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チラシと目玉商品づくり
話を聞いてもらう
しおりを挟む明らかに、気分が落ち込んでいそうな私を見て、大藤さんは何かを感じたようだ。
「コーヒーでいい? 入れてくるよ」
「……すみません」
私がか細い声で答えると、彼女は軽く頷いて立ち上がった。そしてすぐに戻ってくると言った。
「おっし、今日は飲みに行こう。とことん飲もう。もちろん、明日の業務に支障をきたさない程度にね」
大藤さんの言葉に、私は顔を上げた。大藤さんの心配そうな顔がそこにあった。
「ゲームの話どころじゃなさそうだからね。あっちは急ぎじゃないし、まずはリアルをしっかり解決しよう」
そう。あくまであちらはゲームの世界。私が本来生きるべきは、こちらの現実世界。どう頑張っても向こうの世界を現実にすることはできない。
大藤さんは自分のお弁当箱の蓋をあけながら、小首をかしげる。
「まずは、話を聞こうか」
「いいんですか」
「もちろん。これから長い付き合いになると思うし。いくらでも愚痴ぐらい聞いて挙げる。さあ、お姉さんに話してごらんなさい」
どんと自分の胸を叩いて見せる大藤さん。それが今の私にはとても嬉しい。堰を切ったように言葉があふれだす。私は、大藤さんに今日のこと、そして今までのことを話した。
金本部長からは、おそらく入社当初から目をつけられていたとは思う。私がドジで天然で仕事が遅いことを。そして、人から頼まれると断れない性分であることも。
嫌な仕事はしょっちゅう回ってきたし、金本部長がこなしきれなかった仕事をさも当たり前のように回されて休日出勤、休みがほとんどない状況はよくあった。
でもきっと社会人になって働くってことは、そういうことなんだと諦めてた。金本部長が私が仕事でヘマをしたり、仕事が遅かったりすると浴びせてくる暴言の数々。
あれだって、会社で働くほとんどすべての人が経験していることだと思っていた。
「キミのような人間は、大した仕事は任せてもらえないし。どこでも怒られるに決まってるよ」
そう言われたこともあったし。そしてそれを心のどこかしらで理解している自分がいたのも事実。きっと転職したって、どこでも私は怒られるし邪魔者扱いだし、仕事が遅い人間だって言われるに決まってる。
そう思いながら今日まで働いてきた。そこまで勢いよく喋り終わったあと、大藤さんを見ると、彼女は呆然と焦点のあってない目で私を見つめていた。あ、これはひかれちゃったかもしれない。だって大藤さんとは、まだ出会って二日しか経ってない間柄。いきなり、こんなことを言われても困るよね。
私はあわてて言った。
「ごめんなさい、急にこんな話されても困りますよね」
「偉いっ!」
「え」
大藤さんから飛び出したのは、私にとっては思いもかけない言葉だった。
「よし、その上司を懲らしめた上で、紗蘭ちゃんにあう職場を見つけ直そう」
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