117 / 304
自分探しの旅その2(やりたいこと探し)
フリントさんへの依頼
しおりを挟む「フリントさんは、最近この辺りのダンジョンに変化があるって話、聞いたことありますか」
私の言葉に、フリントさんは少し考え込む。
「そうですね。……初心者向けのダンジョンが多いこのエリアですが、今まで攻略したことのないダンジョンが出現したという話なら聞きましたよ」
私は、始まりの街とこの店くらいが活動範囲だったから、始まりの街の外の話は一切入ってこない状況だったんだ。もちろん、リアルで端末から検索すれば色んなウワサとかは手に入れられたかもしれないけれど、ネットの情報は不確かなものも多かったりする。
フリントさんは(私の勝手な想像だけど)、どちらかというと前線に出て戦うタイプだと思うから、私よりは色々なことを知ってるんじゃないかと思ったんだ。
「フリントさんは、この辺りのダンジョンを攻略したことってありますか」
私が聞くと、フリントさんは首を縦に振る。
「ええ、まぁ。もちろん俗に言うガチ勢ほどはやりこんでいませんので、数は多くはありません。けれども、何度かはダンジョンを攻略しました」
「このゲームのダンジョンって、どういったタイプなんでしょう」
私はある意味で独り言のように言う。ゲームによってダンジョンの種類は異なる。ダンジョンの出口にたどり着くことで、別のエリアに進めるいわば、「次のエリアに進むための道」としてのダンジョンが配置されているゲームもある。
けれども、通り道として通らなくてもいいダンジョンが存在するゲームもある。そういったゲームのダンジョンは、最奥に宝箱があったり、ボスがいたりする。宝箱の中身を手に入れたり、ボスを倒すことでダンジョンクリアとなって、ダンジョン入り口まで戻されたりするシステムのダンジョンもある。
このゲームのダンジョンはどういった立ち位置なのか気になったんだ。
「このゲームのダンジョンは、二通りありまして、どこかへ行くための通り道になっているダンジョンもあれば、完全に独立したダンジョンもあります。僕が攻略していたのは、後者のダンジョンです」
ここで言葉を切り、フリントさんは言う。
「ダンジョンでしか手に入らない武器や防具、道具などもあるそうなので。レベル上げにももってこいですしね」
やっぱりフリントさんもレベル上げをしていた。ということは、戦闘もある程度こなしてきたってことだよね。私は一人頷く。
「最近増えたダンジョンって、推奨レベルが高かったりするんでしょうか」
私の言葉に、フリントさんは首をひねる。
「さぁ、どうでしょう。基本的にある程度のレベルになってから挑むべきダンジョンが増えたような気がするという話は聞きましたが、もしかしたら初心者向けのダンジョンでも後から追加されたダンジョンがあるかもしれません」
そうだよね。もちろんやりこみ要素として追加したものなら、ある程度の推奨レベルのダンジョンばかり追加されるかもしれない。でもだいたいのゲームは、新しい要素ややりこみ要素を追加するアップデートの際に、こまごまとした修正を加えることもある。もしかしたら、初心者用ダンジョンもそういった意味では追加されてるかもしれないね。
「フリントさん」
私が呼びかけると、フリントさんは心得た様子で頷く。
「なんとなく、分かりますよ。僕は、この辺りのダンジョンを調べて、最近増えたもの、前からあるものそれらの推奨レベルや獲得できるものを調べてきたらいいんですね」
まだ、何も言ってないんだけど。私は大きく頷いた。
「はい。お手数おかけします」
「いえ。そういった細々とした仕事、結構好きなんです。それに、サランさんには以前助けて頂いたご恩がありますから」
フリントさんはそう気軽いに言うと立ち上がった。
「それでは、ある程度まとまり次第メールなどにてお知らせしますね」
「お願いします」
彼は、そのままさっと身を翻して店を後にした。よし、下調べはフリントさんに丸投げして、私はフジヤさんに連絡を取ろう。
20
お気に入りに追加
615
あなたにおすすめの小説

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。

Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる