言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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特別スキルレベルアップ後その1

有給消化の助っ人

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「……おそらく形式だけのものにはなると思うが、面接をする必要があるらしい。そのために、履歴書を用意してもらうのと、面接の日取りを決めさせてもらう必要がある」

 シュウさんの言葉に、私は頷く。

「それでは後程、こちらの休みの日にちをメールで連絡するようにしますね。まぁ、有給も消化してから退職する気ではあるので、休みも増やせるとは思いますが」
「ああ、頼む」

 シュウさんは言って、穏やかな表情をする。

「……既に、そちらのこのゲームでの実績は報告済みだ。それに付け加えて、今日の特別スキルレベルアップに関しても伝えておくようにする」
「ありがとうございます」

 シュウさんは頷く。

「……そちらが望むなら、きっとうまく行く」
「はい、頑張ります」

 シュウさんは私の返答を聞くと頷いて、ログアウトした。さて、私もそろそろログアウトしようかな。

 残ったスキルは、『にげにげスプレー』を作るのに使用することにしよう。それで明日は、『ばっちこいスプレー』を作ろう。

 そんなことを思いながら、『にげにげスプレー』をささっと三個作る。『にげにげスプレー』、きっと需要があると思う。

 それから、ゲームからログアウトする。それからはスケジュール帳とにらめっこ。休みの日をシュウさんに送ってから寝ないと。

 会社のメールを確認していると、お局様からメールが来ていることに気づく。私が仕事を辞める手続きに入ってから、風当たりが優しくなったお局様。今日はどんな要件なんだろ。

 件名は、『有給消化に関して』。あ、ちょうど有給について考えようと思ってたんだよね。そう思ってメールを開封する。

『夜分遅くにすみません。朝宮さんの有給消化に関してご連絡しました。金本部長に直接相談するのは難しいかと思い、勝手ではありますがこちらで先に、手続きをしておきました。退職月を決定しましたらその月の後半を有給扱いとしてもかまいませんし、1日ずつなど分けて利用頂いても構いません。有給消化について決定しましたら、直接こちらに連絡ください』

 私は、その文言を見て少し泣きそうになった。そう、有給消化をしようにも、直接の上司である金本部長の了承が必要だと思って、気持ちが落ち込んでたんだ。

 いくら退職するとはいえ、できるだけ小言を言われる回数は減らしておきたいし、衝突しないで済むなら、その方がいい。仕事が遅いと言われたり、どこに行ったってムダって言われてもそれはもう、どうでもいいけれど。同じ職場の人たちが迷惑するだろって言われたら、返す言葉がない。だから、そういう物言いをしてきたらどうしようと思って、相談するのがすごく怖かったんだけど。どうやら、お局様が先手を打ってくれたみたい。

 お局様は、うちの課の経理担当で、人事にも顔が利く。うまく口利きしてくれたんだろうな。私は、画面に向かって静かに手を合わせ、お礼の返信を急いだ。
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