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特別スキルレベルアップ編その2

フリントさんの報告

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 フリントさんは、びょーんと長い巻物をたぐりよせる。それから、巻物と鼻がくっついちゃうくらい、目を近づけて内容を読み上げようとし始める。

「……つまり、それだけびっしり文字が書いてある、と」

 シュウさんがげんなりした顔で言うと、フリントさんが顔をしかめる。

「一枚で収めるの、大変だったんですよ!? 最初は十枚くらいあって……」
「十枚!?」

 シュウさんが驚いた顔をする。表情変化がとぼしいシュウさんからすると、珍しい光景だ。ちょっと面白い。

「なんですか、悪いですか」
「……いや、それほどたくさん調べたというのは、評価に値する」

 シュウさん、無理やりといった感じで言葉を絞り出す。私とフジヤさんはそんな二人の様子を見て笑いをこらえるのに必死だ。

 きっとフリントさんってすっごく真面目なんだけど、すっごく空回りするタイプなんだな。ちょっと私も近いものがあるから、分かる。

 本人はいたってまじめに仕事にはげんでるんだけど、周りからすると、ちょっとずれてる、そんな感じだよね。

 フリントさんは、こほんと咳ばらいをしてシュウさんを一瞥。それから、言った。

「それでは、ご報告させて頂きます。この始まりの街付近に存在するダンジョンは無数に存在します。しかし、基本的には、初心者向けの街の近辺ということもあり、比較的簡単に挑戦しようと思える推奨レベルの、ダンジョンが多数を占めています」

 うん、とりあえず、ダンジョンはいっぱいあるけど、推奨レベルが低めなダンジョンも結構あるってことだね。

「また、以前サランさんからお伺いした通り、どうやら最初から存在していたダンジョンと、後から現れたダンジョンが存在しているようです」

「最初から存在していたダンジョンと、後から追加されたダンジョンか……。大型アップデートのような大掛かりなものではないが、ちょっとしたお楽しみ要素といったところか」

 シュウさんが腕組みをしてうなる。

「ええ。その、後から追加されたダンジョンですが、推奨レベルはいずれも高レベルのようで、やはりお楽しみ要素と考えるのが妥当です。ただ、一つだけ、初心者用の推奨レベルの、新しく追加されたダンジョンが存在していました」

 探すのに苦労したんですよ、とフリントさんは胸を張る。

「ぼくが見つけた唯一の初心者用の追加されたダンジョン、その名も『迷いの洞窟』です。ぼくとしては、そこに挑戦するのがよいと思っています」

「迷いの洞窟……」

 なんだか、名前からしてちょっと不気味。そしてヤバそうな雰囲気がする。大丈夫なんだろうか。
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