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特別スキルレベルアップ編その2
入り口まで戻る前に
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一番安定感のあるシュウさんが同意してくれたので、私たちは入口まで戻ることにした。おそるおそる、さっき自分たちが通ってきた扉を覗き込む。ブラックラットの気配は、消えていた。
「……いなさそうだな」
「でもまた、出てくる可能性がありますよ……」
フリントさんは、とてもおびえた様子で言う。するとそんなフリントさんの背中をどんとたたいて、フジヤさんは言った。
「なーに言ってんの。アンタ、高レベルプレイヤーなんでしょ。なんとかなるって。それに、また追いかけられたら今度こそ入口か、ここへ逃げ戻ってきたらいいだけなんだしさ」
「いやいや、よくあるじゃないですか。追いかけてきてたモンスターが急にいなくなったと思ったら、さらに強力なモンスターが出て来たとか」
私は、脳内でブラックラットたちが合体して、超巨大なネズミモンスターになるイメージを膨らませてしまって、身震いした。
「……大丈夫か」
「すみません、超巨大ネズミを想像してしまって……。ハムスターなら、かわいいと思えるんですけどね」
シュウさんが少し心配そうな声音で聞いてくれて、私は正直に言う。すると、奥の方から、ドシーンドシーンという鈍い音が聞こえてくる。
「……」
「……」
私とシュウさんは、どうやら同じことを考えたらしい。
「……どうやら、そちらの想像は正しいかもしれない、ということだけは分かった」
「そのようですね」
シュウさんの大きなため息と、私の同意したくないけど、同意する言葉。うん、私の予想は当たってしまったかもしれない。
地響きと、壁を固いものが擦れる音。私たちが松明を音のする方へ向けると、遠くの方に、大きな黒い物体が見えた。
「みなさん、入り口までダッシュですっ」
私が叫ぶと、みんな走り出す。フリントさんは全速力でもう、どのくらい先にいるのか見えないレベル。シュウさんは、ちゃんと殿をつとめてくれてる。
走りつつ、シュウさんが後ろから声をかけてくる。
「まさか、入り口が閉まっている、ということはないだろうなっ!?」
「ありえますよねっ」
私は後ろにも届くよう、少し大きめに声をかける。ゲームのダンジョンというよりは、映画とかでよく見る秘境の類のトラップ。入り口が閉じられて、逃げ道がふさがれてるパターン。こうなってくるともう、ゲームオーバー。主役級のキャラクターしか生き残れない。それ以外は、逃げ道を失ったり欲が出たりして脇道にそれちゃって命を落とす。
「入り口が見当たりません! 僕たちここでゲームオーバーですっ」
私たちの会話を見計らったかのように、遠くから声が聞こえてくる。フリントさんだ。私は、シュウさんに声をかける。
「シュウさんすみません、少しだけでも時間稼ぎはできますか。策を考えます」
「……トラップと攻撃準備に、相手の動きを少しだけ止めてもらえるだろうか。さすがに戦闘に入るまでに時間がなさすぎて、下準備の時間がほしい」
「はい、任せて下さい」
そう言いながら、私は持ってきておいたトランクから使えそうなアイテムを引っ張り出す。そして、シュウさんと走る順番を入れ替わって最後尾につけた。
戦闘レベルは皆無だけど、私にはアイテムがある。なんとかしのいでシュウさんにつなげよう。
「……いなさそうだな」
「でもまた、出てくる可能性がありますよ……」
フリントさんは、とてもおびえた様子で言う。するとそんなフリントさんの背中をどんとたたいて、フジヤさんは言った。
「なーに言ってんの。アンタ、高レベルプレイヤーなんでしょ。なんとかなるって。それに、また追いかけられたら今度こそ入口か、ここへ逃げ戻ってきたらいいだけなんだしさ」
「いやいや、よくあるじゃないですか。追いかけてきてたモンスターが急にいなくなったと思ったら、さらに強力なモンスターが出て来たとか」
私は、脳内でブラックラットたちが合体して、超巨大なネズミモンスターになるイメージを膨らませてしまって、身震いした。
「……大丈夫か」
「すみません、超巨大ネズミを想像してしまって……。ハムスターなら、かわいいと思えるんですけどね」
シュウさんが少し心配そうな声音で聞いてくれて、私は正直に言う。すると、奥の方から、ドシーンドシーンという鈍い音が聞こえてくる。
「……」
「……」
私とシュウさんは、どうやら同じことを考えたらしい。
「……どうやら、そちらの想像は正しいかもしれない、ということだけは分かった」
「そのようですね」
シュウさんの大きなため息と、私の同意したくないけど、同意する言葉。うん、私の予想は当たってしまったかもしれない。
地響きと、壁を固いものが擦れる音。私たちが松明を音のする方へ向けると、遠くの方に、大きな黒い物体が見えた。
「みなさん、入り口までダッシュですっ」
私が叫ぶと、みんな走り出す。フリントさんは全速力でもう、どのくらい先にいるのか見えないレベル。シュウさんは、ちゃんと殿をつとめてくれてる。
走りつつ、シュウさんが後ろから声をかけてくる。
「まさか、入り口が閉まっている、ということはないだろうなっ!?」
「ありえますよねっ」
私は後ろにも届くよう、少し大きめに声をかける。ゲームのダンジョンというよりは、映画とかでよく見る秘境の類のトラップ。入り口が閉じられて、逃げ道がふさがれてるパターン。こうなってくるともう、ゲームオーバー。主役級のキャラクターしか生き残れない。それ以外は、逃げ道を失ったり欲が出たりして脇道にそれちゃって命を落とす。
「入り口が見当たりません! 僕たちここでゲームオーバーですっ」
私たちの会話を見計らったかのように、遠くから声が聞こえてくる。フリントさんだ。私は、シュウさんに声をかける。
「シュウさんすみません、少しだけでも時間稼ぎはできますか。策を考えます」
「……トラップと攻撃準備に、相手の動きを少しだけ止めてもらえるだろうか。さすがに戦闘に入るまでに時間がなさすぎて、下準備の時間がほしい」
「はい、任せて下さい」
そう言いながら、私は持ってきておいたトランクから使えそうなアイテムを引っ張り出す。そして、シュウさんと走る順番を入れ替わって最後尾につけた。
戦闘レベルは皆無だけど、私にはアイテムがある。なんとかしのいでシュウさんにつなげよう。
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