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作ってみよう!物語のアイテム
男性の特別スキルの片鱗
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「なるほど、お互いの姿を入れ替えているといったところかな」
男性が納得した様子で笑う。しかし、拘束されているこの状況下でこの余裕。何か奥の手があると考えた方がいいかもしれない。
「でも無駄だよ。君たち二人の特別スキルは既に把握している。ラッキーだったよ。一気に二人分の特別スキルを回収できるんだからね」
そう言うと、やんわりと男性は自分の手で、自分を拘束しているアイダさんの腕に触れた。すると、予想外の出来事が起きた。
なんと、男性の背中から手が生えたんだ。まるで、アイダさんと同じ能力を手に入れたかのように。
新たに生えた男性の手は、アイダさんに襲い掛かった。思わず男性を手放して、彼から距離をとるアイダさん。空中に投げ出された男性はなんなく地面に着地する。
男性は、ふっと笑う。
「いやぁ、こんな簡単に特別スキルを奪えるなんてね。これだけで今日、このゲームにログインした意味があるというものだよ」
「なんで……」
私は冷や汗が頬を流れていくのを感じた。どうやって、アイダさんの特別スキルを奪ったんだろう。とはいえ……、アイダさんの手が減ったわけじゃない。だとしたら、考えられることは一つ。
「あなたの特別スキルも、完璧じゃないんですね」
私の言葉に、男性は首をすくめる。
「あなたの特別スキルは、触れた相手の持つ特別スキルを自分にコピーできる能力なのでしょう。でもそれは、特別スキルを奪ったわけじゃなくてあくまで、コピーしたにすぎない」
「コピーしても奪っても一緒さ。どちらにせよ、ぼくにもその特別スキルが使用できるようになるわけだからね」
「いえ、厳密にいえば違います」
アイダさんの特別スキルを男性にコピーされてしまったのは痛いけど。アイダさんが特別スキルを使えなくなったわけじゃない。だったら、まだなんとかなる。
「それぞれの特別スキルを使用できる人間が二人に増えただけですから。それに、元々その特別スキルを与えられた人間の方が、あなたより特別スキルをうまく使いこなせるはずです。私は、あなたにコピーされた特別スキルを絶対に奪い返します。その特別スキルを使用できるのは、元々そのスキルを与えられた人間だけであるべきです。ですから、絶対に、取り返します。覚悟していてください」
絶対相手の男性の特別スキルにだって何かしらの欠陥があるはず。私のスキル使用回数に上限があるように、何かが。それをうまく探り出せれば一番いいんだけど。
男性が納得した様子で笑う。しかし、拘束されているこの状況下でこの余裕。何か奥の手があると考えた方がいいかもしれない。
「でも無駄だよ。君たち二人の特別スキルは既に把握している。ラッキーだったよ。一気に二人分の特別スキルを回収できるんだからね」
そう言うと、やんわりと男性は自分の手で、自分を拘束しているアイダさんの腕に触れた。すると、予想外の出来事が起きた。
なんと、男性の背中から手が生えたんだ。まるで、アイダさんと同じ能力を手に入れたかのように。
新たに生えた男性の手は、アイダさんに襲い掛かった。思わず男性を手放して、彼から距離をとるアイダさん。空中に投げ出された男性はなんなく地面に着地する。
男性は、ふっと笑う。
「いやぁ、こんな簡単に特別スキルを奪えるなんてね。これだけで今日、このゲームにログインした意味があるというものだよ」
「なんで……」
私は冷や汗が頬を流れていくのを感じた。どうやって、アイダさんの特別スキルを奪ったんだろう。とはいえ……、アイダさんの手が減ったわけじゃない。だとしたら、考えられることは一つ。
「あなたの特別スキルも、完璧じゃないんですね」
私の言葉に、男性は首をすくめる。
「あなたの特別スキルは、触れた相手の持つ特別スキルを自分にコピーできる能力なのでしょう。でもそれは、特別スキルを奪ったわけじゃなくてあくまで、コピーしたにすぎない」
「コピーしても奪っても一緒さ。どちらにせよ、ぼくにもその特別スキルが使用できるようになるわけだからね」
「いえ、厳密にいえば違います」
アイダさんの特別スキルを男性にコピーされてしまったのは痛いけど。アイダさんが特別スキルを使えなくなったわけじゃない。だったら、まだなんとかなる。
「それぞれの特別スキルを使用できる人間が二人に増えただけですから。それに、元々その特別スキルを与えられた人間の方が、あなたより特別スキルをうまく使いこなせるはずです。私は、あなたにコピーされた特別スキルを絶対に奪い返します。その特別スキルを使用できるのは、元々そのスキルを与えられた人間だけであるべきです。ですから、絶対に、取り返します。覚悟していてください」
絶対相手の男性の特別スキルにだって何かしらの欠陥があるはず。私のスキル使用回数に上限があるように、何かが。それをうまく探り出せれば一番いいんだけど。
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