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ギルド招集
依頼の承諾
しおりを挟む「えっと……、つまりは私に、悪いギルドの解散の手助けをしてほしいという相談に来た、という認識で合ってますか」
私が尋ねると、シュウさんはこっくりと頷く。
「……ああ。この前の詐欺グループを運営に通報した腕前をこちらのギルドマスターは、とても買っているらしい。その知恵を、今度の問題解決にも貸してほしいのだと」
「そうは言われても……」
前は、自分のスキルと同じスキルを持っていると豪語する人間が悪いことをしていたから、自分に被害が及ばないためという理由もあって、詐欺師グループさんを見つけるのに尽力した。
でも今回は、言ってしまえば自分がおそらく関わることのないであろうクエストを受注するクエスト受注に関しての問題。そりゃ、いつかはお小遣い稼ぎでクエストを受けたい局面があるかもしれないけど、なければないで、カンナさんのお使いでもしていれば、勝手にお小遣いは稼げる。
一瞬、断ってしまおうかという考えが頭をよぎる。けれど、シュウさんには一度、助けてもらった恩義がある。このまま断ってしまうのは、あまりにも薄情だ。
確かに、仕事では忙しく過ごしている日々だからのんびりした日常をゲーム世界でくらいは体現したいとは思う。でもそれは、今じゃなくたっていい。まだまだこの世界での日常も現実での日常も、自分が望みさえすれば、続いていくのだから。
「私に手伝えることがあるんですか」
私の問いに、シュウさんは不思議そうな顔を浮かべた。そして目を細める。
「……でなければ、わざわざここまで出向いてこないさ。キミ自身の能力を見込んで、頼みに来た。キミの力が必要だ」
そう言ってもらって、私はとても嬉しくなる。仕事では「いくらでも代わりはいる」「何年も同じ仕事をし続けながら、全然成長しない」など言われて、いい仕事をしても特に褒められた覚えがない私。自分を必要としてもらえること、これほど嬉しいことはない。
「私でよければ、お手伝いさせて頂きます。実際にはどんなことをしたらよいのでしょう」
「相手の動きを封じられるようなアイテムを作ってもらうことができないだろうかと考えている。または、以前の詐欺師グループのように、相手の本拠地や相手のIDなどが分かれば、こちらも対処のしようがある」
なるほど、ギルドができたっていうくらいだから人数は結構いるはずだもんね。その全員を突き止めるのには骨が折れる。だから私のスキルでギルドの本拠地か、所属している人間のIDがいくつか分かればあとは、シュウさんの所属するギルドが対処を始めてくれえるってことだね。でもなんで、シュウさんのギルドがそんなことを。
私が不思議そうな顔を浮かべていたのか、シュウさんはふっと笑った。
「……少し疑問に思ったのだろうか。なぜこちらがそんなことをするのかと」
「はい」
正直に私が頷くと、シュウさんはさらりと言った。
「こちらのギルドマスターは、このゲームを作った会社の社員だからだ」
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