言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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言霊・物語付与のスキル

仕事のメールに返信しながら

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 ゲームを始めてから、まだ2日しか経ってない。でももう何日も、何ヶ月も遊んでいるような、そんな錯覚に襲われる。

 今までだったら、残業しても全然終わらない仕事を残して帰るのが憂鬱でしかなかった。

 だけど今は帰ってからのことを考えるだけで楽しいし、ゲームのことを考えると、仕事もはずむ。そうか、私に足りなかったのは、娯楽だったんだ。もちろん、それだけじゃないと思うけど。夢中になれることって大事だよね。

 私はそんなことを思いながら、仕事のメールを超特急で片づけていく。無理難題なんて、いつものことだし矛盾だらけなのも、いつものこと。

 要はいかに、その時の相手の要望に応えられるか。それだけだ。早く仕事にカタをつけておけば、後で要望を変えさせないで済むし。

 私はメールの返信を済ませて、文書の作成に取り掛かる。そんなことをしていると、またメールが。フリントさんからだ。彼のメールにもまた、添付画像がついている。これまた、掲示板の一部分を映したものだ。その写真には、大きくこんな記事が書かれている。


『あなたですか!?』


(まるで、古い恋愛アニメみたいな言葉。いや、違うか。むしろ、何かを疑ってる……?)

 私は首をかしげながら、記事の内容を凝視する。

『最近、ぼったくり価格でアイテムの内容を変える詐欺師がいると聞きました。あたくしのお友達も、どうやらそれに引っかかり、大変な目に遭っています。もしあなたがやったのなら、すぐに申し出なさい。許しません』

 うーん、これで申し出てくれたら苦労はしないんだろうけども。私は頭を抱える。メール本文にはこう書いてあった。

『もしお暇でしたら、一緒にこの件を解決しませんか』

 うん、フリントさんが手伝ってくれるなら、やってもいいかも。フレンドになったから分かるんだけど、フリントさんもまた、結構序盤からやりこむタイプみたいで、かなりのレベルになってる。もし戦闘になったとしても、彼がなんとかしてくれるはず。

 それに、このまま放置していたらいずれ、騙された人や掲示板に書き込みをした人が私の存在に気づくかもしれない。そうしたら、直接お店とかに押しかけてきて、カンナさんたちに迷惑がかかるかもしれない。

 そうなる前に、先に手を打てるなら打っておく方がいい。そう思った私は、フリントさんに手伝いをお願いして、掲示板に書き込みをしてくれた人と連絡をとってみることにした。

 え、なんで連絡が取れるかって? 掲示板の下に、連絡先が載ってたの。でもこういうゲームの掲示板に連絡先を載せるのってタブーだったよね。すぐ削除されちゃうんじゃないかな。

 ま、こうやって写真なんかに残されたらそれらすべてを運営が把握するのは難しいけどね。
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