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特別スキルレベルアップ編その1
変わりゆく現実
しおりを挟むシュウさんからすぐに返信がきた。
『連絡先を渡すかどうか、迷ったのだが。迷惑だったらすまない。
今後またああいうことが起こってはいけないと思い、迷惑かとは思ったが
渡すことにした。
それにどちらにせよ、今後仕事の話をすることもあるだろうしな』
シュウさんの返事は分かりやすいところで改行された、読み易い文章だった。SNSのダイレクトメールとかでも、文章の書き方や改行を挟むかどうかで、人柄が出たりするよね。
『迷惑なんかじゃないです。何かあった時、すぐにシュウさんに連絡が取れる手段が
あった方が私も心強いです。ありがとうございます』
そして、シュウさんにフリントさんに連絡を取って今、初心者用のダンジョンを探してもらっていること、そしてダンジョンを攻略するつもりでいることを話した。あと、特別スキルのレベルアップ条件が1つ開放になったことも。それから、ジョブ申請所に1度も行ったことがなく、明日行ってみるつもりだということ。
『ジョブ申請所か。確かに、冒険者のままでは動きづらいこともあるだろう』
シュウさんは同意してくれた。
『明日は夜中3時くらいまでならログインしていると思う。必要なら呼んでくれ』
その言葉がうれしい。最初から一緒に行こうかといわれると恐縮するんだけど、困ったことがあったらいつでも呼んでくれと言ってもらえると安心する。
『ありがとうございます。もし何か分からないことがあれば頼るかもしれません。その時は、よろしくお願いします。おやすみなさい』
私はそう返事を送り、キャラクターがお辞儀しているスタンプを押して、スマートフォンを閉じた。
とにかく、明日の仕事が終わったらジョブ申請所に行こう。何かあればシュウさんに聞けるし、安心だね。
―〇―〇―
翌日。仕事場にて。
「こんな仕事にどれだけ時間がかかってるんだ」
私が作成した書類に目を落としたままで、金本部長が言う。私は感情のない声でただ言葉を発する。
「申し訳ないです」
期限を設けられていたわけでもない仕事。ミスをしていればそこをネチネチついてくるけど、ミスがないときは、時間がかかりすぎだと責めてくる。つまり、今回はミスがなかったってことだ。
「オレがやったらこんな仕事、30分もあれば終わる」
「そうですね、すみません」
「こんなことしかできないのに、他でどんな仕事をする気か知らないが、どうせ長くは続かないさ」
そう、吐き捨てるようにして言う部長。私は、もう仕事を辞める人間だ。このあとの人間関係が崩れようと、あと半年もすれば私はこの会社から退社する。
精神を壊されないように、いかに日々を過ごすか考えるだけだ。
「部長に心配して頂かずとも私は、私のやりたい仕事を選んで頑張っていきます」
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