言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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ログアウト権限を獲得した者たち

疑問と。

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 私は、アイダさんがしてくれたように、自分に送られてきた本文をスクリーンショットして送る。

『つまりは、サランさんのように条件をクリアしてログアウトした人たちと、私達のようにログインしていなかった人たちで、別のメールが送られてきている、ということはすべてのプレイヤーの状況を運営は、把握しているということでしょうか』

 アイダさんの言葉に、アイダさんは見えないだろうに頷いてしまう。アイダさんの言う通りだ。すべてのプレイヤーのことを把握していないと、こうやって一括でメールを送るのは無理な気がする。しかも、全員同じメールじゃない。状況によって違うメールが送られてきているわけだし。

 全員じゃなかったとしても、『特別スキル』を持った人たちだけにしてもかなりの数がいるはず。その人たち全員の状況を把握できているとしたら。

「……一体どうやってそんなことを……」

 全員の状況を一括で調べ上げるシステムか何かを持っているとしか……。でもたとえ、そんな便利なものがあったとしても、そもそもそれをどうやって作ったのかって話に……。

『アイダさんがゲームを続けたいという気持ちがあるということをお聞きしました。だから、ゲームにログインしてくださる時には、アイダさんが強制的にゲームをログアウトさせられることがないよう、これからもゲームを続けられるよう条件クリアを手伝いますので安心してください』

 そう送りつつ、これはムトウさんの狙い通りなんだろうとも思う。私の予想が正しくて、ムトウさんが『特別スキル』を持った人間だけをゲームに閉じ込めたんだとしたら。そしてその日にゲームをしていなかった『特別スキル』を持った人たちにこのメールを送ったんだとしたら。

 このメールで、まだまだゲームを遊び足りない人たちは、ゲームにログインするはず。もちろん自分の命が危険にさらされる可能性を考えた人たちは、もうゲームにログインできないとしても、ログアウトできなくなる可能性なんかを考えてログインしないと思うけど。それでも、ログインしていなかった人たちの何割かをゲームに呼び戻せる……。

 その時、着信が入る。シュウさんだ。
『もしもし、ごめん、シュウカだけどー。あたしの電話番号教えてなかったから、お兄ちゃんのを借りたんだ。ごめんねー』
「いえ、別に謝らなくても……」
『兄ちゃん、今シャワーに入ってるんだけど。さっきサランさんが兄ちゃんに、『特別スキル』を持った人間だけがゲームに閉じ込められたのかもしれないって話をしたって聞いたんだー』
「そうなんです、そうなんです」
『それならねー、あたしも心当たりがあるの。あたしも、『特別スキル』を持ってるからー』

 そっか、シュウカさんもゲームに取り残されてたわけだし……。って、そっか!? 確かに今更だけど、その発想で行くならそりゃ、シュウカさんも持ってるはずだよね、『特別スキル』! 気づかなかった!
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