205 / 304
作ってみよう!物語のアイテム
アイテムの内容
しおりを挟む
「そもそもこのゲームは、ぼくが作り出した世界だ。ぼくの世界なんだ」
男性がむっとした表情で言う。この人、頭大丈夫かな。
「だから、この世界に存在している特別スキルを作り出したのも元々はぼく。そして、その持ち主もぼくであるべきだ」
うん、会話できる相手じゃないのかも。私はそう思うことにした。
「最初はね、特別スキルを持ってしまった人たちをぼくが雇ってあげようと思ったんだ。だけど、誰も雇われてくれない。だから仕方なく全ての特別スキルをぼくの元へ戻させてもらうことにしたんだ」
にっこりと笑っている男性。怖い。
「さてと。特別スキルを渡す気がないのなら、ぼくにも考えがあるよ」
そう言いながら、男性はこちらに近づいてくる。
「ぼくの特別スキルは文字通り、他の特別スキルとはくらべものにならないほど、特別なんだ。君と、そして君の友達の特別スキル、どちらもありがたく頂戴するよ」
私と、アイダさんを見て彼は言った。私の方へとさらに近づいたところで、私はアイダさんに向かって声を上げた。
「今です!」
その瞬間、アイダさんの手が増えた。背中から別のおててが生えてくる感じ。その増えた手と、元々あった手でがっちりと男性を取り押さえる。
男性は、一瞬何が起きたかよくわからないと言った顔をしていた。そして、私に向かって言う。
「おかしいな。君が、『手が増える特別スキル』を持った人間だろう。そして、そっちにいるのが、前にぼくから逃げのびた特別スキルの持ち主……」
「それはどうでしょう」
私は鼻を鳴らす。これこそが、私とアイダさんの作戦。大鍋奉行さんに作ってもらったアイテムの効果。
男性やシュウさんには、今私とアイダさんの姿はそれぞれ相手の姿に見えている状態。私がアイダさん、アイダさんが私の姿になっている状態。
子どもの頃に読んだ児童向けファンタジー小説に出て来たアイテム。それは、
『自分の姿を、なりたい別人の姿に一定時間変えることができるアイテム』
だったんだ。
万が一、アイダさんに危険が及んだら申し訳ない。そう思って私が考え出した苦肉の策。それが、お互いの姿を入れ替えることだった。そうすることで少なくとも最初は、相手の目を欺けると思ったんだよね。
とりあえず、相手を拘束することを目標としていた私たち。チャンスが来たらアイダさんの手で相手を拘束してもらう作戦だった。ここまでは順調。
だけど、私とアイダさんの姿が入れ替わっているんだってことはおそらくもう、ばれてしまうと思う。ここからが大変だ。
男性がむっとした表情で言う。この人、頭大丈夫かな。
「だから、この世界に存在している特別スキルを作り出したのも元々はぼく。そして、その持ち主もぼくであるべきだ」
うん、会話できる相手じゃないのかも。私はそう思うことにした。
「最初はね、特別スキルを持ってしまった人たちをぼくが雇ってあげようと思ったんだ。だけど、誰も雇われてくれない。だから仕方なく全ての特別スキルをぼくの元へ戻させてもらうことにしたんだ」
にっこりと笑っている男性。怖い。
「さてと。特別スキルを渡す気がないのなら、ぼくにも考えがあるよ」
そう言いながら、男性はこちらに近づいてくる。
「ぼくの特別スキルは文字通り、他の特別スキルとはくらべものにならないほど、特別なんだ。君と、そして君の友達の特別スキル、どちらもありがたく頂戴するよ」
私と、アイダさんを見て彼は言った。私の方へとさらに近づいたところで、私はアイダさんに向かって声を上げた。
「今です!」
その瞬間、アイダさんの手が増えた。背中から別のおててが生えてくる感じ。その増えた手と、元々あった手でがっちりと男性を取り押さえる。
男性は、一瞬何が起きたかよくわからないと言った顔をしていた。そして、私に向かって言う。
「おかしいな。君が、『手が増える特別スキル』を持った人間だろう。そして、そっちにいるのが、前にぼくから逃げのびた特別スキルの持ち主……」
「それはどうでしょう」
私は鼻を鳴らす。これこそが、私とアイダさんの作戦。大鍋奉行さんに作ってもらったアイテムの効果。
男性やシュウさんには、今私とアイダさんの姿はそれぞれ相手の姿に見えている状態。私がアイダさん、アイダさんが私の姿になっている状態。
子どもの頃に読んだ児童向けファンタジー小説に出て来たアイテム。それは、
『自分の姿を、なりたい別人の姿に一定時間変えることができるアイテム』
だったんだ。
万が一、アイダさんに危険が及んだら申し訳ない。そう思って私が考え出した苦肉の策。それが、お互いの姿を入れ替えることだった。そうすることで少なくとも最初は、相手の目を欺けると思ったんだよね。
とりあえず、相手を拘束することを目標としていた私たち。チャンスが来たらアイダさんの手で相手を拘束してもらう作戦だった。ここまでは順調。
だけど、私とアイダさんの姿が入れ替わっているんだってことはおそらくもう、ばれてしまうと思う。ここからが大変だ。
20
お気に入りに追加
615
あなたにおすすめの小説
春空VRオンライン ~島から出ない採取生産職ののんびり体験記~
滝川 海老郎
SF
新作のフルダイブVRMMOが発売になる。 最初の舞台は「チュートリ島」という小島で正式リリースまではこの島で過ごすことになっていた。
島で釣りをしたり、スライム狩りをしたり、探険したり、干物のアルバイトをしたり、宝探しトレジャーハントをしたり、のんびり、のほほんと、過ごしていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
運極さんが通る
スウ
ファンタジー
『VRMMO』の技術が詰まったゲームの1次作、『Potential of the story』が発売されて約1年と2ヶ月がたった。
そして、今日、新作『Live Online』が発売された。
主人公は『Live Online』の世界で掲示板を騒がせながら、運に極振りをして、仲間と共に未知なる領域を探索していく。……そして彼女は後に、「災運」と呼ばれる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~
夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。
多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』
一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。
主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!!
小説家になろうからの転載です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
沢山寝たい少女のVRMMORPG〜武器と防具は枕とパジャマ?!〜
雪雪ノ雪
ファンタジー
世界初のフルダイブ型のVRゲーム『Second World Online』通称SWO。
剣と魔法の世界で冒険をするVRMMORPGだ。
このゲームの1番の特徴は『ゲーム内での3時間は現実世界の1時間である』というもの。
これを知った少女、明日香 睡月(あすか すいげつ)は
「このゲームをやれば沢山寝れる!!」
と言いこのゲームを始める。
ゲームを始めてすぐ、ある問題点に気づく。
「お金がないと、宿に泊まれない!!ベットで寝れない!!....敷布団でもいいけど」
何とかお金を稼ぐ方法を考えた明日香がとった行動は
「そうだ!!寝ながら戦えばお金も経験値も入って一石三鳥!!」
武器は枕で防具はパジャマ!!少女のVRMMORPGの旅が今始まる!!
..........寝ながら。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる