言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

ログアウト権限を獲得した者たち

頼れる人を探してその２

　シュウさんへ伝えていた心当たりのある二人。その二人がどうしているか、調べてみないと。

　WFOのサイトを開いてログインして、フレンドのログイン状況を確認する。最優先で確認するつもりだったのが、カズアキさんと、フリントさん。

　カズアキさんは元々、シュウさんの知り合い。前に彼からは、腐れ縁だと聞いた。そんなカズアキさんとシュウさんが、ギルドマスターとギルドサブマスターを務めるギルドに、私は所属させてもらっていた。といっても具体的にギルドとしての活動に参加はしていないけど。そもそも、そんなにギルド活動みたいなものはやってないってカズアキさんもシュウさんも言ってたからね。

　そしてどちらもが、オフライン状態、つまりはゲームからログアウトしている状況であることを知る。

　私は二人に、メールを送付してみる。内容は、ゲームからログアウトできなくなった日、ゲームにログインしていたこと。条件をクリアして、ログアウトできたこと。それぞれはその日、ログインしていたのかどうか。そしてログインしていたのなら、強制的にログアウトさせられたのか、それとも私達のように条件をクリアしてログアウトできたのかを教えてほしいという内容。

　それから最後に一言、自分は再びゲームにログインしようと思っていること、そのためにシュウさんたち現実世界組と協力し、二手に分かれて原因を探ろうとしていることを書き記す。

　そうしている中で、ふと考える。強制ログアウトさせられた人と、そのままゲームの中に閉じ込められた人、一体何が違うって言うんだろう……。

　うーん、と一人でうなっていたら、メールが来たことを告げる、通知音がスマートフォンから聞こえた。パソコンでメールボックスを開くと、送信相手は、ヒナタさんだった。件名は、『何か知ってたら、教えてくれ』。

『ヒナコがゲームにログインしたままログアウトできない状態だ。何か知ってたら教えてほしい。オレはあの日、ログインしていなかったからよく分からないけど、ヒナコの両親がオレの両親に連絡してきた。大切ないとこなんだ、助けてくれ』

　ヒナコさんとヒナタさん。私がゲームにログインしてから割とすぐに出会った二人。私と同じように、ゲーム世界のお店で働いていた。
　ヒナコさんが料理のアイデアをもとにスキルで形にして、ヒナタさんがそれを量産するスキル持ち。そういう話だった気がする。二人に頼んで、詐欺師さんを探したんだった。
　あの一件の後、二人とフレンド登録はしたものの、その後まったく音沙汰がなかった。それが急にヒナタさんから連絡が来た。これはただ事じゃない。
　それに、ヒナタさんがゲームからログアウトして来ないとある。ヒナコさんはゲームの中に閉じ込められてしまったんだ。