129 / 304
特別スキルレベルアップ編その1
ジョブ申請所へ
しおりを挟む
帰宅すると、寝る準備を整えてから、ゲームにログインする。とりあえず、今日はジョブ申請所に行かなくちゃ。
ゲームにログインしたら、安堵のため息が出た。この世界には、あの嫌な上司はいない。そう考えると、安心する。同時に、こんなことを思う。
もし、ゲームでシュウさんやフジヤさん、現実世界で同じゲームをしているフジヤさんに出会ってなかったら。私はどっぷりこのゲーム世界にはまっていたかもしれない。
仕事が忙しすぎて、友達とも休みが合わなくて会うこともなくなって。そうこうしているうちに、休みの日は寝て過ごすことも多くなって、職場と家の往復だけが外の世界になってしまって。
そういう人がこのゲームを始めたなら。そしてそのゲームの中で特別なスキルを所持していると知ったら。彼らは、どうするのだろう。
思わず身震いした。ゲームの世界を、『現実』とする人たちも出てくるかもしれない。そして、私もそうなっていたかもしれない。
そんな怖い想像を頭から追い出すと、私はトランクから、地図を取り出す。あー、この地図が、リアルでいう位置情報からルート検索してくれる地図だったら、言うことないんだけどな。
そう思ったら、ポップアップ画面が立ち上がる。
『素朴な地図に、言霊・物語付与のスキルを使用しますか』
そうだ、私にはスキルがある。今日の1つ目は、この地図の改変としよう。そして余裕があったらフジヤさん用の手帳作り。
「素朴な地図を、素朴な地図【改】に変更。効果は、自動で使い手の位置を読み取り、目的地の設定や、目的地までのルートを教えてくれる」
設定が完了し、パワーアップした素朴な地図。よし、これでジョブ申請所まで行ける。早速目的地をジョブ申請所に設定した。
画面内に、矢印マークが出る。もしかして、これの通り歩けばいい感じ?
歩き始めると、矢印が右になったり、左になったり。うん、これは動きに合わせて矢印の向きが変わってるってことで間違いないと思う。
矢印の動きに合わせて私は歩いて行った。ほどなくして、無事に大きな建物の前にたどり着いた。看板には、『ジョブ申請所』と書いてあった。
よし、方向オンチの私でも辿り着けた。そして、建物の中へと入っていく。以前のクエスト受注所と少し似た感じの造り。
きっと受付カウンターで申しつける感じだよね。私が受付カウンターの方へと一歩踏み出した時だった。
「オレは特別スキルを持ってるんだぞ!? それなのに、ジョブがこれだけしかないなんておかしいだろっ!?」
男の人の大声が聞こえて、私は悪寒が走った。ああ、誰かが怒ってる。そして誰かが怒られている。それだけで、私の心はすくみ上がる。
ゲームにログインしたら、安堵のため息が出た。この世界には、あの嫌な上司はいない。そう考えると、安心する。同時に、こんなことを思う。
もし、ゲームでシュウさんやフジヤさん、現実世界で同じゲームをしているフジヤさんに出会ってなかったら。私はどっぷりこのゲーム世界にはまっていたかもしれない。
仕事が忙しすぎて、友達とも休みが合わなくて会うこともなくなって。そうこうしているうちに、休みの日は寝て過ごすことも多くなって、職場と家の往復だけが外の世界になってしまって。
そういう人がこのゲームを始めたなら。そしてそのゲームの中で特別なスキルを所持していると知ったら。彼らは、どうするのだろう。
思わず身震いした。ゲームの世界を、『現実』とする人たちも出てくるかもしれない。そして、私もそうなっていたかもしれない。
そんな怖い想像を頭から追い出すと、私はトランクから、地図を取り出す。あー、この地図が、リアルでいう位置情報からルート検索してくれる地図だったら、言うことないんだけどな。
そう思ったら、ポップアップ画面が立ち上がる。
『素朴な地図に、言霊・物語付与のスキルを使用しますか』
そうだ、私にはスキルがある。今日の1つ目は、この地図の改変としよう。そして余裕があったらフジヤさん用の手帳作り。
「素朴な地図を、素朴な地図【改】に変更。効果は、自動で使い手の位置を読み取り、目的地の設定や、目的地までのルートを教えてくれる」
設定が完了し、パワーアップした素朴な地図。よし、これでジョブ申請所まで行ける。早速目的地をジョブ申請所に設定した。
画面内に、矢印マークが出る。もしかして、これの通り歩けばいい感じ?
歩き始めると、矢印が右になったり、左になったり。うん、これは動きに合わせて矢印の向きが変わってるってことで間違いないと思う。
矢印の動きに合わせて私は歩いて行った。ほどなくして、無事に大きな建物の前にたどり着いた。看板には、『ジョブ申請所』と書いてあった。
よし、方向オンチの私でも辿り着けた。そして、建物の中へと入っていく。以前のクエスト受注所と少し似た感じの造り。
きっと受付カウンターで申しつける感じだよね。私が受付カウンターの方へと一歩踏み出した時だった。
「オレは特別スキルを持ってるんだぞ!? それなのに、ジョブがこれだけしかないなんておかしいだろっ!?」
男の人の大声が聞こえて、私は悪寒が走った。ああ、誰かが怒ってる。そして誰かが怒られている。それだけで、私の心はすくみ上がる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
580
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる