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ログアウト権限を獲得した者たち

裏公式からのアナウンス?

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 その時だった。新着メールが届いたことを告げるデスクトップ通知が入る。

「公式からメールが来ました」
「こんな時間に? 一体なんだろ?」

 シュウカさんが首をかしげる。そうしている間に、シュウさんが自分のスマートフォンを取り出す。しばらくして、顔をしかめた。

『……いや、これは公式が出した正式なメールじゃないな』
「公式が出したものじゃない……?」

 そう聞き返しつつ、自分もメールボックスを開いて中身を確認してみる。件名を見て、シュウさんの言っている意味が分かった。

『【裏運営】自動ログアウトシステムとログイン権限に関して』

 自動ログアウトシステム? そんなシステムがあるの?
 それに、裏運営って……。
 あわててメールの内容を確認する。

『Wonderland Fantasy Onlineをプレイしてくださっている皆様にお知らせです。現在、ご自身のタイミングでゲームからログアウトができないシステムとなり、ご迷惑をおかけしております。こちらのシステムですが、本日から3日後の23時59分を持ちまして、廃止いたします。既定の時間になりましたら全プレイヤーを一斉に強制ログアウトとさせて頂きます。この期間内に既定の条件をクリアしたプレイヤーは、それ以降のログインログアウトは自由に行うことができます。条件がクリアできなかったプレイヤーに関しては、強制ログアウト後、再度ログインはできませんのでご了承ください』

「……」
『……ムトウからのメールだな』

 シュウさんがため息をつく。

『これってさ、ムトウさんが課した課題を3日以内にクリアできなかった人たちはもう、二度とこのゲームをプレイできないことになるってことだよね!?』
「そういうことになりそうですね」
『うわー、それは嫌! お金返してってなる!』

 いや、そっちなんだ、シュウカさん。まぁそれも大事だけれども……。

「確かに、そう思う人も一定数いそうですね」
『……これは、運営側も対応に追われそうだな……』

 シュウさんが頭を抱えている。確かに、それは言えてる。
 たくさんの問い合わせの電話やメールが飛んでくるんだろうな。
 
「とはいえ、まだゲームをプレイしている当人たちは、ゲームの中です。公式に問い合わせをするとしたら、メールしか手段がありません。電話対応はそこまで混雑しなさそうですね」
『……だといいな』

 とはいえ、ムトウさんの意図が気になる。
 なんで今、このタイミングでこんなアナウンスを出したんだろう。
 しかも条件をクリアしないと、強制的にゲームからログアウトさせられるなんて。
 これは、なんとしてでも真相を確かめなくちゃ!
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