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16. 闘争と死の輪唱
三百十九話 それは終わった世界からの贈り物
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319話 引き抜いた物/運命か祈りか
僅かに顔を向けた所で頷いた老人を確認し砂山に近付いて行く、砂から飛び出てい
るその金属を掴んで引き抜く、すると砂はまるでそれを避けるようにスルスルと流
れる様にして離れていき、更に押し出す様にも動いているのか特に力を入れずとも
直ぐに引き抜く事が出来た・・・そして埋まっていた部分の表面を覆う様に付着して
いた砂がパラパラと重力に引かれる様に落ちていき、その変わった姿の全貌を現す
まず解るのは随分錆付いてる事、そして次にこれは鎧だろうかと言う疑問と鎧だろ
うなと言う感想、上半身の更に上半分・・・胸部とその背部を守るための軽装金属鎧
に片方のみ大きめの肩鎧が付いており、その疑問の大半を示す内側から突き出る様
な形状で同じ様に錆付いた剣の刀身が付いている、鑑定も装飾品としか示さず効い
ている気がしない、武器とも防具とも判別されないし自分ではどうとも判断が着か
ない、それを回して色んな角度から見ていると、肩鎧がギシギシと軋み音を上げた
かと思えば上下に展開しマントらしき物が垂れ出て来た、上に分かれた部分は壊れ
ているのか固定されずプラプラと揺れている、武器とも防具とも言えず更には朽ち
果てた様にも出来損ないの様にも取れる様で壊れている・・・これが贈り物なのか?
それとも私を写しとって出来た物がこんな姿なのか、まぁ確かに中途半端な欠陥品
や残骸は私を上手く表しているが、とは言えこんな物を渡してどうしようと言うの
だろうか?戻るための転移でも発動してくれるなら嬉しいが、特に何かが起きる事
もなくこれに変化も起きない・・・一応防具の形状をしているし装備しろと言う事か?
持ち上げて少し眺めているとしっかりとした装備が出来るような形状にはなってい
ない事に気が付いた、頭から被り肩パーツで止めると言う不安定すぎる形状、胴体
部分にベルト等の止める部分が無く前後の装甲が別れているただの2枚の装甲を肩
の部分で繋いでいるだけだ、さっき砂が剝がれた時一緒に繋がっていた側面の部分
が無くなっていたのだろう、これをどうすればいいんだ?思考が疑問ばかりになり
無になっていると足から感じる感触が変わった、小さくきめ細かい砂が少し大きめ
の骨の粉末に変わっている、砂山だったものは骨の粉末と頭蓋骨を基本とし恐らく
彼らが装備していたであろう装備品が少し散らばっており、薄茶一色だった大地か
ら白に変わった地表を彩っている、なんか妙に骨と縁がある気がするな?それにし
てもこの世界の方が変化するのは予想外だった、おもむろに大地から重力が消えた
様で体が僅かに宙に浮かぶ、すると骨粉までも宙に浮かんだかと思えば渦を描いて
いるかの様に巻き上がっていく、大きな1つから4つに別れ更に1つに戻ると言った
奇妙なゲートの様な物を作り出した・・・事実4つに別れている部分の内側は時空間が
歪んでいるのかそこだけ見た目も感覚も異なっている、幾つかの空間が混じってい
るのか色がぐにゃぐにゃしていて、常に蠢きその形状と色を変え続けている、あそ
こに飛びこめば確かにこの世界から出られるだろうが、元の世界に戻れるかどうか
は運なのか?それともまた空間の狭間に飛ばされてそこからは自力でどうにかしろ
なのか?はたまた待っていればこのゲートが安定するとかもあるのか?
「お客人、どうやらあの門を展開出来る時間は短いようです、ここを出たいのなら
急いだ方がよろしいでしょうな」
どうやら時間の猶予は無い様だ、時間が経つ程に不安定になると言うなら考えてい
る暇など無い、もし閉じたら次はあるのか、あってもどれだけ時間が掛かるか考え
れば次は無いと考えるべきだ、時空間に迷わない事を祈って飛び込んだ
「貴方の望みは叶ったようで・・・しかし、あの手に持っているものは一体?」
転移門に入ると同時に周囲の空間が歪み、時間や空間に自分が引き伸ばされた様な
圧縮された様な感覚と共にあの老人の呟きが聞こえてきた、確かに手に掴んでいた
物は変な物ではあったしさっきその感覚が変わったような気がしたが、今はまとも
に視界が機能していないため確認する事が出来ない、歪みきって混沌とした視界と
引き伸ばされ狂った感覚を味わいながら、その手に掴んでいるそれに導かれる様に
引っ張られながらこの奇妙な空間を移動する、ここは時空間に関する領域と言うよ
り世界の断層か?それが何がこうであるとも言えないが、元の世界から近くは無い
別宇宙に来てしまっていたのだろう、そのせいで帰るには色々面倒な工程を挟む必
要が出来てしまって今がその状況という訳か、今までと僅かに違う空間を動かされ
る感覚を味わいながらその流れに抗わず受け入れ乗せられてそのまま流される、目
を開けていると極彩色と言えるような色とチカチカと明滅を繰り返す光で、目がお
かしくなりそうなので落ち着くまで大人しく閉じておく、昇っている様な落ちてい
る様な幾つもの感覚が入れ替わる奇妙な感覚に若干の気持ち悪さを感じる・・・出来る
限り何も気にしない様にして体の感覚を断ち暫く肉体の機能を停止する、そして衝
撃を受け体が異常を感じた事で機能を戻す、すると元の世界それもダンジョンの上
と思わしき所に落ちていた、地面は荒れてひび割れているが周りの景色は入口から
見返した時の来た道の景色と同じだから同じ位置だろうと言う判断だ、この状態は
ダンジョンが崩れて少し地形が変わったのだろう、入り口も無くなっており僅かに
丘の様に盛り上がっていた場所は跡形もなく同じ高度の地面になっている、しいて
言えばそこが1番荒れ地になっている事か、それにしてもダンジョンに行く度に問
題が起きているな・・・今度もまた何か問題が起きるんだろうなと言う諦めにも似た
感想が思考を過る、問題が起きるのは良いとしても今回のような面倒なのは出来る
限りやめて貰いたいものだが、状況が落ち着いた所で右手に掴んでいたハズのあの
ボロボロの装備品を確認する、重さから分かっていたがそれは既に形を失い装甲の
破片のみが残っている、しかし錆付いていたハズの金属は金属っぽくない質感の物
に変わっていた、しかし硬度は特に変わってない気がする・・・流石に小さすぎるが
これならまだ使い道はありそうだ、そして思った通りこれから力を感じない、やは
りこいつが転移を起こしたのではなくあそこの神や集っていた魂達の力によるもの
だったのだろう、感謝しておこう・・・肉体に違和感は無いが精神的、魂的な内部?が
少し軽くなったような肉体との齟齬が少なくなり上手く繋がった様な感じがする
僅かに顔を向けた所で頷いた老人を確認し砂山に近付いて行く、砂から飛び出てい
るその金属を掴んで引き抜く、すると砂はまるでそれを避けるようにスルスルと流
れる様にして離れていき、更に押し出す様にも動いているのか特に力を入れずとも
直ぐに引き抜く事が出来た・・・そして埋まっていた部分の表面を覆う様に付着して
いた砂がパラパラと重力に引かれる様に落ちていき、その変わった姿の全貌を現す
まず解るのは随分錆付いてる事、そして次にこれは鎧だろうかと言う疑問と鎧だろ
うなと言う感想、上半身の更に上半分・・・胸部とその背部を守るための軽装金属鎧
に片方のみ大きめの肩鎧が付いており、その疑問の大半を示す内側から突き出る様
な形状で同じ様に錆付いた剣の刀身が付いている、鑑定も装飾品としか示さず効い
ている気がしない、武器とも防具とも判別されないし自分ではどうとも判断が着か
ない、それを回して色んな角度から見ていると、肩鎧がギシギシと軋み音を上げた
かと思えば上下に展開しマントらしき物が垂れ出て来た、上に分かれた部分は壊れ
ているのか固定されずプラプラと揺れている、武器とも防具とも言えず更には朽ち
果てた様にも出来損ないの様にも取れる様で壊れている・・・これが贈り物なのか?
それとも私を写しとって出来た物がこんな姿なのか、まぁ確かに中途半端な欠陥品
や残骸は私を上手く表しているが、とは言えこんな物を渡してどうしようと言うの
だろうか?戻るための転移でも発動してくれるなら嬉しいが、特に何かが起きる事
もなくこれに変化も起きない・・・一応防具の形状をしているし装備しろと言う事か?
持ち上げて少し眺めているとしっかりとした装備が出来るような形状にはなってい
ない事に気が付いた、頭から被り肩パーツで止めると言う不安定すぎる形状、胴体
部分にベルト等の止める部分が無く前後の装甲が別れているただの2枚の装甲を肩
の部分で繋いでいるだけだ、さっき砂が剝がれた時一緒に繋がっていた側面の部分
が無くなっていたのだろう、これをどうすればいいんだ?思考が疑問ばかりになり
無になっていると足から感じる感触が変わった、小さくきめ細かい砂が少し大きめ
の骨の粉末に変わっている、砂山だったものは骨の粉末と頭蓋骨を基本とし恐らく
彼らが装備していたであろう装備品が少し散らばっており、薄茶一色だった大地か
ら白に変わった地表を彩っている、なんか妙に骨と縁がある気がするな?それにし
てもこの世界の方が変化するのは予想外だった、おもむろに大地から重力が消えた
様で体が僅かに宙に浮かぶ、すると骨粉までも宙に浮かんだかと思えば渦を描いて
いるかの様に巻き上がっていく、大きな1つから4つに別れ更に1つに戻ると言った
奇妙なゲートの様な物を作り出した・・・事実4つに別れている部分の内側は時空間が
歪んでいるのかそこだけ見た目も感覚も異なっている、幾つかの空間が混じってい
るのか色がぐにゃぐにゃしていて、常に蠢きその形状と色を変え続けている、あそ
こに飛びこめば確かにこの世界から出られるだろうが、元の世界に戻れるかどうか
は運なのか?それともまた空間の狭間に飛ばされてそこからは自力でどうにかしろ
なのか?はたまた待っていればこのゲートが安定するとかもあるのか?
「お客人、どうやらあの門を展開出来る時間は短いようです、ここを出たいのなら
急いだ方がよろしいでしょうな」
どうやら時間の猶予は無い様だ、時間が経つ程に不安定になると言うなら考えてい
る暇など無い、もし閉じたら次はあるのか、あってもどれだけ時間が掛かるか考え
れば次は無いと考えるべきだ、時空間に迷わない事を祈って飛び込んだ
「貴方の望みは叶ったようで・・・しかし、あの手に持っているものは一体?」
転移門に入ると同時に周囲の空間が歪み、時間や空間に自分が引き伸ばされた様な
圧縮された様な感覚と共にあの老人の呟きが聞こえてきた、確かに手に掴んでいた
物は変な物ではあったしさっきその感覚が変わったような気がしたが、今はまとも
に視界が機能していないため確認する事が出来ない、歪みきって混沌とした視界と
引き伸ばされ狂った感覚を味わいながら、その手に掴んでいるそれに導かれる様に
引っ張られながらこの奇妙な空間を移動する、ここは時空間に関する領域と言うよ
り世界の断層か?それが何がこうであるとも言えないが、元の世界から近くは無い
別宇宙に来てしまっていたのだろう、そのせいで帰るには色々面倒な工程を挟む必
要が出来てしまって今がその状況という訳か、今までと僅かに違う空間を動かされ
る感覚を味わいながらその流れに抗わず受け入れ乗せられてそのまま流される、目
を開けていると極彩色と言えるような色とチカチカと明滅を繰り返す光で、目がお
かしくなりそうなので落ち着くまで大人しく閉じておく、昇っている様な落ちてい
る様な幾つもの感覚が入れ替わる奇妙な感覚に若干の気持ち悪さを感じる・・・出来る
限り何も気にしない様にして体の感覚を断ち暫く肉体の機能を停止する、そして衝
撃を受け体が異常を感じた事で機能を戻す、すると元の世界それもダンジョンの上
と思わしき所に落ちていた、地面は荒れてひび割れているが周りの景色は入口から
見返した時の来た道の景色と同じだから同じ位置だろうと言う判断だ、この状態は
ダンジョンが崩れて少し地形が変わったのだろう、入り口も無くなっており僅かに
丘の様に盛り上がっていた場所は跡形もなく同じ高度の地面になっている、しいて
言えばそこが1番荒れ地になっている事か、それにしてもダンジョンに行く度に問
題が起きているな・・・今度もまた何か問題が起きるんだろうなと言う諦めにも似た
感想が思考を過る、問題が起きるのは良いとしても今回のような面倒なのは出来る
限りやめて貰いたいものだが、状況が落ち着いた所で右手に掴んでいたハズのあの
ボロボロの装備品を確認する、重さから分かっていたがそれは既に形を失い装甲の
破片のみが残っている、しかし錆付いていたハズの金属は金属っぽくない質感の物
に変わっていた、しかし硬度は特に変わってない気がする・・・流石に小さすぎるが
これならまだ使い道はありそうだ、そして思った通りこれから力を感じない、やは
りこいつが転移を起こしたのではなくあそこの神や集っていた魂達の力によるもの
だったのだろう、感謝しておこう・・・肉体に違和感は無いが精神的、魂的な内部?が
少し軽くなったような肉体との齟齬が少なくなり上手く繋がった様な感じがする
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