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閉じ込められた世界で

シュウさんに連絡する

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『現在分かりえることに関して』
 早速、シュウさんへ送るDMの文言を入力し始める。あくまで材質が木の板だから、タイピングしているという実感は薄いけど、まぁ仕方がない。

『シュウさんへ お忙しい中、メール頂きありがとうございます。こちらは今のところ、問題ありません。さっそく、特別スキルでパソコンもどきを作成し、そちらで出回っている情報やSNSを使える状態にしました。SNSの情報などを見ていると、どうやら同時刻でログインしていた人たちの中でも、強制的にゲームからログアウトさせられた人と、そうでない人、二種類が存在しているようです。現状、二種類の人々の共通点及び差異は不明です。こちらで分かることはまたすぐご連絡しますので、お手数ですが、シュウさんにおかれましても、部外秘以外の情報に関してはお知らせしてくださいますと、嬉しいです』

 そう勢いで打ち込むと、そのまま送信。間髪入れずに返信が返ってくる。

『無事なようで何よりだ。ゲーム内部の情報は、こちらで確認できかねる部分が多い。申し訳ないが、情報の共有を頼む。こちら側で把握した情報は、逐一共有する。まだ正式採用にはなっていないが、既にそちらが提出してくれた社員登用の書類は受理されている。こちらの判断にはなるが、正社員登用予定のそちらに社内の情報を流すのは、今回の緊急事態性も考慮して、問題ないと判断している。事前に何かあったときの保険にと、田尻に了承もとっておいたから大丈夫だ』

 ナイトメア・ソフトウェアが持っている情報は、私に流してもらえて、私が伝えた情報もまた、シュウさんを含めナイトメア・ソフトウェアに共有される。これで、現実世界とゲーム世界の情報が相互に伝わる状態に入った。

『それから。……これは余計な心配かもしれないが。もし、もし心細く感じたなら、そちらに何か考えがあれば、ボイスチャットのようなものを開発してもらえると助かる。そうすれば、随時連絡が取れる。元々、ゲーム内にいるプレイヤー同士ならボイスチャットでの会話が可能だったんだが、ゲーム世界と現実世界をつなぐボイスチャット機能は、現状実装されていないんだ』

 シュウさんのメールに、ほっと一息。確かに、随時シュウさんと連絡が取れる機能があるのなら、それに越したことはない。メールでやりとりするのもいいけど、文面では伝わりにくい部分もある。

 よし、今度は電話代わりになるものを作成しよう!
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