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特別スキルレベルアップ編その1
調合大成功
しおりを挟む色々分からないことは増えたけれど、フジヤさんと私は傷薬を作り続けた。その間にも熟練度も上がって、いくつかのレシピを手に入れたみたいだけど、今は見ない。
待ち合わせの30分前に、今度はシュウさんがやってきた。彼は、私とフジヤさんを見ると、挨拶だけして興味深げに私たちの作業を眺めていた。
それから、遠慮がちに声をかけてくる。
「……迷惑でなければ、こちらにもやり方を教えてもらえないだろうか」
「え」
私とフジヤさんは思わず顔を見合わせた。
「あ、いや。面倒なら大丈夫なんだが」
「いえ、そうではなく。……シュウさん、こういうの、興味あるんですか」
傷薬を作ったりする作業って、けっこう地味。
それに、同じことをくりかえすことになるから人によっては面白くない。
私がそう説明すると、シュウさんは目を細めた。
「……自分で言うのもアレだが、単純作業は嫌いじゃない」
それに、と彼は付け足す。
「何か考え事をしたり、アイデアがほしい時は単純作業の方が色々と浮かびやすい」
なるほど、確かに単純作業だと、それほど頭を使う必要性がない。
そういった作業をしているときほど、想像力や創造力が生まれたりする。
それなら、と私は今度はシュウさんにも傷薬の作成の仕方を教える。
彼は、私のつたない説明を大真面目な顔で聞き終えると、作成に取り掛った。
「……できた……のだろうか」
シュウさんの言葉で、自分の作っている傷薬をいったんテーブルの上に置いた。
そしてシュウさんのところへ行ってみると。
「……え……」
なんだかとっても、傷薬が輝いてみえた。
私やフジヤさんは、もう何個も傷薬を作ってる。
だけどそんな光ってる傷薬、できたことがなかったのに。
シュウさんの作った傷薬を見つめていると、ポップアップが立ち上がる。
『傷薬(調合大成功) 作成者:シュウ』
調合大成功!? そんなのあるの!?
そう言われると、他のゲームにも似たようなものがあったことを思い出す。
錆びて使えないような武器を発掘してそれを使えるようにできるゲーム。
錬金術と呼ばれるゲームシステムがあったりするゲーム。
そういったゲームに存在する、『大成功』という概念。
この概念は、ただの『成功』よりも効果がアップすることが多い。
本来なら1つしかアイテム作成できないはずのものが2つに増えたり。
効果が倍になってたり、その効果は様々だ。
初めての傷薬で、調合大成功って、シュウさん、幸運スキルか何か持ってるの!?
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