあるかい?」
「いえ、自分で言うのもなんですけど、私好き嫌いはない方ですよ」
「だったらこの『本日のおすすめ』でいいか?」
「えっと、魔鹿のステーキ? これって美味しいの?」
「そうか、お客さん。料理に関する記憶もなくしちまったんだな……。そうだな、まあこの辺りでは良く食べられる料理だな。魔力が豊富だからお客さんが魔力を取り戻す手助けになるかもしれねえと思ったんだが」
「あ、そうなんだ。だったらおじさんの選んだメニューでいいよ!」
私の記憶と一致するのはステーキの部分だけで、魔鹿なんて知らないし、だいたい私は鹿肉自体食べたことないんだけど……。
宿屋のおじさんはお店の店員さんに視線を送って呼んでから、本日のおすすめを二人分と、馬用の飼料まで注文してくれた。
しばらく待つと、シェフがステーキの乗った皿を二つととパンを四切れ持ってくる。鹿肉というからどんな姿かと期待してたけど、見た目の感じだと普通のステーキとあまり変わらないっぽい? 普通に美味しそう。早く食べたい!
「魔鹿のステーキでございます。高魔力食になりますが、大丈夫ですか?」
「高魔力食? なんですか、それ」
「ああすまん。このお客さんは記憶喪失なんだ。えっと、お客さん。高魔力食ってのは、名前の通り魔力分の高い食品のことだ。さっきも言ったが魔鹿は魔力が豊富だからな」
「左様です。魔力の高い食品にアレルギーを持つ方もいらっしゃるので念のため聞いているのです。失礼ですが、お客さんの魔力許容値を測らせていただいても? ……試しにこちらの水を一口飲んでみてください」
店員さんはそう言ってポケットからポットを取り出してコップに水を注いで手渡してくれた。
「こちらは中程度の魔力が溶けた魔水になります。これを飲んでも平気であれば、魔鹿のステーキぐらいなら食べても大丈夫でしょう」
「まあ、そうだな。よほど大丈夫だとは思うがお客さん、念のために検査に付き合ってくれ。念のために、な」
「そうなんだ。まあいいですよ。それでは、いただきます……」
あれ?なにこれ、ただの水じゃない⁉︎ うぇ、っぺ!
「なんか、口の中がヒリヒリするんですけど……」
どうやら私にはこの世界の料理を食べることはできない気がしてきた……。
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