言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

特別スキルレベルアップ後その１

ＳＮＳの使い方

「さて、それでは次に、ポイッターの使い方について説明しますね」

　私は、月島部長に言う。

「まずは一度、どなたかを『仲良し』に設定してみましょうか。問題なければ、私のアカウントを『仲良し』にしてみましょう」
「そちらのアカウントを、『仲良し』登録していいのか」
「別に、大丈夫ですけど……」
「こちらに見られたくないポイートなど、してないか」
「特に、ないと思います……」

　私はそう言いながら、自分のスマートフォンを操作する。そして、自分のポイッターアカウントのポイートを見直してみる。

「……はい、特に見られてまずそうなのはありませんし、上司の悪口なんて、ポイートしてないので大丈夫です」

　ＳＮＳって誰が見てるか分からないから、人の悪口なんて書こうと思わない。

「えっとですね、この検索のモードにして、そこにＩＤかニックネームを入力するんです」

　私は自分のアカウントのＩＤを実際に月島部長のタブレット端末で入力してみせる。

「これが、私のアカウントです。そして、この隣にある『仲良くする』ボタンを押すわけですね」

「ふむ」

　月島部長が相槌を打つ。そして彼は視線を私に向けた。

「……。たくさん、ポイートがあるな」
「はい」
「……こういうのは、てっきり、おいしい料理の写真ばかりを上げるものだと思っていたが……」

　月島部長が顔をしかめる。

「……そうではないのだな」

　月島部長、それは女子力が高い人がすることです……。そう言おうと思ったけれど、さすがに皮肉がすぎると思った。

「もちろん、そういった人もいらっしゃいますよ。どこでどんなことをしたのか、写真で上げる人も多いです。ただ私は、そこに非日常を求めているので、あまり現実の日常生活の話を持ち込まないようにしてるんですよね」

　ＳＮＳは、現実世界での自分とは別の自分になれる。それは、ゲームでも一緒。もちろんＳＮＳ上でも現実世界の知人とつながっている人もいる。でもそれと同じように、ＳＮＳ上では現実世界の自分とは全く異なる自分を演じる人もいる。私もどちらかというと、そちらに近い。

「……ゲームと同じようなものか」
「私の場合は、そうです。自分の現実が、どこか嫌なところがあるから。それとは違う日常を生きたいから、あえてＳＮＳ上では日常を持ち込まないようにしてるんです」

　それからは、月島部長にポイッター上でのエゴサーチなどのやり方を伝えた。これで、私と同様、ゲームであの謎の男性に出会った人を探したり、その人たちにコンタクトをとる方法が分かったはず。