70 / 304
クエスト受注所
物的証拠をカズアキさんへ
しおりを挟む
私は、受付嬢さんたちの待つ休憩室に急いで戻った。よかった、クエストマスターさんに、本物の受付嬢さんじゃないってばれたらどうしようって、内心ひやひやしていたんだ。でも従業員さんの顔と名前を憶えてないってことだよね。まぁ、このクエスト受注所でどのくらいの人数の人が働いているか知らないから、それが大人数だったら仕方がないことだとは思うけど。今回は、クエストマスターさんが従業の顔を覚えてなかったことが、功を奏したらしい。
休憩室に入ると、私はすぐさま受付嬢さんたちに取り囲まれた。
「大丈夫だった!? 何もされてない!?」
「え、は、はい」
私がしどろもどろになりながら答えると、受付嬢さんたちの顔が安堵の表情に変わる。
「よかった、もし本物の受付嬢じゃないってことがばれたらすぐにでも乗り込むつもりだったから」
お局さんが勢い込んで言う。こういう時、お局さんは本当にありがたい存在だ。しっかりと味方につけておけば、いざというときに助けてくれる。これは、どこの職場でもだいたい同じだよね。
私は受付嬢さんから預かったICレコーダーのような機械を私の腕についている腕時計に重ね合わせる。すると、ポップアップ画面が立ち上がる。
『レコーダーのデータを腕時計にコピーしますか』
私は「はい」のボタンを押す。実はもう、今日はスキルの上限まで使い切ってるんだ。1つ目は、ICレコーダーみたいなこの機械の使用を私にもできるよう改造したとき。2つ目は、ギルドマスターさんの腕時計を改造したとき。私の腕についてるこの腕時計。3つ目は、1つ目を改造したときとほぼ同時に作り出したこの腕時計。実はこれ、録画や写真撮影ができちゃう機能を搭載した、なんちゃって腕時計なんだ。
ちなみに私がICレコーダーらしきこの機械を自由に使える権限は、今日付けで破棄されるよう設定してある。元々そういう約束で受付嬢さんと話をつけてたからね。
これで、必要な物的証拠はこの腕時計型記憶装置に集約された。あとは、これをどうやってゲーム会社の人に届けるかだけど。これは、カズアキさんに任せるのが一番いいかな。
私は、受付嬢さんにお礼を言って、休憩室を出た。そして再び従業員用入口を通って建物の外へ出る。扉を出た先に、シュウさんとカズアキさんが待っていた。私は、カズアキさんに腕時計型記憶装置を渡して言う。
「うまく行きました。必要な物的証拠はこの中にすべて入っています。これごと、カズアキさんのお店のお得意様にお渡し頂ければと」
そして、腕時計型記憶装置の使い方をカズアキさんに伝える。これで、この件も一件落着になるといいな。
休憩室に入ると、私はすぐさま受付嬢さんたちに取り囲まれた。
「大丈夫だった!? 何もされてない!?」
「え、は、はい」
私がしどろもどろになりながら答えると、受付嬢さんたちの顔が安堵の表情に変わる。
「よかった、もし本物の受付嬢じゃないってことがばれたらすぐにでも乗り込むつもりだったから」
お局さんが勢い込んで言う。こういう時、お局さんは本当にありがたい存在だ。しっかりと味方につけておけば、いざというときに助けてくれる。これは、どこの職場でもだいたい同じだよね。
私は受付嬢さんから預かったICレコーダーのような機械を私の腕についている腕時計に重ね合わせる。すると、ポップアップ画面が立ち上がる。
『レコーダーのデータを腕時計にコピーしますか』
私は「はい」のボタンを押す。実はもう、今日はスキルの上限まで使い切ってるんだ。1つ目は、ICレコーダーみたいなこの機械の使用を私にもできるよう改造したとき。2つ目は、ギルドマスターさんの腕時計を改造したとき。私の腕についてるこの腕時計。3つ目は、1つ目を改造したときとほぼ同時に作り出したこの腕時計。実はこれ、録画や写真撮影ができちゃう機能を搭載した、なんちゃって腕時計なんだ。
ちなみに私がICレコーダーらしきこの機械を自由に使える権限は、今日付けで破棄されるよう設定してある。元々そういう約束で受付嬢さんと話をつけてたからね。
これで、必要な物的証拠はこの腕時計型記憶装置に集約された。あとは、これをどうやってゲーム会社の人に届けるかだけど。これは、カズアキさんに任せるのが一番いいかな。
私は、受付嬢さんにお礼を言って、休憩室を出た。そして再び従業員用入口を通って建物の外へ出る。扉を出た先に、シュウさんとカズアキさんが待っていた。私は、カズアキさんに腕時計型記憶装置を渡して言う。
「うまく行きました。必要な物的証拠はこの中にすべて入っています。これごと、カズアキさんのお店のお得意様にお渡し頂ければと」
そして、腕時計型記憶装置の使い方をカズアキさんに伝える。これで、この件も一件落着になるといいな。
20
お気に入りに追加
608
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組
瑞多美音
SF
福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……
「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。
「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。
「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。
リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。
そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。
出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。
○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○
※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。
※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
ユニーク職業最弱だと思われてたテイマーが最強だったと知れ渡ってしまったので、多くの人に注目&推しにされるのなぜ?
水まんじゅう
SF
懸賞で、たまたま当たったゲーム「君と紡ぐ世界」でユニーク職業を引き当ててしまった、和泉吉江。 そしてゲームをプイイし、決まった職業がユニーク職業最弱のテイマーという職業だ。ユニーク最弱と罵られながらも、仲間とテイムした魔物たちと強くなっていき罵ったやつらを見返していく物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる