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作ってみよう!物語のアイテム

まずは、形から。

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「まずは、やっぱり雰囲気から入りましょう」
「……雰囲気……」

 シュウさん、呆れた顔をする。だって、あの有名ファンタジー小説のアイテムを再現するんだよ!? 雰囲気にこだわらなくてどうするのってハナシ!

「カンナさんカンナさん! 大鍋ありますか!」
「……まさかの……、大鍋から準備するのか……」

 シュウさんが頭を抱えているけれど、気にしない。私の勢いにカンナさんは驚きつつも、慌てて店の奥へと走っていった。そして、重そうな大鍋を抱えて戻ってくる。

 その鍋をドスン、と机の上に置くと、カンナさんは首をかしげる。

「あったけど、こんなの、何に使うんだい?」
「ちょっとした実験です」

 私の言葉に、カンナさんは肩をすくめる。

「何にせよ、その大鍋を使うには火を起こす必要があるよ。焚火を起こしてやるしかないね」

 そうなると、外で調合をする必要が出てくるね。

「いや、この大鍋自体に細工をすれば、店の中でも……」
「……いや、店の中に煙が充満する」

 シュウさんがすかさず口をはさむ。それもそうだった。店の中が煙たくなるのもよろしくないし、そもそも鍋の中で作るアイテムの匂いが充満するのは、想像するだけで恐ろしい。とてもじゃないけど、嗅いで幸せな匂いになるとも思えない。

 シュウさんが、大鍋を持ち上げようとする。

「……どこへ運べばいい」
「あ、とりあえず置いておいてください。まずは場所を考えてからにしましょう」

 私達は、店の外へと出た。店の外は大通りに面しているせいで、人通りが多い。これでは、やっぱり変な匂いを店の周りに漂わせかねない。

 私が頭を悩ませていると、シュウさんが遠慮がちに声をかけてくる。

「……ここから店の裏側に回れるようだ」
「ちょっと見てみましょうか」

 頷きあって、店の裏手に回る。裏通りは、表通りと違って人通りが少ない。うん、こっちなら、そこまで迷惑にならなさそうだね。

「では、実際の作戦実行は裏通りで行うことにしましょう」

 そう決めて、私達は再び店の中へと戻る。今度は、鍋に入れる材料の確認と在庫の有無の確認。

 そして、リストを確認していた私達は、気づきなかった事実に気づくことになる。

「……この材料を、一日で集めるのは無理じゃないか……」
「ですね……」

 材料の中には、何日も鍋の中で煮詰めなければならない材料があったり、作成に時間がかかりそうなものがたくさんあったんだ。これはまずい!
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