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特別スキルレベルアップ編その1
人に頼る
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「ごめんくださーい」
その時、店先から声が聞こえて来た。私が視線を入り口に向けると、そこにはフジヤさんが立っていた。
「あ、フジヤさん」
「ちょっと早めについちゃったんだけど、お邪魔じゃなければ、ここで待たせてもらおうかと思ってさ」
フジヤさんが笑いかけてくる。そしてすぐ、きょとんとした顔をする。
「あれ、サランちゃんどうしたの。なんか考え事?」
「あ、えっと……」
私は逡巡する。フジヤさんに相談してみるべきだろうか。私が悩んでいると、フジヤさんがどんと私の肩を叩いてくる。
「何よぉ、気になるじゃん。私でよければ何でも相談して?」
ずずいっと目の前に迫るフジヤさんの顔。私は、ごくりと唾を飲み込んで言う。
「つまらないことなんですけど……いいですか」
「何?」
「あのぅ、フジヤさん。……サブジョブって、知ってます?」
私、そう問いかけてからすごく後悔する。そんなこと、自分で調べなさいよとか言われるかな。今までよくそんなことも知らずにゲームしてたねとか言われるかな。
しかし、フジヤさんの反応は私が想像していたどの行動とも違っていた。
「なぁんだ、そんなこと? いいよいいよ、お姉さんが教えてあげる」
私の目の前にあったのは、フジヤさんの優しい笑顔で。
「サブジョブってのはね、メインジョブとは別に設定できるものなの。メインジョブは、主に戦闘に関連するジョブのことね。メインジョブを設定することで、サブジョブが設定できるようになるんだって」
フジヤさんの言葉で、私は納得する。やっぱりメインジョブをデフォルトの冒険者以外のジョブに変えないと、サブジョブの設定ができないんだ。だから、今までそういったポップアップが出てこなかったんだ。
「んで、サブジョブは戦闘に関連しない、生産系のジョブが多いんだって。メインジョブを設定したあと、生産に関する行動をすると設定できるポップアップが出てくるってハナシ。ちなみに、サブジョブはメインジョブみたいにジョブ申請所に行かずとも、メニュー画面で設定ができるよ」
そう言ってから、フジヤさんは苦笑いする。
「とはいえ私、サブジョブはノータッチでさ。まだ一つもジョブ開放できてないの」
「あ、それなら一緒にサブジョブ開放しませんか」
私が聞くと、フジヤさんが顔を輝かせる。
「え、いいの!? あ、もしかしてこの傷薬を量産する感じ?」
「そうですそうです」
「それじゃ、サランちゃんにサブジョブ用の仕事を斡旋してもらう代わりに、サブジョブについて調べとくよ。他にもなんかあったら、すぐ言ってよね仲間なんだから」
私はそれを聞いて、驚いた。フジヤさんは最近知り合ったばかりだし、無理を言ってチラシまで作ってもらうことになってる。でも、彼女は私のお願いを聞いてくれたばかりか、私が知らなかったことについて調べてくれると言ってくれている。
「いいんですか」
「いいに決まってるじゃん。サランちゃんはね、一人で抱え込みすぎなんだよ。少なくとも私には、もっと甘えてくれていいからね」
フジヤさんのウインク。それを見て私はすごく安心する。ああこの人には、甘えてもいいんだって思えた。
「この前の……なんていったっけ、シュウさんだっけ。あの人も頼っていいって言ってたし。もっとサランちゃんは人に甘えていいんだよ」
その時、店先から声が聞こえて来た。私が視線を入り口に向けると、そこにはフジヤさんが立っていた。
「あ、フジヤさん」
「ちょっと早めについちゃったんだけど、お邪魔じゃなければ、ここで待たせてもらおうかと思ってさ」
フジヤさんが笑いかけてくる。そしてすぐ、きょとんとした顔をする。
「あれ、サランちゃんどうしたの。なんか考え事?」
「あ、えっと……」
私は逡巡する。フジヤさんに相談してみるべきだろうか。私が悩んでいると、フジヤさんがどんと私の肩を叩いてくる。
「何よぉ、気になるじゃん。私でよければ何でも相談して?」
ずずいっと目の前に迫るフジヤさんの顔。私は、ごくりと唾を飲み込んで言う。
「つまらないことなんですけど……いいですか」
「何?」
「あのぅ、フジヤさん。……サブジョブって、知ってます?」
私、そう問いかけてからすごく後悔する。そんなこと、自分で調べなさいよとか言われるかな。今までよくそんなことも知らずにゲームしてたねとか言われるかな。
しかし、フジヤさんの反応は私が想像していたどの行動とも違っていた。
「なぁんだ、そんなこと? いいよいいよ、お姉さんが教えてあげる」
私の目の前にあったのは、フジヤさんの優しい笑顔で。
「サブジョブってのはね、メインジョブとは別に設定できるものなの。メインジョブは、主に戦闘に関連するジョブのことね。メインジョブを設定することで、サブジョブが設定できるようになるんだって」
フジヤさんの言葉で、私は納得する。やっぱりメインジョブをデフォルトの冒険者以外のジョブに変えないと、サブジョブの設定ができないんだ。だから、今までそういったポップアップが出てこなかったんだ。
「んで、サブジョブは戦闘に関連しない、生産系のジョブが多いんだって。メインジョブを設定したあと、生産に関する行動をすると設定できるポップアップが出てくるってハナシ。ちなみに、サブジョブはメインジョブみたいにジョブ申請所に行かずとも、メニュー画面で設定ができるよ」
そう言ってから、フジヤさんは苦笑いする。
「とはいえ私、サブジョブはノータッチでさ。まだ一つもジョブ開放できてないの」
「あ、それなら一緒にサブジョブ開放しませんか」
私が聞くと、フジヤさんが顔を輝かせる。
「え、いいの!? あ、もしかしてこの傷薬を量産する感じ?」
「そうですそうです」
「それじゃ、サランちゃんにサブジョブ用の仕事を斡旋してもらう代わりに、サブジョブについて調べとくよ。他にもなんかあったら、すぐ言ってよね仲間なんだから」
私はそれを聞いて、驚いた。フジヤさんは最近知り合ったばかりだし、無理を言ってチラシまで作ってもらうことになってる。でも、彼女は私のお願いを聞いてくれたばかりか、私が知らなかったことについて調べてくれると言ってくれている。
「いいんですか」
「いいに決まってるじゃん。サランちゃんはね、一人で抱え込みすぎなんだよ。少なくとも私には、もっと甘えてくれていいからね」
フジヤさんのウインク。それを見て私はすごく安心する。ああこの人には、甘えてもいいんだって思えた。
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