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16. 闘争と死の輪唱

三百十六話 ダンジョン脱出・偽りの領域

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316話 剣士より継いだ闘争の意

両脚はある気がするのに左脚が存在しないのは違和感が強い・・・つい両脚で立とうと
してしまい倒れかける、また右腕も無いのに動かそうとしてしまっていた、何と言
うか体の一部が霊体化したと言うのが一番適切なのかもしれない、無くなっている
部位が透けて見える訳では無いが幻覚で消しているか霊体化させているかのどっち
かしかない、流石に自分以外への霊体化は難しい気がするが・・・夢ならば普通にあり
えるし現実でも無くは無いだろう、ただその場合何かしらの条件付けや特殊な力が
ある事になる、力の方だと対処しようも無いが条件だとすると攻撃や接触だろうな
さっきの背中への攻撃で起きた現象だろうから攻撃は確定しても良いか?刺さって
いる針にも可能性はあると考えているが、刺さっている場所と切断されている場所
が違うのが気になる、消滅させるとかになると右脇腹は刺さったままで左脚にして
も落ちている脚に針が刺さったままだから可能性は低いな、となるとマーキング用
の針なのか?針で位置を把握してそこを対象に攻撃してきている・・・ならありえそう
だな、実際マーキング位置に近い場所を切断されているし、とは言え攻撃するのに
いちいちマーキングを付ける必要があるか?と言う疑問がある、恐怖を煽るためか
それとも指定している位置にしか攻撃出来ないと言う制約でもあるかのどっちかだ
と思われる、幻覚で精神的に追い込もうとしている訳だから前者の方が普通に可能
性が高そうなんだよな・・・実際判り易い方法で位置を指定して攻撃するなんて無駄で
しかないだろう?ただこれが魔物では無くダンジョンのギミックの方だったらそう
言った制約もありえるだろうからおかしくは無い・・・考えるのが面倒になって来た
とは言え何かしら対処法を思い着いた訳でも無いしどうしたものか、手っ取り早く
いくなら周囲を滅茶苦茶にするのが一番いいか?かと言ってそんな道具が無いから
取れる手段が少ない、取り敢えず攻撃しまくるのも良いが片手だけなのが困ったも
のだな、亜空間倉庫は開く様子が無い・・・と言うより開いている感覚は在れど認識
出来ないと言うべきか、亜空間倉庫が滅茶苦茶になると困るから感覚だけだが閉じ
てこのダンジョン内部では開くのは止めておく、落ちているマガセビを蹴り上げて
掴んだまま軽く周囲を薙ぎ払う、何かに当たったような感触は無い、それどころか
空気の揺れさえ感じない、となると幻覚では無く夢なのか?特にそれ以外の感覚に
違和感が無いから判らないな、判り易く感覚なりが鈍くなってくれれば良かったん
だが・・・いやそもそも鈍いからそれじゃ逆に判別が難しいか?夢なら死ねば解放され
る・・・なんてそんな普通の夢みたいな解決法な訳が無いよな、多分この夢の中で死ね
ば精神か現実の肉体が死ぬのだろう、まぁ最悪それでもいいと言いたいが、復活に
かなり力を消耗しそうだから無暗に死ぬのは避けたい、何か役に立ちそうな情報は
ないか?逃す気が無いなら無いだろう、だがダンジョンには何故かこう言った閉じ
込める部屋やギミックによる妨害系には逃げ道が用意されているからな、これもそ
れらの1つなら脱出法はあるハズだ・・・謎解きは勘弁してくれよ、そんな事を考えて
辺りを見渡しながら時折飛んで来る剣や矢らしき杭を転がりながら避け続ける
「グルジビジャン、アヴォーベ」
なんだ?喋った?言語・・・では無いか?鳴き声とも言語とも認識出来ない、しいて言
うなら暗号や記号のようなものか、まさか謎解きじゃないだろうな?恐らく意味は
あるハズなんだ、何の意味も無い可能性もあるが・・・それでも何かしら意味はあると
思っていい筈だ、何せ困っているこっちを見てから言っているんだからな、それが
ただの煽りの可能性もあるが・・・困った事にこっちの可能性の方が高そうじゃないか
だがそれにしては攻撃どころか動きすら止まっているのが気になる
「ルグミジェオ、ビアゴロッデ」
またか、だが話しているのはあの骨の奴で合っているようだ、ご丁寧に口を動かし
てくれている、実際には奴では無くこの幻覚を見せている奴によるものだろうが・・・
だが位置的にあの口から音が出ているように聞こえている、そこら辺はしっかりし
ているようだな、そしてまた意味の判らない言葉・・・さっきと違うがこれなら罠の線
は薄そうな気がする、それにしてもやっぱり謎解きなんじゃないか?さっきの言葉
に実は何かちゃんとした言葉が隠されているとか、別の単語に置き換えるとか文字
を置き換えるとか・・・そうなるとこっちの文字はそんなに詳しくないから判らん
「グルジビジャン、アヴォーベ」
1番目のと同じ言葉か?少しイントネーションが違ったから迷ったが言葉は同じかな
重要なのはもしかして2回目の言葉なのか?これは煽りを含んでいる困っているなと
か悩んでいるなみたいな感じな意味な気がする、だが2番目は全く意味が解らないし
予想も出来ない、これは嘲りの口調や見下すような態度から読み取れるが・・・
「ドゥルゲッジオ、オヴォロゴベイム」
詠唱の3行目なんてのもありえるのか?1番目のは関係無いのかこの言葉には2番目
と同じように感情等は乗っていない、何か文字を読み上げているだけの様な感じだ
「ガブリーヂオ、ゴベムロッザ」
速いもう進んだ、まるで詠唱の様だが力の流れは無い・・・いやそもそも今の状態じゃ
その力の流れを把握しきれないか、それにどちらかと言えば音劇に近い?動きが無
ければ声に抑揚も無くとても劇とは言えないが、となると儀式か?
「アゼッパ、クォンギラ、ゼーパス、セリオダ、ゲネシェン、リーパウ、オゼウ」
人名や何かの名称か?何か前にもこんなのを聞いたような気がするが・・・アレは別に
術うんぬんは関係無かったな、だが今回のは術やこのギミックに関係しているだろう
これは謎解きだったのか?特に何も起こらないかと思えば床に描かれている陣が発光
し弱い光を明滅させ始めた、時間切れだとかそういう奴か?それだと流石に短すぎる
か難しすぎるか・・・なんだ?照らされてようやく気付いたが奥の壁が肉塊になっている
最初からだったのか今ので変化したのかは判らないが、これも何か意味があるのか?
とは言え疑問が出て来る・・・おかしいのだ、ダンジョンのギミックにしては余りにも拘
りすぎている、本来ダンジョンギミックは1つにつき2段階までしか無いとされている
だがコレはもう既に3段階目と言える状態、扉から続いているギミックだとすれば4段
階目になる、もし今のがこのギミック自身の2段階目だとしてもこれで3段階目に移行
する訳だ、それにしてはギミックが連続で繋がり過ぎている問題があるが・・・
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