言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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チラシと目玉商品づくり

旅の、延期?

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 私と大藤さんは、仕事終わりに飲みに出かけた。その間に決めたことがあり、私は帰宅するとすぐにパソコンを開き、メールを作成した。相手は、シュウさん。

『シュウさん、お疲れ様です。旅に出る話なんですが、少し先になりそうです』

 そう前置いて私は、リアルの自分の話を簡単にまとめた。そして、まずは自分のリアルを整えてから、ゲームに復帰したい考えだということを書いた。これこそが、大藤さんと二人で決めたこと。まずは、私のリアルを安定させて、それからスキル強化の旅に出るという決定をしたんだ。

 それからメールボックスを見て、フリントさんからのメールが届いているのに気づいた。開封する。

『サランさんへ。お久しぶりです。旅の件、詳しく話を聞かせて頂けますか』

 私は、シュウさんに送ったのと同内容の話をフリントさんにも送る。せっかく乗り気になってもらってたのに、申し訳ないんだけれど。……

 私がためいきをついていると、受信ボックスに新着メールが届く。フリントさんからだった。

『そうなのですね。僕はいくらでも待ちますから、問題が解決して、落ち着いたら連絡頂ければ大丈夫です。もし僕に何か手伝えることがあれば、いつでも言ってくださいね』

 そう書いてあった。それを言ってもらえるだけで、こちらは心が軽くなる。そして、そのメールを読み、返事を打っている最中に、また受信ボックスに新着メール。今度は、シュウさんからだった。

『スキルとスキル保持者の現実世界の生活には、関係があると聞いたことがある。こちらの持っている情報を共有したいので、一度話す時間を作ってくれないか』

 要件が簡単にまとめられたメール。スキルとスキルを持った人間の現実世界の生活に共通点か何かがあるってことかな。それは、ぜひ聞いておきたい。

 とはいえ。私は時計を見る。現在、夜中の2時。うん、今からゲームにログインしていると、明日の業務に差し支えそうだ。

『明日の24時以降なら、ログインできそうなのでその時間帯からでも大丈夫ですか』

 私がそうメールを返信すると、すぐに返事が返ってきた。

『かまわない。こちらも、夜の方が助かる』

 こうして、明日の夜、ログインすることは決定した。今日は、ゲームにログインする気力がない。スキルを使わないのはもったいないけどしかたないね。

 とにかく明日。シュウさんに会って、スキルとスキルを持った人間の生活の関係性について聞いてみよう。それを聞くことで、また私のこれからの生活が変わってくるかもしれない。
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