言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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ログアウト権限を獲得した者たち

頼れる人を探してその1

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 こうして私たちはとりあえず一度ビデオ電話アプリを切った。さて、私はゲームにログインしたままになっている知り合い、またはゲームにログインして手助けしてくれそうな人探しをしないと。

 その時、職場のメールアドレスに一通のメールが届いていることに気付く。仕事は、今はあまり好きじゃないけど、職場のメールは結構確認するくせがあるから、大体のメールは、職場のメールアドレスに送ってもらうようにしてるんだよね。送ってきた相手は……――、大藤さん、フジヤさんだ。

 大藤さんは、部署は違うけれど私と同じ会社で働いている受付の人。最近は、出勤が同じ日には、休憩時間を合わせて一緒にお昼ご飯を食べていた。メールの件名は、『大丈夫ですか?』。あわててメール本文を確認する。

『朝宮さん。今日、お昼に休憩合わせられないかと思って、そっちの部署に行ったらお休みだと聞きました。ゲームにログインしていたと聞いたから、このメールも見れてないのかもしれないけど、じっとしていられなかったからメールしてしまいました。無事だといいんだけれど……。もしこちらに戻ってきていて、何かお手伝いできることがあれば、連絡ください。ちなみに当日私は、ログインしていましたが強制的にログアウトさせられてしまいました』

 ああ、フジヤさん! 私のことを心配して連絡してくれたんだ。私は心があったかくなるのを感じる。

 金本部長の手違いにより出会って、カンナさんのお店のチラシ作りを手伝ってもらうことになったフジヤさん。チラシ作成代金はいらないと言ってくれた優しいフジヤさん。フジヤさんもゲームにはログインしていたけど、強制的にログアウトさせられてしまったんだね。まぁ、不幸中の幸い……なんだろうか。

 だとすると、フジヤさんに事情を説明して協力をお願いしてみようか。フジヤさんもアニメグッズとか集めるのが好きでSNSもよく使うって言ってたから、SNSが苦手なシュウさんとうまく連携をとって情報集めをしてくれるはず。

 フジヤさんにメールを返信する。

『大藤さん。お世話になっております。私のことを気にかけて下さり、ありがとうございます。実は私もあの日、ゲームにログインしていてこちらはログアウトできない状態だったのですが、色々あって無事にログアウトできました。ただ、私自身はゲームに再ログインする予定です。それで、もし可能であれば大藤さんにお願いしたいことがあるのですが……』

 すぐに返事が返ってくるといいけれど。そう思いながら、メール本文を作成し送信した。
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