言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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ムトウさんを追って

公式メールアドレス

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 こんなにすぐに連絡が来るとは思わなかったな。自分が年寄りだとは言わないけど、今どきの若い人たちの考え方だと、他のコミュニケーショントークアプリみたいに、すぐに返信するのが普通なんだろうか。

 そんなことを考えながら、返信内容をタイピングしていく。

『初めまして。こちらこそ、『仲良し』登録申請の許可をありがとうございます。こちらの知っていることはお話しますので、主様の知っていることも教えて頂けると嬉しく思います』

 相手は会ったこともないいわば、他人。だからまずは相手に信用してもらう必要がある。そのためにはやっぱり、こちらから持っている情報を開示しないと。

『私が知っている、特別スキルを持っている人に近づいてくる人の特徴ですが。まず性別は、男性でした。年齢は20代後半から30代前半くらいと思われます。自分だけが特別スキルを持っていればいいという考え方を持っている印象を受けました』

 そこまで送ってみてから、続きを考える。他にどんな特徴があっただろう。

『また、特別スキルを持った人間に声をかけるパターンをいくつか持っている可能性があります。私や知っている人が狙われた際には、運営を装ったメールが使用されました』

 運営からのメールを装ったメール。あ、そう打ってたら思い出した。アイダさんに以前送られてきたメールを転送してもらえないかとシュウさんが頼んだ時。あの時シュウさんは本物の運営のメールアドレスかどうかを確認しようとしたんじゃないかな。結局、あの後、別のメールがムトウさんから届いて別の場所に転送されちゃって、それどころじゃなくなっちゃったから、忘れちゃってたけど。

 気になって、検索サイトに株式会社ナイトメアソフトウェアと入力してみる。そして、WFOの運営の問い合わせメールアドレスなどを探す。そして見つけた。確かにこのアドレス、運営からのメールアドレスと一致してる。

 私の職場もそうだけど、同じ職場に属する人間は、会社側からメールアドレスを支給される。ビジネスで必要な相手に連絡先を伝える際に使えるものとして用意される。そして、それ以外に会社が顧客などに返信する際に使う会社の大元のメールアドレスアカウント、いわゆる会社の公式アカウントへログインするためのIDとパスワードも教えてもらう。

 ログインしてメールを見ることで、会社に届いたものを社員全体が閲覧できる仕組み。また、誰でも返信ができるシステムにもなっている。

 もしかして、ナイトメアソフトウェアも一部または全社員に会社公式のアカウントへのログインIDとパスワードを共有してしまってるんじゃないのかな。そして、元社員であるムトウさんはそのIDとパスワードを知っているから、運営からのメールを装って本当に公式のアドレスからメールを送った。

 公式のアドレスから来たメールアドレスだったら、誰だって運営からのメールだって信じちゃう。これは、もしかしたらムトウさんに近づく一手になるかも!?
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