言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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閉じ込められた世界で

キーボードもどき作成

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「液晶画面はふにゃふにゃでもいいとして……。キーボードがふにゃふにゃなのは、まずいよね」

 液晶画面代わりの羊皮紙とキーボードは別々の方がいいよね。液晶画面は独立して使える方がいいもん。文字は打たなくても、画面でSNS上のタイムラインだけ確認したいこともあるし。

 ついでに言うと、寝転びながら画面を見る時も、キーボードが独立していた方が見やすいと思う。その方が軽いから、頭に落ちてきても大丈夫だし。

 まぁ、羊皮紙だけだったら、おでこに当たって痛い思いすることもなくていい。

「突貫工事だし……。とにかく今は情報があればいいから……」

 私はそう思って、周りを見渡す。辺りには、魔法アイテムがたくさん並んでいるけれど、そんな素敵なものを使う必要性はない。
 もっと質素なものでいいんだけどな……。

 そこで私は、はたと気づいた。本当は、キーボードをたたくあの音が再現できたらこの上なく幸せ。だけど、そんなわがまま言ってる場合じゃない。

「こうなったら……っ」

 私は、この前の散策で拾って来た木の板を取り出す。こうなったら! 木の板に! 自分で! キーボードの文字を! 書いちゃえ!!!

 そう思ったけれど、さすがに自分のフリーハンドで書いたキーボードを使うのは気が引けた。なんというか……手作り感がすごい。

「まあでも……木の板を使うアイデア自体は、悪くないか」

 私は一人納得して、木の板と、羊皮紙一枚を目の前に並べた。

「サランさんまさか……。これをパソコンにするとか……」

 言いませんよね、という表情で私の方を見つめるずんだ餅さん。

「ご名答です、ずんだ餅さん。この二つで、パソコンを作ります」
「作るんですか」

 ずんだ餅さんには、まだ私の特別スキルを明かしてない。実際に見てもらう方が早いからね。

「見ててください、ずんだ餅さん。今からこの二つのアイテムで、パソコンを作りだしてみせます」

『特別スキル【言霊・物語付与』のスキルを使用しますか』

 ポップアップ画面の表示をタップして、作成開始。アイテム名【普通の羊皮紙】と、【普通の木の板】。これらを作り変える。

「【普通の羊皮紙】と【普通の木の板】を、【ここではないどこかの文明技術】に作り変えます」

 この世界にはたぶん、スマートフォンみたいなものはない。それに近いものはあるかもしれないけれど、今私がこの世界に作り出したいのは、パソコンそのものであり、現実世界でのパソコンと同じように使えるものだから。
 
 メニュー画面を操作し、さっきシュウさんから送ってもらったパソコンの写真を表示する。そして、私自身も頭の中に、パソコン、特にキーボードをイメージする。

 よし、作成開始だ!
 
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