163 / 304
特別スキルレベルアップ後その1
報酬は分配?
しおりを挟む
「わあ、このゲーム、本当に報酬をその辺にまきちらすんだ」
フジヤさんが、感心したように言う。確かに、普通なら勝手に『報酬としてこんなアイテムもらったよ』みたいな感じで、一覧で表示されるだけだもんね。
とはいえ、私が初めにこなしたシークレットクエストは、勝手にアイテム欄に報酬アイテムが放り込まれてた。あくまでシークレットクエストやクエストの達成の報酬は、勝手にアイテム欄に入るけど、モンスター撃破の報酬は、道端に落ちるシステムみたいだね。
「とりあえずお金は、4人で分配ということで」
私は、とび散らかったお金を回収していく。あとでちゃんと4等分しないと。盾やら剣も出て来たけど、これはフリントさんが一番使いそうかな。
「フリントさん、先にこれはお渡ししておきますね」
私が彼に盾やら剣を差し出すと、フリントさんはきょとんとした顔をした。
「え、僕が全てもらってしまってよろしいのですか」
「だって、騎士さんですから。私やフジヤさんは、そもそも前線で戦えるタイプではないので使い道がないですし。シュウさんも後衛ですし」
「まぁそうなんですけど、でも売るなりなんなりできるじゃないですか」
フリントさんは両手いっぱいに盾や剣を抱えて、首をひねってみせる。
「今までパーティを組んだ人たちは、防具や武器なんて、一つも分けてくれませんでしたよ」
「……それは、組んだ相手が悪かったんだろうな……」
シュウさんの呆れた言葉。
「普通にパーティを組んで戦闘を行っていたなら、報酬の分配は正しく行うべきだろうに」
「いや、あれじゃない? 実力に応じて、とか貢献度によって、みたいなものなんじゃない? まぁそれだと、わたしとフリントさんは、報酬なしだけどね。見てただけだから」
フジヤさんが口を挟む。確かに、貢献度順ということだったらフリントさんは、この中だと最下位かもしれないけど、別に貢献度順にしようとは、そもそも思ってない。だって、もし私とフジヤさんの二人だけだったら、ダンジョンに入ろうとも思わなかったわけで。あくまでフリントさんとシュウさんという高レベルプレイヤーがいるという安心感で、ダンジョンに入れたわけだもんね。
「武器と防具はほぼ、フリントさんにあげたわけだし、残りを3人で分配するということで!」
フジヤさんが言って私は頷く。フリントさんは、いそいそとアイテムボックスにおそらくアイテムを預けている。
「……とりあえず、他のアイテムはそちらで預かっていてくれ。時間制限があるかもしれない。先に進もう」
シュウさんの言葉で我に返る。そうだよ、ネズミ将軍を倒すのがこのダンジョンの達成目標じゃあないはず。もし達成目標なんだとしたらきっと、ミッションクリアっていうポップアップとかが出て、私達はダンジョン入り口に戻っているはず。でも、そうなってないってことは、あくまでボスのネズミ将軍を倒すのは、ダンジョンクリアに必要な条件の1つでしかないってことだと思う。
私はあわてて残りの報酬を自分のトランクに突っ込んだ。後で分ければいいってシュウさんから許可も下りたし。そして急いで光がさしていた方へ戻った。
さっきはちゃんと見る余裕がなかったけど、光の正体は、またも扉が少しだけ開いていることで漏れる中の部屋からの光だった。一番後ろに隠れようとするフリントさんをみんなで押して、先に入ってもらう。
「ほらぁ、みんなして、そうやっていじめるんですよぉ……」
フリントさんが情けない声を出す。
「だって前線に出て戦える高レベルプレイヤーなんだから! ちょっとやそっとのダメージで消し飛んだりしないんだから! 一番確実な方法でしょ!」
そう言いながら、フジヤさんが最後にもう一度フリントさんの体を押す。すると、フリントさんの体が扉の中へと押し込まれた。あとは、フリントさんの報告を待つだけ。
フジヤさんが、感心したように言う。確かに、普通なら勝手に『報酬としてこんなアイテムもらったよ』みたいな感じで、一覧で表示されるだけだもんね。
とはいえ、私が初めにこなしたシークレットクエストは、勝手にアイテム欄に報酬アイテムが放り込まれてた。あくまでシークレットクエストやクエストの達成の報酬は、勝手にアイテム欄に入るけど、モンスター撃破の報酬は、道端に落ちるシステムみたいだね。
「とりあえずお金は、4人で分配ということで」
私は、とび散らかったお金を回収していく。あとでちゃんと4等分しないと。盾やら剣も出て来たけど、これはフリントさんが一番使いそうかな。
「フリントさん、先にこれはお渡ししておきますね」
私が彼に盾やら剣を差し出すと、フリントさんはきょとんとした顔をした。
「え、僕が全てもらってしまってよろしいのですか」
「だって、騎士さんですから。私やフジヤさんは、そもそも前線で戦えるタイプではないので使い道がないですし。シュウさんも後衛ですし」
「まぁそうなんですけど、でも売るなりなんなりできるじゃないですか」
フリントさんは両手いっぱいに盾や剣を抱えて、首をひねってみせる。
「今までパーティを組んだ人たちは、防具や武器なんて、一つも分けてくれませんでしたよ」
「……それは、組んだ相手が悪かったんだろうな……」
シュウさんの呆れた言葉。
「普通にパーティを組んで戦闘を行っていたなら、報酬の分配は正しく行うべきだろうに」
「いや、あれじゃない? 実力に応じて、とか貢献度によって、みたいなものなんじゃない? まぁそれだと、わたしとフリントさんは、報酬なしだけどね。見てただけだから」
フジヤさんが口を挟む。確かに、貢献度順ということだったらフリントさんは、この中だと最下位かもしれないけど、別に貢献度順にしようとは、そもそも思ってない。だって、もし私とフジヤさんの二人だけだったら、ダンジョンに入ろうとも思わなかったわけで。あくまでフリントさんとシュウさんという高レベルプレイヤーがいるという安心感で、ダンジョンに入れたわけだもんね。
「武器と防具はほぼ、フリントさんにあげたわけだし、残りを3人で分配するということで!」
フジヤさんが言って私は頷く。フリントさんは、いそいそとアイテムボックスにおそらくアイテムを預けている。
「……とりあえず、他のアイテムはそちらで預かっていてくれ。時間制限があるかもしれない。先に進もう」
シュウさんの言葉で我に返る。そうだよ、ネズミ将軍を倒すのがこのダンジョンの達成目標じゃあないはず。もし達成目標なんだとしたらきっと、ミッションクリアっていうポップアップとかが出て、私達はダンジョン入り口に戻っているはず。でも、そうなってないってことは、あくまでボスのネズミ将軍を倒すのは、ダンジョンクリアに必要な条件の1つでしかないってことだと思う。
私はあわてて残りの報酬を自分のトランクに突っ込んだ。後で分ければいいってシュウさんから許可も下りたし。そして急いで光がさしていた方へ戻った。
さっきはちゃんと見る余裕がなかったけど、光の正体は、またも扉が少しだけ開いていることで漏れる中の部屋からの光だった。一番後ろに隠れようとするフリントさんをみんなで押して、先に入ってもらう。
「ほらぁ、みんなして、そうやっていじめるんですよぉ……」
フリントさんが情けない声を出す。
「だって前線に出て戦える高レベルプレイヤーなんだから! ちょっとやそっとのダメージで消し飛んだりしないんだから! 一番確実な方法でしょ!」
そう言いながら、フジヤさんが最後にもう一度フリントさんの体を押す。すると、フリントさんの体が扉の中へと押し込まれた。あとは、フリントさんの報告を待つだけ。
20
お気に入りに追加
616
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
一人だけ竜が宿っていた説。~異世界召喚されてすぐに逃げました~
十本スイ
ファンタジー
ある日、異世界に召喚された主人公――大森星馬は、自身の中に何かが宿っていることに気づく。驚くことにその正体は神とも呼ばれた竜だった。そのせいか絶大な力を持つことになった星馬は、召喚した者たちに好き勝手に使われるのが嫌で、自由を求めて一人その場から逃げたのである。そうして異世界を満喫しようと、自分に憑依した竜と楽しく会話しつつ旅をする。しかし世の中は乱世を迎えており、星馬も徐々に巻き込まれていくが……。
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
移転した俺は欲しい物が思えば手に入る能力でスローライフするという計画を立てる
みなと劉
ファンタジー
「世界広しといえども転移そうそう池にポチャンと落ちるのは俺くらいなもんよ!」
濡れた身体を池から出してこれからどうしようと思い
「あー、薪があればな」
と思ったら
薪が出てきた。
「はい?……火があればな」
薪に火がついた。
「うわ!?」
どういうことだ?
どうやら俺の能力は欲しいと思った事や願ったことが叶う能力の様だった。
これはいいと思い俺はこの能力を使ってスローライフを送る計画を立てるのであった。
もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~
ゆるり
ファンタジー
☆第17回ファンタジー小説大賞で【癒し系ほっこり賞】を受賞しました!☆
ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。
最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。
この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう!
……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは?
***
ゲーム生活をのんびり楽しむ話。
バトルもありますが、基本はスローライフ。
主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。
カクヨム様でも公開しております。
沢山寝たい少女のVRMMORPG〜武器と防具は枕とパジャマ?!〜
雪雪ノ雪
ファンタジー
世界初のフルダイブ型のVRゲーム『Second World Online』通称SWO。
剣と魔法の世界で冒険をするVRMMORPGだ。
このゲームの1番の特徴は『ゲーム内での3時間は現実世界の1時間である』というもの。
これを知った少女、明日香 睡月(あすか すいげつ)は
「このゲームをやれば沢山寝れる!!」
と言いこのゲームを始める。
ゲームを始めてすぐ、ある問題点に気づく。
「お金がないと、宿に泊まれない!!ベットで寝れない!!....敷布団でもいいけど」
何とかお金を稼ぐ方法を考えた明日香がとった行動は
「そうだ!!寝ながら戦えばお金も経験値も入って一石三鳥!!」
武器は枕で防具はパジャマ!!少女のVRMMORPGの旅が今始まる!!
..........寝ながら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる