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犯人捜し
別のカフェにて
しおりを挟むその日の夕方。私はシュウさんが働いているカフェとは別のカフェに来ていた。元々、セナさんが騙されたのも、夕方だったし、同じ時間帯の方が遭遇しやすくなるんじゃないかな。
しっかし、なんだこの、おしゃれすぎるメニューは。私の前にあるメニュー表には、ピンクや水色、かわいい色のスイーツの写真が並んでいる。
ああ、SNS映えするねぇ。しかも、いい感じで異世界観要素を詰め込んである。ドラゴンの形をしたクッキーとか、すごくかっこいい。炎みたいな赤色ソフトクリームも。いいねぇ、これは売れる。メニュー表を見ている私に、店員さんが声をかけてくる。
「このお店のメニューの大半は、冒険者さんが考えてくださったメニューなんですよ」
ああ、それでか。私みたいに、このお店でアルバイトしている人がいて、その人が色んなメニューを考案してるんだね。
こういう、物語がある食べ物とか雑貨、好きなんだよね。メニュー表眺めてるだけで、幸せになれちゃうよ、私。ああ、いつかこのメニューを作った人に合って、色々教えてもらいたいなぁ。
私はそんなことを考えながら、メニュー表を眺めつづける。私、メニュー選びに結構時間がかかるタイプなんだ。あー、ほんと、どれを頼もう。
そうやって悶々と1人で悩んでいる姿、はたから見てたらまずい感じよね。だってこの店、2人組で来てる人たち多いもん。現実世界だと、女性が1人でカフェにいるのは割と普通にあるけど、ゲーム世界はそうでもないみたい。
まあ確かに、ゲーム中で飲食って必要ないものだもんね。現実世界で食べてくるわけだから。だから必然的に、カフェとかの役割って、友達とゆっくり話す場所としての役割が強いのかもしれない。
私はやっとこさ、頼むものを決める。ああ、メニュー表持っていかれちゃった。もうちょっと見ていたかったな。そんなことを思いながら、周りをちらりと見回す。
あ、さっきまで隣に座ってたカップルがいなくなって、私と同じ独り身女性が座ってる。それを見て、あ、と思った。もしかして、このゲームってカフェに1人で来る人自体が少ないから、そんな独り身の女性を狙って声をかけている詐欺師がいる可能性って、ない? いや、私が気づくのが遅すぎたのかもしれないけど。
そして同時にもう1つのことに気づいた。あ、そうなってくるともしかして。私も狙われるのでは。私は慌てる。もし詐欺師に自分が遭遇してしまった場合。1度騙されたフリをしてアイテムを渡しちゃうのもありじゃない?
そうなった時のアイテムを作成しちゃおう。私は、夢幻羽ペンと夢幻手帳を取り出し、アイデアを練り始めたのだった。
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