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特別スキルレベルアップ編その2
何もない部屋?
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私たちは、部屋の中を歩き回ってみることにした。フリントさん、フジヤさん、私、シュウさんの順番。
「絶対、何もない部屋なんてないはずなんですよ……」
フリントさん、少し声が震えてる気がするのは、気のせいだろうか……。
「……いや、何もない部屋だってあるかもしれない。絶対何かあるはずだと思わせておいて、あえて何もない部屋を作ってあるゲームもあるからな」
シュウさんが冷静な声で言う。
「そうですよね」
私も同意する。何かあるように思わせておいて、何もないっていう部屋があったりもする。でも、あれだけブラックラットさんに追いかけられてたどりついた先に、何もないっていうのは、なかなかキツイよね。
「今回のようなケースだと、やっぱり何かしらあると思うんですよね」
「だよね」
私とフジヤさんは、頷きあった。
「きっと、何かあるはずよ」
フジヤさんは、嬉しそうにメモ帳に様々なメモをしていく。私は、あちこちの壁を叩いてみる。
「……何してるんですか」
フリントさんがすごく呆れた目で私を見る。私は即答した。
「ほら、よくあるじゃないですか。壁のどこかにスイッチが隠れていて、そのスイッチを押すと、隠し部屋だったり宝箱が出てきたりするゲーム」
「ああ、ありますね」
フリントさんは納得した顔をする。
「でも元々ここ自体が隠し部屋でしたし、まだ別の隠し部屋があるなんて……」
「いや、ここが何もない部屋なら、なおさら奥には何かあるかもしれない」
シュウさんは、私に言った。
「よし、こちらは反対側から触って行ってみる」
「お願いします」
「わたしは、色の違う床がないか見てみるね」
フジヤさんの言葉に私は頷く。
「え、僕は僕は!?」
「フリントさんはじゃあ……、ブラックラットが入ってこないよう、扉を見張っていてください」
「えー、何ですか僕だけなんか、仲間外れの気分です……」
フリントさん、すねながら扉の方へと向かっていく。私とシュウさんは両端にスタンバイして、ゆっくりと丁寧に、壁を触っていく。しばらくすると、シュウさんが一言。
「あ」
それを聞きつけて、私は振り返った。すると。なんだかシュウさんの腕が壁にめり込んだ感じになっているのが見えた。
「……すまない、押してしまった」
「そういう日もありますよね」
私が言うと、シュウさんは目を細めた。
「……そちらといると、気が楽でいい」
「それ、私も思ってました」
私が言うと、シュウさんはほっと溜息をつく。
「あー!! ちょっとシュウさん、何押しちゃってるんですか! 罠だったらどうするんですか! ああ! 今度こそ天井が落ちてくる! どうしようどうしよう」
慌てふためくフリントさん。その彼を、フジヤさんがなだめている。
「いやいや、そうなるとは限らないでしょ。どっかへの入り口が開くとかかもしれないじゃん」
「あ、そっか」
私、ぽんと手を打つ。
「もし、少し待ってこの部屋に変化がなければ外に出てみましょう」
「何言ってるんですか!? この部屋を出たらブラックラットの餌食です!」
「ほら、ゲームであるじゃないですか、ダンジョン奥の仕掛けを動かして、またダンジョン入り口まで戻らないといけないもの」
たとえばダンジョン入り口にこれみよがしにある扉。でも開いていなくって。ダンジョンの中を探索して鍵やキーとなるアイテムを手に入れて、その場所に戻ってくるというもの。
「……その可能性はあるな、それでいこう」
「絶対、何もない部屋なんてないはずなんですよ……」
フリントさん、少し声が震えてる気がするのは、気のせいだろうか……。
「……いや、何もない部屋だってあるかもしれない。絶対何かあるはずだと思わせておいて、あえて何もない部屋を作ってあるゲームもあるからな」
シュウさんが冷静な声で言う。
「そうですよね」
私も同意する。何かあるように思わせておいて、何もないっていう部屋があったりもする。でも、あれだけブラックラットさんに追いかけられてたどりついた先に、何もないっていうのは、なかなかキツイよね。
「今回のようなケースだと、やっぱり何かしらあると思うんですよね」
「だよね」
私とフジヤさんは、頷きあった。
「きっと、何かあるはずよ」
フジヤさんは、嬉しそうにメモ帳に様々なメモをしていく。私は、あちこちの壁を叩いてみる。
「……何してるんですか」
フリントさんがすごく呆れた目で私を見る。私は即答した。
「ほら、よくあるじゃないですか。壁のどこかにスイッチが隠れていて、そのスイッチを押すと、隠し部屋だったり宝箱が出てきたりするゲーム」
「ああ、ありますね」
フリントさんは納得した顔をする。
「でも元々ここ自体が隠し部屋でしたし、まだ別の隠し部屋があるなんて……」
「いや、ここが何もない部屋なら、なおさら奥には何かあるかもしれない」
シュウさんは、私に言った。
「よし、こちらは反対側から触って行ってみる」
「お願いします」
「わたしは、色の違う床がないか見てみるね」
フジヤさんの言葉に私は頷く。
「え、僕は僕は!?」
「フリントさんはじゃあ……、ブラックラットが入ってこないよう、扉を見張っていてください」
「えー、何ですか僕だけなんか、仲間外れの気分です……」
フリントさん、すねながら扉の方へと向かっていく。私とシュウさんは両端にスタンバイして、ゆっくりと丁寧に、壁を触っていく。しばらくすると、シュウさんが一言。
「あ」
それを聞きつけて、私は振り返った。すると。なんだかシュウさんの腕が壁にめり込んだ感じになっているのが見えた。
「……すまない、押してしまった」
「そういう日もありますよね」
私が言うと、シュウさんは目を細めた。
「……そちらといると、気が楽でいい」
「それ、私も思ってました」
私が言うと、シュウさんはほっと溜息をつく。
「あー!! ちょっとシュウさん、何押しちゃってるんですか! 罠だったらどうするんですか! ああ! 今度こそ天井が落ちてくる! どうしようどうしよう」
慌てふためくフリントさん。その彼を、フジヤさんがなだめている。
「いやいや、そうなるとは限らないでしょ。どっかへの入り口が開くとかかもしれないじゃん」
「あ、そっか」
私、ぽんと手を打つ。
「もし、少し待ってこの部屋に変化がなければ外に出てみましょう」
「何言ってるんですか!? この部屋を出たらブラックラットの餌食です!」
「ほら、ゲームであるじゃないですか、ダンジョン奥の仕掛けを動かして、またダンジョン入り口まで戻らないといけないもの」
たとえばダンジョン入り口にこれみよがしにある扉。でも開いていなくって。ダンジョンの中を探索して鍵やキーとなるアイテムを手に入れて、その場所に戻ってくるというもの。
「……その可能性はあるな、それでいこう」
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