260 / 304
攻略!ビルもどきダンジョン
敵の出現
しおりを挟む
「なんだか、VRMMOのダンジョンというより、RPGのダンジョンを彷彿とさせますよね」
私が言うと、シュウカさんも頷く。
「そういえば。このゲームのダンジョン、結構回ってきたつもりだけど、こういうダンジョンは初めてかも」
私は、この前シュウさんたちと一緒に行ったダンジョンしか行ったことがないから分からない。だけど、シュウカさんがそう言うんだから、そうなんだろう。
『……ダンジョンにも様々な種類がある。経験値稼ぎを目的とした、モンスターがわんさか出てくるものや、レア素材などが見つかりやすいダンジョンなど、目的に合わせたダンジョンが多数用意されていると思ってもらえると分かりやすい』
ちなみに、シュウカやこちらがよく行くのは、経験値稼ぎ目的のダンジョンだ、とつけたすシュウさん。
「時々、武器や防具の生産や強化のために素材系のダンジョンに入ることもあったんだけど、それともなんか、違う気がするよね……」
『基本的に、ダンジョンの形状としては、城系、洞窟系、神殿系が多かったしな。そもそも、ビルの形をしたダンジョンを見たのはこれが初めてだ。……今まで見てきたダンジョンの常識は通用しないかもしれない、注意しろシュウカ』
「分かってるよ」
シュウカさんはそう言いながらも、書類の束に触れている。
「でもさ、やっぱり気になるなぁ。これだけ書類の山とかデスクの並びとかこだわってるのに、全部触れられないなんて」
「いや、触れるものが、もしかしたらあるのかもしれません……」
私の言葉に、シュウカさん、そして完全に委縮してしまっているずんだ餅さんが顔を上げる。
「わざわざこれだけこだわって作成したダンジョンですよ? 何かなければおかしいと思いませんか」
どこか一か所だけ触れられる場所があったりとか、一個だけアイテムが置いてある場所があるとか、あり得そうだよね。
今までやってきたゲームでも、一つの部屋歩き回れるのに、調べられる場所はたった一つしかないって経験あったもん。
調べる楽しさ、冒険する楽しさ、プライスレス。そう思っていたら。再び、何かを引きずる音が。
「あれかな、ここのダンジョンのボス的な何かですかね」
「イベント的なやつで、顔見せだけーとか」
「ああ、ありますよね、そういうゲーム」
イベントシーンとして、一瞬姿を見せるけど、すぐいなくなったりするヤツね。私とシュウカさんが頷きあっていると、ついに、音の主が現れた。
松明でよくは見えないけど、目の前に立っているのは分かる。それにしても、大きい。松明の明かりだけじゃあ、首までしか照らせないや。どんな顔なんだろ。
その瞬間、シュウさんが珍しく電話の向こう側で叫んだ。
『そいつと戦ったらマズい、逃げろっ』
「え? なんで、兄ちゃん。どうせ、イベントでしょ」
能天気なシュウカさんの声に、シュウさんが鋭い声で言う。
『バカ、パラメーターを見ろっ』
その声で私たちは、後退しながら相手を凝視してパラメーターを見た。
「……敵対状態、一撃必殺、無敵……っ!!?」
私が言うと、シュウカさんも頷く。
「そういえば。このゲームのダンジョン、結構回ってきたつもりだけど、こういうダンジョンは初めてかも」
私は、この前シュウさんたちと一緒に行ったダンジョンしか行ったことがないから分からない。だけど、シュウカさんがそう言うんだから、そうなんだろう。
『……ダンジョンにも様々な種類がある。経験値稼ぎを目的とした、モンスターがわんさか出てくるものや、レア素材などが見つかりやすいダンジョンなど、目的に合わせたダンジョンが多数用意されていると思ってもらえると分かりやすい』
ちなみに、シュウカやこちらがよく行くのは、経験値稼ぎ目的のダンジョンだ、とつけたすシュウさん。
「時々、武器や防具の生産や強化のために素材系のダンジョンに入ることもあったんだけど、それともなんか、違う気がするよね……」
『基本的に、ダンジョンの形状としては、城系、洞窟系、神殿系が多かったしな。そもそも、ビルの形をしたダンジョンを見たのはこれが初めてだ。……今まで見てきたダンジョンの常識は通用しないかもしれない、注意しろシュウカ』
「分かってるよ」
シュウカさんはそう言いながらも、書類の束に触れている。
「でもさ、やっぱり気になるなぁ。これだけ書類の山とかデスクの並びとかこだわってるのに、全部触れられないなんて」
「いや、触れるものが、もしかしたらあるのかもしれません……」
私の言葉に、シュウカさん、そして完全に委縮してしまっているずんだ餅さんが顔を上げる。
「わざわざこれだけこだわって作成したダンジョンですよ? 何かなければおかしいと思いませんか」
どこか一か所だけ触れられる場所があったりとか、一個だけアイテムが置いてある場所があるとか、あり得そうだよね。
今までやってきたゲームでも、一つの部屋歩き回れるのに、調べられる場所はたった一つしかないって経験あったもん。
調べる楽しさ、冒険する楽しさ、プライスレス。そう思っていたら。再び、何かを引きずる音が。
「あれかな、ここのダンジョンのボス的な何かですかね」
「イベント的なやつで、顔見せだけーとか」
「ああ、ありますよね、そういうゲーム」
イベントシーンとして、一瞬姿を見せるけど、すぐいなくなったりするヤツね。私とシュウカさんが頷きあっていると、ついに、音の主が現れた。
松明でよくは見えないけど、目の前に立っているのは分かる。それにしても、大きい。松明の明かりだけじゃあ、首までしか照らせないや。どんな顔なんだろ。
その瞬間、シュウさんが珍しく電話の向こう側で叫んだ。
『そいつと戦ったらマズい、逃げろっ』
「え? なんで、兄ちゃん。どうせ、イベントでしょ」
能天気なシュウカさんの声に、シュウさんが鋭い声で言う。
『バカ、パラメーターを見ろっ』
その声で私たちは、後退しながら相手を凝視してパラメーターを見た。
「……敵対状態、一撃必殺、無敵……っ!!?」
10
お気に入りに追加
615
あなたにおすすめの小説
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる