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作ってみよう!物語のアイテム

店の中を物色する

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「店の中が煙たくなったんだけど、何があったんだい」

 カンナさんが私たちのところへ飛び込んできた。そして、私とシュウさん、それから突然出現した大鍋奉行さんを見比べる。

 結局、お店の中に煙を充満させてしまった。アイテム作成の時は、裏通りでしようと思ってたけれど、まさか大鍋奉行さん出現の際に、煙がここまであふれるとは思ってなかった。

「すみません、大鍋奉行さんを呼んでました」
「大鍋奉行……?」

 カンナさんが首をかしげる。鍋奉行って、日本独特の文化なんだね、きっと。この世界には存在しないのかも。

「お鍋の妖精といいますか、魔人さんみたいなものです」
「悪影響はないのかい」
「ないです、安心してください」

 私の言葉に、カンナさんは安堵のため息をつく。大鍋奉行さんは、

『煙が邪魔だねー、ごめんねー』

 というと、くるくるっと指を回す。すると、その指先に、煙がもくもくと巻き付いて、消えた。すごい。

『じゃあー、お店の商品を見せてもらおうかなー』

 そう言って、軽いスキップを踏みながら商品の並ぶフロアへと向かっていく大鍋奉行さん。私たちも後から続く。

『へええー、たくさんあるんだねぇー』

 大鍋奉行さん、色んな商品を手に取って、ほくほくした表情をしている。

「ここにある商品で、どうにか作れそうですか」
『うんー。できると思うー』

 大鍋奉行さんがにっこりする。私も思わず笑っちゃう。戸惑った表情を浮かべているカンナさんに、私は声をかける。

「カンナさんすみません。私、あるアイテムを作りたいと思っていまして。そのためにいくつか材料が必要になりそうなんです。このお店にある商品を材料として使わせて頂けないでしょうか」

 もちろん商品代金はきちんとお支払いしますので、というとカンナさんはぶんぶん首を横に振る。

「いいよいいよ、そんなの! だってアンタのおかげで、店に徐々にお客さんが戻ってきてるんだ。本当にありがたい話さ」

 私も首を横に振る。

「そんな! 商品代はお支払いしますよ。あ、それじゃあその代わりといってはなんですが、一つお願いしたいことがあるんです」

 そう言うと、私はカンナさんにとある提案をする。カンナさんは私の提案を聞き終わると、豪快に笑った。

「なんだ、そんなことかい。いいよいいよ」

 やった、これでさらにいい感じにアイテムが作れるようになるかもしれない。

『えっとねー、これとねー、これとねー、これがあればぁー、たぶんできると思う!』

 大鍋奉行さんが、いくつか商品棚から商品を持って私のところに走ってきた。よし、これでアイテムづくりが開始できるね!
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