言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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リアルでの活動開始

質問内容のすり合わせ

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 シュウさんが用意してくれていた羊皮紙を眺めながら、呟くように言った。

「それじゃ、シュウさんはもっと前にログインしてたんですね……」

 私の向かいに座る彼は、小首をかしげる。

「……まあ、たかが知れている……が?」
「いや、私ももっと早く来るべきだったなと思いまして」

 私の言葉に、シュウさんは首を横に振る。

「……これでも十分早い。それに、こちらは他の仕事も兼ねているからな」

 ゲーム内の『特別スキル』保持者の調査と確認。それこそが、今のシュウさんの最大の仕事のはずだからね。

「……レベル上げをしなければと思ってな」

 予想外の答えに、私が多分驚いた顔をしていたんだろう。シュウさんは言葉を付け足した。

「……あの男について調べるということ。相手がそれに気づけば、何をしてくるか分からない。レベルを上げてどうにかなることかどうかはわからないが、何もしないよりはマシだろうと思ってな」

 ああ、先のことを考えての行動だったんだね。さすがシュウさん。

「……しかも、今回は自分のことだけ考えていてもダメだ。こちらから巻き込んでおいて、相方を危険にさらすわけにいかない」

 シュウさんの言葉に、私ははっとする。もしかして、私のことも考えてくれてる……?

「さて、羊皮紙に記載した内容は確認してもらえただろうか」

 そう言われて、私は羊皮紙にあわてて視線を戻す。

「はい、何点か質問よろしいでしょうか」
「もちろん」

 私は、シュウさんに質問の内容を確認していく。こういうのって、書き手と聞き手が別だと、思ってた趣旨と違った聞き方をしてしまう場合があるから。もちろん、この羊皮紙に書いてある文言を一言一句たがえずに読めば丸く収まるのかもしれない。

 でもそうなると、質問を本当にしたいのは話しかけている私ではなく、シュウさんなのだと相手に知らせてしまうことになる。

 私自身、色々と考えていることはある。相手の人は『特別スキル』の持ち主だったのか。持ち主だったのならば、一体どんな特別スキルを持っていたのか。

 特別スキル自体は、私の体験上、実生活に関連したものが付与される仕組みだし、何より「現状の自分が嫌で、変えたいと思っている」のも条件に入っている。だから、話を聞く予定の相手にもそういったものがあるはずだから、そこもそれとなく聞き出したい。

 シュウさんとの仕事においては、相手の仕事や相手の仕事に対する不満その他は聞きだす必要はないのかもしれない。でも、そういった話を聞くことができれば、相手がこちらのことを信用してくれているという証にもなるんじゃないかな。
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