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特別スキルレベルアップ後その1

報酬は分配?

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「わあ、このゲーム、本当に報酬をその辺にまきちらすんだ」

 フジヤさんが、感心したように言う。確かに、普通なら勝手に『報酬としてこんなアイテムもらったよ』みたいな感じで、一覧で表示されるだけだもんね。
 とはいえ、私が初めにこなしたシークレットクエストは、勝手にアイテム欄に報酬アイテムが放り込まれてた。あくまでシークレットクエストやクエストの達成の報酬は、勝手にアイテム欄に入るけど、モンスター撃破の報酬は、道端に落ちるシステムみたいだね。

「とりあえずお金は、4人で分配ということで」

 私は、とび散らかったお金を回収していく。あとでちゃんと4等分しないと。盾やら剣も出て来たけど、これはフリントさんが一番使いそうかな。

「フリントさん、先にこれはお渡ししておきますね」

 私が彼に盾やら剣を差し出すと、フリントさんはきょとんとした顔をした。

「え、僕が全てもらってしまってよろしいのですか」
「だって、騎士さんですから。私やフジヤさんは、そもそも前線で戦えるタイプではないので使い道がないですし。シュウさんも後衛ですし」
「まぁそうなんですけど、でも売るなりなんなりできるじゃないですか」

 フリントさんは両手いっぱいに盾や剣を抱えて、首をひねってみせる。

「今までパーティを組んだ人たちは、防具や武器なんて、一つも分けてくれませんでしたよ」
「……それは、組んだ相手が悪かったんだろうな……」

 シュウさんの呆れた言葉。

「普通にパーティを組んで戦闘を行っていたなら、報酬の分配は正しく行うべきだろうに」
「いや、あれじゃない? 実力に応じて、とか貢献度によって、みたいなものなんじゃない? まぁそれだと、わたしとフリントさんは、報酬なしだけどね。見てただけだから」

 フジヤさんが口を挟む。確かに、貢献度順ということだったらフリントさんは、この中だと最下位かもしれないけど、別に貢献度順にしようとは、そもそも思ってない。だって、もし私とフジヤさんの二人だけだったら、ダンジョンに入ろうとも思わなかったわけで。あくまでフリントさんとシュウさんという高レベルプレイヤーがいるという安心感で、ダンジョンに入れたわけだもんね。

「武器と防具はほぼ、フリントさんにあげたわけだし、残りを3人で分配するということで!」

 フジヤさんが言って私は頷く。フリントさんは、いそいそとアイテムボックスにおそらくアイテムを預けている。

「……とりあえず、他のアイテムはそちらで預かっていてくれ。時間制限があるかもしれない。先に進もう」

 シュウさんの言葉で我に返る。そうだよ、ネズミ将軍を倒すのがこのダンジョンの達成目標じゃあないはず。もし達成目標なんだとしたらきっと、ミッションクリアっていうポップアップとかが出て、私達はダンジョン入り口に戻っているはず。でも、そうなってないってことは、あくまでボスのネズミ将軍を倒すのは、ダンジョンクリアに必要な条件の1つでしかないってことだと思う。

 私はあわてて残りの報酬を自分のトランクに突っ込んだ。後で分ければいいってシュウさんから許可も下りたし。そして急いで光がさしていた方へ戻った。

 さっきはちゃんと見る余裕がなかったけど、光の正体は、またも扉が少しだけ開いていることで漏れる中の部屋からの光だった。一番後ろに隠れようとするフリントさんをみんなで押して、先に入ってもらう。

「ほらぁ、みんなして、そうやっていじめるんですよぉ……」

 フリントさんが情けない声を出す。

「だって前線に出て戦える高レベルプレイヤーなんだから! ちょっとやそっとのダメージで消し飛んだりしないんだから! 一番確実な方法でしょ!」

 そう言いながら、フジヤさんが最後にもう一度フリントさんの体を押す。すると、フリントさんの体が扉の中へと押し込まれた。あとは、フリントさんの報告を待つだけ。
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