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犯人を追いかけて
情報集め
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私は、ヒナタさんヒナコさんと別れて、ゲームからログアウトした。そして、さっそくルリアさんやセナさん、フリントさんやシュウさんに連絡する。
『こんばんは、サランです。お疲れ様です。本日、ゲーム内にて収穫がありました。おそらくセナさんの詐欺師さんとは別の詐欺師さんに遭遇、詐欺師さんは既に複数いるのではないかと思われます』
私はそう前置きをして、自分が遭遇した詐欺師さんらしき人の話をメールでみんなに共有した。メールを送ってすぐに、私はインターネットに接続してSNSや、検索エンジンで
『WFO 詐欺』
と検索し始めた。すると、セナさんと同じような手口の詐欺にあった人や、私と同じような、『元の装備を返すまでと預かっていた装備が消える』という被害に遭った人を見つけた。
ただ、私と同じような現象を体験した人の言葉には、大概ろくなコメントが返ってきていない。
『それはアンタの勘違いだろ』
『装備が消えるなんて、そんなことあるはずない。きちんと受け取りを確認してなかっただけだろ』
そんな心無い言葉が並んでいる。それに対し、被害に遭ったという人のコメント返しは、こうだ。
『そんなはずはないと断言できる。消えたのは事実だから次の日、装備の持ち主が『アンタに預けていた装備を返せ』って言って来た時、消えたと言った。そしたら、相手になんて言われたと思う? 『じゃあ、装備代を出せ』だよ。そして、有り金全部、持っていかれた』
私はそれを見て、納得する。なるほど。どうやってあの装備を消滅させたかは今のところ分からない。だけど、相手の狙いならわかる。
相手は、預けていた装備を無くしたと言わせることで、装備を弁償しろと迫り、相手の有り金を奪っていく手口なんだ。
向こうの手口が分かったなら、こっちの打つ手も考えられる。さすが、ネット。何でも情報が落ちてる。
向こうがその気なら、こっちも同じ手をしてやろうじゃないの。幸い、私の装備は、それができるだけの力がある。
私がネットのWFOのマイページに入ると、ポップアップ画面が立ち上がる。
『【木の剣(呪)】が売りに出されました。現在の持ち主のところへ戻しますか、それともこちらで回収しますか』
お相手さん、気が早いな。もう私の装備を売りに出したんだ。そりゃ、こっちが預かっていた装備はすでに消滅した。だから、私が『装備を無くした』ということは、普通なら決定事項だもんね。
しかし、こっちだってやられてばっかりではいられないよ。私は、『木の剣(呪)』をこちらで回収することにする。
また別のポップアップ画面が立ち上がってくる。
『木の盾(呪)』が回収したいくつかの装備があります。回収しますか』
私は、『木の盾(呪)』が回収したいくつかの装備と木の盾そのものも回収する。回収した装備の中には、私が詐欺師さんらしき人からもらった装備と同じものもあった。これは……使える。
『布でできた服(呪)』。これは、相手の居場所や相手の交友関係を知るために必要だから、そのままにしておこう。
相手はおそらく、まずこちらが預かっていた装備を返せと言ってくるはず。みんなきっと、自分が預かっていた装備を無くしてしまったことで罪悪感が生まれて、相手に逆らえなかったと思う。
でも、私は違う。相手が渡してきた装備とは同一個体ではないけど、同じ装備を持ってる。これをうまく活用できれば……。
私は早速、作戦を考え始めたのだった。
『こんばんは、サランです。お疲れ様です。本日、ゲーム内にて収穫がありました。おそらくセナさんの詐欺師さんとは別の詐欺師さんに遭遇、詐欺師さんは既に複数いるのではないかと思われます』
私はそう前置きをして、自分が遭遇した詐欺師さんらしき人の話をメールでみんなに共有した。メールを送ってすぐに、私はインターネットに接続してSNSや、検索エンジンで
『WFO 詐欺』
と検索し始めた。すると、セナさんと同じような手口の詐欺にあった人や、私と同じような、『元の装備を返すまでと預かっていた装備が消える』という被害に遭った人を見つけた。
ただ、私と同じような現象を体験した人の言葉には、大概ろくなコメントが返ってきていない。
『それはアンタの勘違いだろ』
『装備が消えるなんて、そんなことあるはずない。きちんと受け取りを確認してなかっただけだろ』
そんな心無い言葉が並んでいる。それに対し、被害に遭ったという人のコメント返しは、こうだ。
『そんなはずはないと断言できる。消えたのは事実だから次の日、装備の持ち主が『アンタに預けていた装備を返せ』って言って来た時、消えたと言った。そしたら、相手になんて言われたと思う? 『じゃあ、装備代を出せ』だよ。そして、有り金全部、持っていかれた』
私はそれを見て、納得する。なるほど。どうやってあの装備を消滅させたかは今のところ分からない。だけど、相手の狙いならわかる。
相手は、預けていた装備を無くしたと言わせることで、装備を弁償しろと迫り、相手の有り金を奪っていく手口なんだ。
向こうの手口が分かったなら、こっちの打つ手も考えられる。さすが、ネット。何でも情報が落ちてる。
向こうがその気なら、こっちも同じ手をしてやろうじゃないの。幸い、私の装備は、それができるだけの力がある。
私がネットのWFOのマイページに入ると、ポップアップ画面が立ち上がる。
『【木の剣(呪)】が売りに出されました。現在の持ち主のところへ戻しますか、それともこちらで回収しますか』
お相手さん、気が早いな。もう私の装備を売りに出したんだ。そりゃ、こっちが預かっていた装備はすでに消滅した。だから、私が『装備を無くした』ということは、普通なら決定事項だもんね。
しかし、こっちだってやられてばっかりではいられないよ。私は、『木の剣(呪)』をこちらで回収することにする。
また別のポップアップ画面が立ち上がってくる。
『木の盾(呪)』が回収したいくつかの装備があります。回収しますか』
私は、『木の盾(呪)』が回収したいくつかの装備と木の盾そのものも回収する。回収した装備の中には、私が詐欺師さんらしき人からもらった装備と同じものもあった。これは……使える。
『布でできた服(呪)』。これは、相手の居場所や相手の交友関係を知るために必要だから、そのままにしておこう。
相手はおそらく、まずこちらが預かっていた装備を返せと言ってくるはず。みんなきっと、自分が預かっていた装備を無くしてしまったことで罪悪感が生まれて、相手に逆らえなかったと思う。
でも、私は違う。相手が渡してきた装備とは同一個体ではないけど、同じ装備を持ってる。これをうまく活用できれば……。
私は早速、作戦を考え始めたのだった。
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