言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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「……では問題は、ムトウが持っている残り2つの能力の内容がどういったものかということだな」
 シュウさんが言いつつ、顔をしかめる。
「……相手の名前の糸口がつかめたわけだから、とりあえずこちらは、会社でムトウのことを調べてみる。そちらは、任せても構わないか」
「はい。私は、SNSなどでもう少しムトウさんについての情報を探ってみます」
 私の言葉に、シュウさんは申し訳なさそうな顔をする。
「……すまない」
 シュウさんはまだSNS慣れしてないからね、そういったことは私の方が調べるのは早いと思う。適材適所だよね。

「会社で調べがつきそうな内容なら、こちらで調べてみてまた報告する」
「私も分かったことがあれば、すぐ知らせるようにします」
 アイダさんは少し心配そうな顔をする。
「大丈夫ですか……? 危なくないですか」
 アイダさんの言葉に、私は微妙な顔をする。
「分かりません。ただ正直、前回私が彼から逃げのびた時点で、向こうも私やシュウさんを警戒して、こちらのことを調べてくるのかなと思ったんです。でも、向こうは見た感じこちらのことを調べていたような感じはしませんでした」
 もしムトウさんが私たちのことを警戒して調べようと思ったなら、元々ナイトメアソフトウェアの社員だったわけだから、少なくともシュウさんのことは調べられたはず。
「今までにムトウさんから連絡があったことはありませんよね」
 私の問いに、シュウさんは即答する。
「ないな」
 だとするならやはり、ムトウさんは私たちのことを調べようとはしなかったということになる。もしかしたら、今後の自分の行動に支障をきたすかもしれない存在。自分の今後を脅かす存在になるかもしれない私たちを放置したのは、いったいなぜだろう。
「……もしかしたら、実は止めてほしいと思っているのかもしれませんね」
 私の言葉にシュウさんが鼻をならす。
「……そんなマンガみたいな展開、あるのか?」
「ありえるかもしれません」
 確かに、漫画や小説の読みすぎかもしれない。でも、わざわざ脅威になりえる存在を調べもせずにいるかといえば、答えはノーなんじゃないかな。
「あと考えられるのは、私の特別スキルが、どうしても欲しかったとか」
 私の言葉にシュウさんは首をかしげる。
「……どちらかといえば、そちらの方がありえそうだが……」
 でも、特別スキルにはいろんな種類があるはずで。わざわざ、ややこしそうな私のスキルを奪おうと計画しなくてもいい気がする。

 あー、分からなくなってきた!
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