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自分探しの旅その2(やりたいこと探し)
謎のメール
しおりを挟むそんな時だった。突然ポップアップ画面が立ち上がる。差出人を確認して、私は固まった。運営……――、つまりは、このゲームを作った会社からのメール。
運営からのメールなんて、よくある。アップデートのお知らせとかバグが見つかったとか、メンテナンスのお知らせとか、そういうのなら。
でも、今回は違う。明らかに、件名がおかしい。
『特別スキルをお持ちのあなたへ社員登用のご案内』
これは少なくとも、特別スキルを持った人間にしか送られていないメール。または、そう思わせて実は全員に送ってるスパム系のメール?
とりあえずメール自体は開いても大丈夫だよね。迷惑メールだって、中身のURLを開かなければ大丈夫のはずだから。
『このメールが届いたあなたへ。特別スキルをお持ちのあなたへ、社員登用のお話が上がっております。このメールを開封されたということは、この件について詳しく知りたいことと存じます』
メール本文はそれだけ。私は思わず顔をしかめる。すると、メールとは別のポップアップ画面が立ち上がる。
『まもなく、自動的にメールの送り主のところへ転送されます』
え、うそでしょ。迷惑メールの中でもまずい類のやつじゃない!? URLとか開かなくてもまさかの、メール開封するだけで詐欺サイトに飛ばされるヤツ!?
私は慌てて、メールを転送する。転送先は、もちろんシュウさん。元々は他人であるシュウさんを巻き添えにするのは申し訳ない。でも、こういった類のことに詳しいのは、多分シュウさん。シュウさんは社員さんだから、もしかしたらこういう迷惑メールの対策についても何か知ってるかもしれない。
件名を、『Fw:開いてしまいました。助けてください』にして送信。それと同時に、私の体がふわりと浮くのが見えた。
もちろんVRだから、本体の体が浮いてるとは思えない。だけど、少なくともゲーム世界の私の体が浮いている。まさか、本当にゲーム内の私の体を転送する気!?
慌てて手足をジタバタしてみるけれど、まったく地面に降りられる気がしない。これは、まずいことになった。強制的にログアウトしてやろうと思って、メニュー画面を開こうとする。パソコンとかだったら、強制終了して何か別の端末で対応策を見てから動くこともできる。だから同じようにできないかと考えたんだ。
だけど、その行動自体が封じられているかのようにメニュー画面が開かない。私は、小説とかに出てくるVRMMOもののように声に出して言う。
「メニュー画面開けっ」
でも、それもだめ。そうこうしているうちに、私の体はぐんぐん地上から遠ざかり、移動を始めた。ヘッドギアを外そうとしても体が金縛りにでもあってるのか、言う事を聞かない。どうしよう、本当にどうしよう!?
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