言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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自分探しの旅その1

おそうじタイム

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 一通り街の探索を兼ねたバクハツの実の販売の有無および値段の把握が終わった。時刻は、夕方に差し掛かる前くらい。さすがに、リアルの私の目がしょぼしょぼしてきた。

「……今日はこのくらいにしておいて、一度ログアウトしたらどうだ」

 シュウさんの言葉に、私は頷いた。

「そうですね」

 そろそろ自分の部屋も片付け始めたいと思っていたところなんだ。仕事を辞めるつもりでいるから、気持ちも新たにしたい。そういうわけで自分の部屋もきれいに掃除して模様替えとかもしたいと思ってる。雑貨屋さん巡りしてかわいい雑貨も買い集めたいと考えていた。

「ちょうど、部屋の片づけをしようと思っていたんです」

 私が言うと、シュウさんはオレンジ色に染まりつつある空を見上げていた。

「仕事を変えるなら、確かに身の回りの整理などして気持ちから入るのも大切だな」
「はい、だいぶ部屋も散らかっているので」

 シュウさんと別れてログアウトした後、私は現実に引き戻される。ベッドの上以外に散らかっていない場所はない。あちこちに仕事で作成した資料などが散らかっている。足の踏み場は、最低限の一本道しかなくてそれ以外は本やらなにやらが積み重なっていたりする。

 ここまで散らかってると、どこから手をつければいいのかわからなくなる。どこから手をつけるか考えながら、昼食を食べよう。そう思って、私は一度リビングへと赴いた。

 おそい昼食を食べたあと、私はごみ袋を抱えて自分の部屋へと戻ってきた。まずは、いるものといらないものの分別が必要だね。

 私は、いるものといらないものボックスを自分の体をはさんで左右に設置した。そして、自分の前には片づけるものの山。そして後ろにごみ袋を置いておく。

 あちこちに積み重なったモノの山を一つずつ近場に寄せて、分類していく。どこに行ったか分からなくなっていたものもどんどん発掘されていく。やっぱり、定期的に掃除して、整理整頓することは大事だよね。

 ちなみに会社では、消耗品などみんなが共有して使っているものが「どこに保管されているか」を明記したリストがあったりする。

 残念なことに、そのリストを見て自分で補充してくれたり探してくれたりする人は少ないけど。今回はそれは関係ない。あれ、自分の部屋用に作っておくと意外に便利なのではと思ったんだ。

 毎回リストに記載した場所に戻せば、なくすこともないし、定位置に毎回戻していればリストを見ればどこに置いたかがわかる。すぐあちこちに置いておいた場所を忘れてしまう私にとっては、この方が実は部屋が散らからずに済む気がする。

 腕まくりをすると、私はいらない紙とペンを用意した。とりあえず、これに書いてあとでパソコンに入力して保存しておこう。で、アナログの分は部屋のコルクボードに貼っておけば、完璧でしょ。
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